2021年1月6日水曜日

緊急事態宣言 十分な補償と検査の抜本的強化を 共産・志位委員長

 菅政権は7日に首都圏について緊急事態宣言を出す方向と言われます。年初の会見で菅首相は飲食業に於けるコロナの感染リスクを強調し「限定的、集中的に行うことが効果的」だと述べましたが、休業要請などに伴う補償については語りませんでした。医療体制について、東京を始めとして逼迫していることを認め、スタッフ確保や財政支援、病床確保を進めるなどと述べましたが、野党が一貫して要求している減収補填には触れませんでした。これでは単なるリップサービスです。

 22時や20時で飲食店の営業を終了させるのは、それ以降が来客の時間帯という店が多い訳で「時短」ではなくて実質的な「営業停止」に当たります。昨年の緊急事態宣言で補償は全く不十分で多くの飲食店がかつてない苦境に陥りました。事業継続を断念した店も少なくなく、飲食店で働く労働者も収入の手段が断たれ住まいまで失う事態が後を絶ちませんでした。
 今度こそ「休業の要請と補償一体」という感染対策の鉄則を貫くべきですが、そうした姿勢は見られません

 共産党の志位委員長は4日の記者会見で、「これだけ新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況で、緊急事態宣言を出すこと自体はやむを得ない」と述べるとともに、菅政権がコロナ対策について無為無策で、「Go To」事業に固執するなどの逆行を続けてきたと指摘し、「こういう事態に立ち至った責任は極めて重い。まず菅政権の重大な政治責任が問われないといけない」と批判しました
 そのうえで、「十分な補償と検査の抜本的な強化がどうしても必要。この2つの点で、従来の政策の延長上の対応では感染を止められない。政策の転換が必要」と強調しました。
 また菅首相の念頭にある特措法改正に関連して、共産党、立民党など野党4党共同の「新型インフルエンザ特措法等改正案」は、「自粛を要請するさいには十分な補償、協力金、給付金、これとセットで行うことを法律で定めるという内容」と説明し、菅政権が狙っているであろう「罰則」の設置については、「罰則を入れ込むことは賛成できない。それでは問題の根本解決にはならず、国民の間に分断を持ち込み、警察国家になっていくという心配もある」と反対を表明しました。
 またしんぶん赤旗は「主張」の中で、「自治体がPCR検査拡充に躊躇なく取り組めるよう全額国費で検査を行う仕組みをつくることが重要」と述べています
 これはコロナ問題が起きた当初から一貫して言われ続けてきたことにもかかわらず、いまだに保健所にはなかなか電話がつながらず、つながっても容易には検査を認めない(というマニュアルがいまも生きている)など、殆ど改善されていないようです。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
緊急事態宣言を検討 1都3県 菅首相、補償語らず
                        しんぶん赤旗 2021年1月5日
 菅義偉首相は4日、首相官邸で年頭記者会見し、東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県を対象に新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言再発令の検討に入ると表明しました。9日にも発出し、対象期間は1カ月程度とする方向です。
 宣言発令は1都3県の知事が2日に政府に検討を要請していました。菅首相は、1都3県で感染者が減らず、ここ2週間は全国の感染者数の半数を占めているとして、「より強いメッセージが必要だと考えた」と主張。宣言に基づく対策としては、飲食の場の感染リスクを軽減する必要性を強調し、「限定的、集中的に行うことが効果的」だと述べました。一方、休業要請などに伴う補償については語りませんでした
 観光支援事業「Go Toトラベル」の全国での一時停止期限が11日で切れることに関しては、「緊急事態宣言となれば再開はなかなか難しい」と述べました。また「給付金と罰則をセットにして、より実効的な対策をとるため」として、新型コロナ特別措置法の改定案を18日召集の通常国会に提出する考えを示しました。
 新型コロナウイルス感染対策のワクチンについて、2月下旬までに接種開始できるよう準備を進めていると表明。医療体制については、東京などで逼迫(ひっぱく)状況が続いていると述べ、スタッフ確保や財政支援、病床確保を進めるなどと述べましたが、減収補てんには触れませんでした。水際対策に関しては、2国間のビジネス往来を認める枠組みについて「相手国の国内で(コロナの)変異種が発見された際には即時停止する」と述べました。
 その上で、夏の東京五輪・パラリンピックについては、人類がウイルスに打ち勝った証しとして、「大会を実現するとの決意のもと準備を進める」と改めて主張しました。


菅首相が緊急事態宣言検討
十分な補償と検査の抜本的強化を 志位委員長が表明
                        しんぶん赤旗 2021年1月5日
 日本共産党の志位和夫委員長は4日、党本部で記者団の質問を受け、菅義偉首相が同日、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の知事の要請を受け同都県に緊急事態宣言発出を検討すると述べたことについて、「これだけ新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況で、1都3県の知事の要請は重いものであり、宣言を発出すること自体はやむを得ない」と述べました。
 志位氏は、菅政権がコロナ対策について無為無策で、「Go To」事業に固執するなどの逆行を続けてきたと指摘し、「こういう事態に立ち至った責任は極めて重い。まず菅政権の重大な政治責任が問われないといけない」と批判。そのうえで、「十分な補償と検査の抜本的な強化がどうしても必要だ。この二つの点で、従来の政策の延長上の対応では感染を止められない。政策の転換が必要だ」と強調しました。
 志位氏は、すでに出されている要請も含め、休業要請やさまざまな行動制限の要請について、「お店をつぶすわけにはいかない。安心してお店を閉め、休むためには、今度こそ十分な補償をすることが何より大事だ」と指摘。「政府が今やろうとしている持続化給付金や家賃支援給付金の打ち切りは、とんでもない話であり、継続・拡充こそ必要だ」と述べました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党の野党4党共同の「新型インフルエンザ特措法等改正案」に触れ、「自粛を要請するさいには十分な補償、協力金、給付金、これとセットで行うことを法律で定めるという内容だ」と述べました。


罰則 賛成できない 新型コロナ対策 特措法改定で志位委員長
                        しんぶん赤旗 2021年1月5日
 日本共産党の志位和夫委員長は4日、記者団から、政府が新型コロナウイルス対策の特措法改定案に事業者への罰則を盛り込む方向で検討していることについて問われ、「罰則を入れ込むことは賛成できない。結局、罰則だのみになってくる。それでは問題の根本解決にはならず、国民の間に分断を持ち込み、警察国家になっていくという心配もある」と強調しました。
 そのうえで、「十分な補償こそ大事であり、それによって感染拡大防止の実効性を担保すべきだ」と述べ、「そもそも特措法を改正しないと補償が出せないわけではなく、政治が判断すればすぐにできる。そのための政治決断こそ必要だ」と語りました。


主張 緊急事態宣言検討 コロナ対策の根本姿勢改めよ
                        しんぶん赤旗 2021年1月5日
 新型コロナウイルス感染の急拡大に歯止めがかからない中、菅義偉首相が4日の記者会見で、緊急事態宣言の発令を検討すると表明しました。東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象とし、週内にも宣言する方向です。状況をここまで深刻化させた菅政権の責任が問われます。しかも、菅首相の記者会見では、検査・医療の抜本的拡充策も、営業や雇用への強力な支援策についても踏み込んだ発言はありませんでした。このままでは宣言をしても実効性のある感染抑止策になりません。菅政権は根本姿勢を改めるべきです

要請と補償は一体で
 緊急事態宣言は、昨年3月に改定された新型インフルエンザ特別措置法による措置です。首相は専門家の意見をもとに発令し、対象地域の都道府県知事は、法的根拠に基づく休業要請などができるとしています。昨年4月の感染拡大の際には、7都府県でまず発令され、全都道府県に拡大されたのち5月に段階的に解除されました。
 今回検討に入った緊急事態宣言について、菅首相は「限定的、集中的に行う」と述べました。飲食店への営業時間の短縮要請などを中心に行うことが念頭にあるとみられます。しかし、「内容を早急に詰める」というだけで、補償については触れませんでした。これでは飲食店の経営者や労働者に不安を与えることにしかなりません。
 今度こそ「要請と一体の補償」という感染対策の鉄則を貫くべきです。昨年の緊急事態宣言では、当時の安倍晋三政権による補償は全く不十分で、多くの飲食店がかつてない苦境に陥りました。経営が立ち行かず事業継続を断念した店も少なくありません。宣言解除後も感染が収束しきらないまま秋から冬の「第3波」に突入し、年末年始の書き入れ時が直撃されています。飲食店で働く労働者も収入の手段が断たれ、住まいまで失う事態が後を絶ちません
 営業を支え、雇用を守る対策と一体となった措置でなければ、国民の暮らしはいよいよ成り立ちません。感染の抑止に実効性を持たせるためにも、菅政権は要請と一体での万全な補償を明確に打ち出すことが必要です。持続化給付金や家賃支援給付金の打ち切り、雇用調整助成金のコロナ特例の縮小は許されません。
 ひっ迫する医療体制の中で苦闘する医療機関などへの本格的な支援強化について菅首相が言及しなかったことは大問題です。感染者急増で年末年始も懸命に奮闘している人たちに対し、あまりに冷たい姿勢です。医療機関への減収補填(ほてん)、医療従事者への特別手当の支給を早急に行うべきです。自治体がPCR検査拡充に躊躇(ちゅうちょ)なく取り組めるよう全額国費で検査を行う仕組みをつくることが重要です。

「人災」は許されない
 感染拡大に拍車をかけた「Go Toトラベル」に固執し続けることは、あまりに重大です。危機的事態を招いたのは、菅政権による「人災」という他ありません
 野党の国会延長要求に逆らって、昨年12月早々に臨時国会を閉じたことは、菅政権に危機感がなかったことの象徴です。
 昨年、「勝負の3週間」などといいながら無為無策を重ねた菅政権への国民の不信と批判は高まるばかりです。政治の抜本的な転換が急がれます。