2021年1月7日木曜日

緊急事態宣言解除はGW以降になる/菅・二階内閣は退陣すべき

 6日の新規感染者数は全国で6001人と過去最多となりました。死者数も12月30日と並ぶ65人で過去最多となりました。
 東京都内では6日、1591人の過去最大の新規感染が確認され、はじめて2日連続で1000人を超えました。また新規感染者数の7日間平均値は 12月1日が444・3人だったのに対し、5日は979・4人になり、1か月あまりで2・2倍に増加し過去最多となりました(接触率が一定でも感染率が上がればその分感染者数が増えるので増加は加速します)。

 政府は7日首都圏の緊急事態宣言を出す予定ですが遅きに失しました。白鴎大の岡田晴恵教授は慎重に言葉を選びながらでしたが、4「羽鳥慎一モーニングショー」で、「11月に出せば良かった」と述べました。「1ヵ月以上も遅れた」という意味です。
 それなのにどうも政府は飲食業の「時短」に留めた上に、1月間で鎮静できると考えているようです。
 西浦博・京都大教授(感染症疫学)が6日までにまとめた予測によれば、首都圏昨年4~5月の宣言時に近い厳しい対策を想定しても、東京の1日当たりの新規感染者数が100人以下に減るまで約2カ月が必要とされています。何よりも飲食店の営業時間短縮を中心とした施策のみの場合、感染者数は2カ月後も現状とほぼ同水準1300人/日)留まりました。 ⇒ 東京の感染者数シミュレーション 十分に減少させるには(NHK)

 これでは飲食業者の死命を制することになる「時短」を要請してみても何の効果もなく、宣言解除の見通しはゼロです。とても、「経済を回す」とか「東京五輪で起死回生を期す」どころの騒ぎではありません。
 本当にそれでいいのか。本当に感染を抑制することができるのか。
 日刊ゲンダイが別の角度から緊急事態は4ヵ月に及ぶとする趣旨の記事を出しました。
 併せて東京新聞の記事「『緊急事態宣言で感染下火の保証ない』尾身会長」と植草一秀氏のブログ「菅二階利権ファースト内閣 引退勧告」を紹介します。
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緊急事態宣言解除はGW以降 4カ月長期戦必至「3つの根拠」
                          日刊ゲンダイ 2021/01/06
 第3波の勢いが止まらない。5日の新型コロナウイルスの感染者は全国で4900人を超え、またもや過去最多を更新。7日、菅首相は首都圏の1都3県への「緊急事態宣言」発令を決定するが、昨春の第1波をはるかに超える大波を抑え込むのは至難の業だ。政府がもくろむ短期決戦どころか、4カ月超の長期戦を強いられそうだ。その根拠は少なくとも3つある。
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【スケール】
 昨春の感染者数のピークは4月10日の708人。緊急事態宣言が奏功したとはいえ、数十人レベルに落ち着くまで約1カ月半の「STAY HOME」が必要だった(別表のグラフ)。
 直近の感染者数は4000人超の高水準だ。ここから数百人レベルに減らしていくだけでも前回以上の時間を要するのは確実だ。しかも、現状がピークとも考えにくい。グーグルの感染予測(5日時点)によると、1月3日から同30日までの28日間の感染者は16万人超と、1日当たり6000人近くと見込んでいる。ピークアウトのスタートラインがさらに高まる可能性も十分あり得る。

【気温】
 北京大のグループは、気温が1度上がると感染者が約3%減ると解析している。昨春の第1波は日に日に暖かくなる気温要因が感染縮小に寄与したと考えられる。実際、前回発令の4月7日の東京の平均気温は12・4度だったが、解除された5月25日には21・6度と10度近くも上昇していた。
 ところが、今回は逆だ。気象庁のデータによると、1月5日の東京の平年の平均気温は5・5度。下旬には4・9度まで下がる。その後、上昇に転じるが、感染者が800人程度だった11月初旬の15度程度になるのは、4月下旬まで待たなければならない。

【二番煎じ】
 全国で実施された前回は、人と人との接触を「最低でも7割減らす」ことが求められた。ところが、今回は4都県に限定し、飲食店の時短営業が中心。はたして絶大な効果が望めるのか、はなはだ疑問である。
 さらに、“二番煎じ”はどうしてもインパクトが弱い。
 コロナ対策にあたる政府分科会の尾身茂会長は5日の緊急会見で「緊急事態宣言そのもので感染が下火になる保証はない。必要ならさらに強い対策もあり得る」と発令前から追加対策をにおわせた。終盤には「なかなか協力を得るのが、(昨年)4月に比べると困難になった」と発言。表情も含めて自信なさげだった。

長期戦は避けられない
 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。
「感染者、重症者、死者の数、病院の逼迫度は昨春よりもはるかに深刻な状況下で、寒さや変異種などの悪材料も加わっています。それなのに、前回よりも狭く、緩い対応でうまくいくわけがありません感染が収まらず、追加で対象地域を拡大したり、規制を強化することになるのでしょう。長期戦は避けられません
 東京五輪開催をにらんだ政府の短期決戦シナリオはどう考えても大甘だ。解除まで最低でも4カ月はかかり、GW以降も緊急事態宣言が継続していてもおかしくない。


「緊急事態宣言で感染下火の保証ない」尾身会長、コロナ拡大の長期化に言及
                          東京新聞 2021年1月5日
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は5日、「埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏では、既にステージ4(爆発的感染拡大)に相当する対策が必要な段階に達している」として、行政機関や大企業での極力7割のテレワーク実施やイベント開催要件の強化などを求める緊急提言を発表した。
  分科会の尾身茂会長は記者会見で、首都圏を中心に感染拡大が続いており「緊急事態宣言を発出すべき時期が来ている」と述べた。
 また「緊急事態宣言で感染が下火になる保証はない。1~2週間の単位では無理だ。必要ならさらに強い対策もあり得る」と強調。1カ月ぐらいで感染状況を1段階下のステージ3(感染急増)に近づけたいとの認識を示した
 提言は、首都圏では重症者や死者が増加し、通常の医療や高齢者福祉にも深刻な問題が出ていると分析。首都圏の感染状況が沈静化しなければ、全国的かつ急速なまん延の恐れがあるとした。
 具体的な対策としては、首都圏では不要不急の外出・移動の自粛のほか、テレワークの徹底や収容率を50%にするなどのイベント開催要件の強化を要請。大学や職場などでの飲み会の自粛、テークアウトの推奨も必要だとしている。(共同)


菅二階利権ファースト内閣 引退勧告
                植草一秀の『知られざる真実』 2021年1月 5日
菅内閣の能力不足が日本の市民を不幸に陥れている。
東アジアのコロナ被害は相対的に軽微だ。
中国、台湾、韓国、日本を比較してみる。人口100万人当たりコロナ死者数は
台湾    3人
中国    3人
韓国   19人
日本   29人
欧米では
ベルギー 1700人
イタリア 1253人
英国   1108人
米国   1091人
だ。
日本の人口当たりコロナ死者数は欧米比では30分の1から50分の1だが、中国の10倍、台湾の100倍だ。
コロナ感染抑止のための菅内閣政策対応が後手後手だ。
国内の新規陽性者数が1660人になり、3ヵ月ぶりに過去最高を更新したのが11月12日。11月18日には新規陽性者数が初めて2000人を超えた。

東京がGo Toに組み込まれたのが10月1日。人の移動拡大が3週間後の新規陽性者数拡大につながる。この関係を順当に反映して新規陽性者数が急増した
11月20日にコロナ対策分科会が感染拡大地域のGo To見直しを提言。「英断を心からお願いする」と述べた。
しかし、菅内閣は11月21日からの3連休の人出拡大を意図的に放置した。感染抑止よりも旅行業界への利益供与を優先したのだ。
札幌、大阪、遅れて東京でGo To見直しが行われたが、すべて、それら地域を目的地とする旅行だけの停止で、これら地域を出発地とする旅行は停止されなかった。

11月21日からの3連休の人出拡大を背景に12月中旬から新規陽性者数が急増した。
12月12日には全国の新規陽性者数が初めて3000人を突破した。
このなかで菅義偉首相は12月11日にニコ動に出演。「ガースーです」と自己紹介し、Go To一時停止について問われると、「そこはまだ考えていません」と答えた
12月12日に新規陽性者数が3000人を超え、12月13日発表の毎日新聞世論調査で内閣支持率が40%に急落する一方、不支持率が49%になって支持、不支持が逆転した。
世論調査結果を受けて菅首相の態度が急変。
12月14日にGo Toトラベルの全国一時停止が表明された。
しかし、菅首相はその発表後に銀座で開かれた8人でのステーキ忘年会に参加。
GoToの一時停止も12月28日からの実施とされた。

感染拡大を放置すれば影響は幾何級数的に拡大する。2週間後の実施という判断に菅内閣の驚愕の「のろさ」が表れている。
12月31日、東京都の新規陽性者数が1300人を超えた。
これを受けて1月2日に首都圏1都3県知事が緊急事態宣言発出を要請した。菅首相が対応することは可能だったが、表に立たなかった。
しかし、内閣支持率がさらに急落することは必至で、この点に思いを致したのか、1月4日になって緊急事態宣言の検討に入ることを表明した。
12月28日から実施した外国人の入国制限も、もっとも数が多い、感染状況が落ち着いている国・地域を対象にした、
 1.出張などの短期滞在者を2週間待機免除で受け入れること
 2.駐在員や技能実習生などの中長期滞在者を2週間待機付きで受け入れること
を除外したものだった。

菅首相は「先手先手」と自画自賛したが、ザルの入国規制だった。
1月7日に発出されると見られる「緊急事態宣言」もザル宣言になる可能性が高い。
単なる「夜8時以降の飲み会禁止」宣言に過ぎないものになる可能性が高い。
相変わらず「戦力の逐次投入」で、「戦略失敗の認定と撤回」が行われない。
菅中将のインパール大作戦は大失敗に終わり、菅中将は責任を明らかにする必要が出てくる。
それでも菅中将は、「作戦は私のせいではなく、部下の無能さのせいで失敗した」と言い張るのだろうか。

            (以下は有料ブログのため非公開)