2014年4月28日月曜日

「安保法制懇」の結論が出次第 5法案を改正 公明党の合意が条件

 
 安倍首相の私的懇談会「安保法制懇」が5月中旬に報告書を提出した後、政府は自衛隊法など集団的自衛権の行使容認に関係する5法案を先行で改正する方針を固めました。
 報告書の提出直後に出す「政府方針」にそれを明記する予定ですが、公明党は行使容認に慎重な姿勢を崩していないので、同党との調整作業に悪影響を及ぼさないように、政府方針には「集団的自衛権」という言葉は使わないということです。
 
 政府が先行して法改正を進めるのは、自衛隊法と周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法、武力攻撃事態対処法の5改正案です。本来は全部で11法案の法改正や新規立法が必要なのですが、先行して行う改正案を絞り込むことで秋の臨時国会での審議を円滑に進めようとしています。
 
 要するに安倍政権は公明党への配慮以外は何の斟酌もなしに、「安保法制懇」が報告書を出し次第、まっしぐらに憲法9条の実質的解釈改憲に進もうとしています。その点の狂気はまさに健在なのですが、唯一、公明党の反対だけが阻止力になっています。
 
 その公明党は、日本が攻撃されていないのに海外で武力を行使できるようにするのは、憲法の平和主義の変更に当たり越えてはならない一線だとして、党幹部たちは集団的自衛権の行使は憲法9条に反すると発言しています。
 
 党代表として何事にも慎重に発言してきた山口那津男氏も、23日のBS番組で、安倍首相が行使容認の解釈改憲に意欲的なのに対し、「海外で武力を使うのは大きな変化。政府が憲法解釈を変えましたと閣議決定してしまうことには異論が大きい」と指摘し、解釈改憲は「憲法の精神にもとる」と批判しました。これほど明確に自民党の方針に反対を表明するのは異例といわれています。
 
 自民党には公明党との連携がなくなると当選できなくなる議員が沢山います。そうした部分には公明党との連携維持の強い願望があり、それがみんなの党や維新の会などとは比較にならない公明党の強みになっています。
 そのことも自覚して、公明党には『平和の党』として頑張って欲しいものです。
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集団的自衛権の行使容認 5法案先行改正 政府方針に明記へ
 与党間調整にも配慮
産経新聞 2014年4月27日
 政府は26日、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が5月中旬に報告書を提出した後、自衛隊法など集団的自衛権の行使容認に関係する5法案を先行改正する方針を固めた。報告書の提出直後に出す政府方針に明記する。自民、公明両党間の調整作業への影響を極力抑えるため、政府方針には「集団的自衛権」という言葉は使わない方向で調整している。
 
 複数の政府関係者によると、政府が先行して法改正を進めるのは、自衛隊法と周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法、武力攻撃事態対処法の5改正案。
 これらのうち自衛隊法は他国による組織だった武力攻撃に至らない場合でも、自衛隊による領域警備を可能にすることが主な改正内容。PKO協力法の改正ではわが国の領域外での武器使用基準の緩和を目指す。船舶検査活動法は、米国を攻撃する国に武器を持ち込む船への立ち入り検査を可能にするよう改正する。
 集団的自衛権の行使を容認するために必要な法改正や新規立法は計11法案。政府としては、先行処理を目指す改正案を絞り込むことで秋の臨時国会での審議を円滑に進める思惑がある。
 
 ただ、現状では集団的自衛権は行使できないというのが政府の立場。解釈変更を閣議決定する前に立法作業を行えば、憲法違反の恐れが出てくる。このため政府方針では「法改正に向けた環境整備を進める」などと控えめな言い回しにすることも検討している。
 
 一方、公明党は行使容認に慎重な姿勢を崩していない。5改正案の改正内容には個別的自衛権の範囲内で対応できる部分もある。こうしたことから、政府方針では「集団的自衛権」の表現を避け、自公協議への影響を抑えたい考えだ。
 
 
公明「平和の党」正念場 安保政策 結党時から変遷
 東京新聞 2014年4月27日
 集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲に公明党が反対の姿勢を強めている。結党当初は自衛隊の存在も認めず「平和の党」を看板にしつつも、徐々に現状を追認。連立政権参加後は自民党に足並みをそろえてきた。しかし、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使を認めてしまえば、党の存在意義を失うとの指摘は党内外に多い。公明党は傷だらけの看板を守ることができるのか。
 
 公明党は結党五年後の一九六九年の党大会で「すべての国際紛争は、絶対に武力によらず外交手段で解決すべきだ」との「絶対平和主義」を掲げ、日米安保条約の段階的解消と完全中立を主張。自衛隊は「正当防衛の名で他国基地攻撃を是認している」と認めず、代わりに「国土警備隊」創設を提案した。
 方針が変わるのは八一年の党大会。安保条約は現実的にやむを得ないと容認。自衛隊は「日本の領域を守ることに限定する」ことで認めた。提起以来、四年の議論を経た結果だった。
 九〇年代、国連平和維持活動(PKO)協力法に慎重姿勢をみせたが、条件付きで賛成した。
 九九年からは自民党と連立政権を組む。米国の「テロとの戦い」に際し、公明党は自民党にひきずられるように、インド洋で活動中の米軍など多国籍軍への海上自衛隊の給油活動を可能にするテロ対策特別措置法や、イラクでの陸上、航空両自衛隊の人道支援や多国籍軍支援を可能にするイラク復興支援特別措置法に賛成した。
 連立参加後の公明党は、自民党にむげにされてもついていく「げたの雪」と揶揄(やゆ)されることがある。しかし、政権にとどまり、自衛隊の活動を集団的自衛権の行使に当たらないように憲法九条の解釈の枠内にとどめるよう主張し、実際に収めてきたと公明党は自負している。
 
 公明党としては、日本が攻撃されていないのに海外で武力を行使できるようにするのは、憲法の平和主義の変更に当たり、越えてはならない一線との思いが強い。
 安倍晋三首相が行使容認の解釈改憲に意欲的なのに対し、山口那津男代表は二十三日のBS番組で「海外で武力を使う(ことが可能になる)のは大きな変化。政府が憲法解釈を変えましたと閣議決定してしまうことには異論が大きい」と指摘。解釈改憲は「憲法の精神にもとる」と批判した。
 党代表として、何事にも慎重に発言してきた山口氏がこれほど強い表現で考えを示すのは異例だ。
 山口氏は周辺にも「海外で武力行使する本質を理解すべきだ」と語り、危機感を募らせている。党幹部は「これを認めたら『平和の党』ではなくなる。絶対譲れない」と話す。
 
 

2014年4月27日日曜日

米議会がオバマ大統領にTPA(≒交渉全権)を与えないわけ

 3月3日の「TPP交渉は頓挫する可能性が・・・」(※1) でも紹介しましたが、オバマ大統領は依然としてTPA(貿易促進権限※2)を議会から与えられていません。
    ※2  アメリカ合衆国議会への事前通告等の条件を課す代わりに、議会は、大統
       領と外国政府との通商合意の個別内容の修正を求めずに一括承認するか
       不承認とするもの。
 
 これが与えられていないと、仮にTPP交渉で合意してもその内容について議会から個々に修正を要求される余地があるので、確定的な交渉ができません。
 
 これは勿論TPP交渉締結を阻害する要因として歓迎すべきものです。
 
 オバマ氏の来日に伴ってTPP交渉がクローズアップしたことに関連して、「TPP 日本は米国のカモ」などのツィートを発表している内田聖子氏(アジア太平洋資料センター事務局長)が、「米議会はなぜ大統領にTPAを与えないのか」について、米議会の事情を詳しく説明しているので紹介します。
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米議会はなぜ大統領にTPAを与えないのか
内田聖子ツィート2014年4月24日より
 TPP交渉難航による日米共同宣言の先送り、どのメディアもあほな報道ばかり。
 「まとめる」ことが無批判に目標とされ、誰も「聖域が守られず、公約を守れないなら脱退を」との見解を示さない。
 逆に「日本も譲歩しなければまとまらない」との論調。
まさにオバマ来日という「ショック・ドクトリン」。
 
報道ステーションにて。
 「TPPで米国はさらに強硬になり、『TPPで日本が譲歩しなければ、日米共同宣言に尖閣についての言及がなくなるぞ』」と米国が脅しをかけている、とのこと。
 報道ステーションでやっとTPA問題を触れた。
もっとはっきり「オバマは貿易交渉権をもっていない。米国議会にかけられている権限取得法案も可決の見通しがまったくない。そんな大統領と交渉しても意味ないよ」という話をしてほしいもんだ。
 関税ゼロでまとめない限り持ち帰れないわけだから。
 オバマ大統領来日に伴い、各メディアではワシントン支局などの記者がコメントしているのだが、米国内(特に議会)でのTPP交渉とTPA(貿易促進権限)問題の動きについて語らない。
 知らないはずないんだけどな~。
ということでこれから連ツイします。
 
 【米議会はなぜ大統領にTPAを与えないのか】
 米国大統領は国際協定交渉の権限を持つが、貿易協定に関しては議会の承認が必要である。
 例えばブッシュ大統領が2007年に署名した米韓FTA を議会は承認せず、4年後に韓国が米議会の求める牛肉、自動車等の再交渉に同意するまで承認しなかった。
1973年、ニクソン大統領は大統領に貿易権限を委任する「追い越し車線(fast track)」とよばれるしくみを作り出した。
これにより本来議会の管轄である貿易と無関係の食品の安全、特許等に関する法律もその範囲内で扱われるようになった。
TPAが作られた時代は、貿易協定といえば主として関税に関するものだった。
しかしTPAがWTOやNAFTAなどサービス分野や非関税障壁を含む貿易交渉に利用されるようになると議会は大統領に貿易促進権限を与えることに否定的になっていった。
1998年171 名の民主党議員、71名の共和党議員が当時のクリントン大統領へのTPA付与を拒否。
ブッシュ大統領もTPA付与のために2年間もかかって議会を説得した。
この20年間で議会がTPAを認めたのはブッシュ大統領時代の5年間のみ。
 
さてオバマ大統領。
 2013末201人の下院民主党議員のうち151人がこれまでのようなTPA(貿易促進権限)を支持しないと表明。
 30人の下院の共和党議員が同様の主旨でオバマ大統領に書簡を送った。
 米議会の中には、特許、著作権、食品安全、政府調達、財政、医療、エネルギー、環境、労働者の権利等々、議会や立法府の政策を拘束してしまうTPPのような貿易協定の交渉権限を大統領に与えることは危険だという認識が広がっている。
しかし早期妥結したいオバマ政権の意向で2014年1月、貿易促進権限法は米議会に提出された。
ところが提出から1か月でほとんど全ての下院民主党議員が反対表明。
 権限法案反対の民主党・共和党議員を合わせると法案成立に必要な218票は残らない。
 米議会の有力者たち、ティーパーティのグループも、オバマ大統領に貿易権限を与えるTPA法案に反対の立場を明らかにしている。
もちろん市民社会の側も反対キャンペーンを盛んに展開してきた。
 米議会がオバマ大統領への貿易権限付与に否定的なのは、オバマ政権が徹底して議会を軽視し、情報も出さないという状態が続いたからだ。
 
 例えば貿易担当官僚は議会からの質問回答を拒絶。
 151名もの下院議員による書簡も何ヶ月も放置されていた。
もちろん議会の要望の中には、より「アグレッシブな」内容をTPPに盛り込めという声もある。
 例えば民主共和議員の圧倒的多数がTPPに通貨操作禁止規制の条項を要求しているが、USTRがこれを無視しているためTPP反対と言明している。
とにかく、リベラルな立場であれ保護主義的な立場であれ、はたまた新自由主義的な市場主義派であれ、オバマ政権・USTRが議会の意向を無視しているという1点で、米議会は大統領に貿易促進権限(TPA)を与える気はない、ということだ。
なので、日本政府はオバマ大統領に対して、「あなたは貿易促進権限(TPA)を取得してから交渉に来てください。そうでないと一度決めたことを持ち帰って米国議会が反対したりすれば、また一からやり直しになるじゃないですか」といえばいいのです。
 「日米共同声明の発表は最終調整中と官房長官――菅官房長官は、日米首脳会談に伴う共同声明の発表について「現在、最終調整中だ」と述べた。」。
 異例中の異例の出来事。
 結局、TPP関税交渉はまとまらなかった。
どう考えてもTPP交渉は日米両国にとって「無理」であることの証明だ。
 
 「TPP妥結へ「大胆措置」=「尖閣に安保適用」明記―日米共同声明、1日遅れで発表」 http://ow.ly/w8Ryz  発表がされた。
 【重要】先ほど出た日米共同声明の全文です(一度間違えて送信してしまいました。
こちらが全文です)  http://ow.ly/d/26NX 
 
 TPP交渉がまとまらなかったために日米共同宣言が今朝までだされないという事態。
 今回意味ある内容が出されることはないと思っていたが、ここまでの「失態」になるとは。
 参加国は冷ややかに、シビアに日米両国のドタバタ劇をみている。
ドタバタで無内容の日米共同声明に一瞬安堵する気分もないわけではない。
しかしこれから来る最悪のシナリオの可能性がそれを打ち消す。
それは日米どちらかが「狂気の」判断をしてしまうこと。
 日本の側であれば関税撤廃(に限りなく近い)に妥協をするということだ。
むしろ最重要警戒はこれから。
 少し前、堀潤さん (@8bit_HORIJUN) とオバマ大統領来日と日米共同声明、TPP交渉の行方など電話でお話し。
マスメディアが伝えない米国議会内のTPA反対、大統領アジア歴訪中に展開される米国の反TPPキャンペーン・・・などなど話は尽きなかった。
 番組の参考になれば幸いです。
 
 

米大統領が慰安婦問題に異例の言及

 韓国を訪問中のオバマ米大統領は25日、朴槿恵大統領との共同記者会見で、日韓関係をめぐり「従軍慰安婦問題はおぞましくひどい人権侵害だ。ショッキングな被害を受けた元慰安婦たちの声を聞き、尊重しなければならない。何が起きたのか明確な説明も必要だ」、と述べました。
 
 また朴大統領は日本政府に「誠意ある努力」を重ねて求め、元慰安婦の高齢化が進んでいることを踏まえ「時機を逃せば、永遠に解決できない問題になってしまう」と述べました。
 
 米大統領が従軍慰安婦問題に直接言及するのは極めて異例なこととされています。
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米大統領 「慰安婦問題は人権侵害」
東京新聞 2014年4月26日
 【ソウル=竹内洋一】韓国を訪問中のオバマ米大統領は二十五日、朴槿恵(パククネ)大統領とソウルの青瓦台(大統領府)で会談した。オバマ氏は会談後の共同記者会見で、日韓関係をめぐり「従軍慰安婦問題はおぞましく、ひどい人権侵害だ。安倍晋三首相と日本国民は過去について、より正直に、公正に理解しなければならないことを認識しているだろう」と述べた。
 
 米大統領が従軍慰安婦問題に直接言及するのは極めて異例。日本政府に法的謝罪と国家補償を求める韓国側を後押しした形だ。オバマ氏は二十四日の安倍首相との首脳会談で安全保障面で日本側の期待に沿う発言を繰り返したが、歴史問題に関しては、安倍政権に自制的な対応を求める姿勢を明確に示した。
 オバマ氏は従軍慰安婦について「戦争中であってもショッキングな被害を受けた、彼女たちの声を聞き、尊重しなければならない。何が起きたのか明確な説明も必要だ」と指摘。慰安婦の強制性をめぐる議論には触れなかった。
 
 その上で、日韓両国に対し「歴史問題を原因とする緊張を解決し、未来に向け繁栄と平和のために努力しなければならない。これが戦争の最大の教訓だ」と関係改善を促した。
 
 朴大統領は日本政府に「誠意ある努力」を重ねて求めた。元慰安婦の高齢化が進んでいることを踏まえ「時機を逃せば、永遠に解決できない問題になってしまう」と述べた。
 
 

「台湾ブログ」を紹介します

 サーチナニュースに載った「台湾人のブログ」を紹介します。
 日本人の習慣やサービス精神また日本の社会の安全さなどを、興味深くまた好意的に見ていることが伝わってきます。
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【台湾ブログ】長年住んでも、日本人は「面白く感じる」 
サーチナニュース 2014年4月22日 
 日本人に嫁いだ台湾人女性が、「奇妙な日本:住宅編」というタイトルで、ブログ文を発表。「長年住んでも面白く感じる」日本人の慣習や特徴などを書きつづった。
 asaalaH(ハンドルネーム)さんは、日本の奇妙なところを台湾の友人たちに紹介したいという気持ちで、ブログに書き込み始めたとのこと。「住み慣れて何度見ても面白い」そうで、いくつか例を挙げ解説した。
 最初に挙げたのは、「人間性を試す農産物」だ。筆者は「農民が、採れた農産物を道端に並べ、値段を張って置きっ放しにする。すると買う人がやって来て、代金を集金箱に入れるのだ。お金を盗む目的で来る人はいない!」と、衝撃の事実を載せた。
 「これが台湾なら、農産物もお金も盗まれているかもしれない」というのが、正直な思いのようだ。生産者と消費者が信頼関係で結ばれ、無人でも犯罪が起こらない日本のシステムは、台湾の人々にとって信じ難いようである。
 続いて「自宅で花見ができる」環境を作っていることにも、驚いているという。「日本人は桜が大好き。お花見を楽しむ習慣があるが、自宅の庭に桜の木を植えている人が意外に多い」ことに気付いた筆者は、近所を歩きながら美しい桜を度々見つけ、鑑賞しているようだ。台湾の住宅で庭の木を鑑賞する機会はなく、物珍しいのだろう。
 また筆者は、「日本の住宅街が静かすぎる」ことに、少々戸惑っている様子。スーパーや郵便局のある便利な場所よりも、閑静な地域に家が建ち並んで土地代も高いことに驚き、「日中でも誰にも会わない時があるほど静か。便利さを追求する台湾とは全く違う。
 台湾は駅やスーパー、商店街に近ければ近い所が人気で、どこを歩いていても人に会う」と、比較した。人や交通量が多いにぎやかな場所に住みたがらない日本人の姿を、筆者を始めとした台湾の人は不思議な気持ちで見ているのかもしれない。
 最後はゴミの出し方、と筆者は挙げた、「ゴミをきれいにまとめ、秩序を守っている」のが日本人だそうだ。「日本の各地域すべてとは保障できないが、私の近所はこう」とゴミ置き場の写真を載せ、「住民は週に2回程度、袋に入れたゴミを路上に出す。
 カラスや野良猫防止の網がかけられ、資源ゴミの回収は別日に設定されている」と、ゴミの種類と曜日もキチンと分けられていることを紹介した。
 続けて「ゴミなのに、キレイに並べられている」と整然とした置き場に感心し、「回収やリサイクルは、日本と同様台北でも行われているが、キレイにゴミを並べることはできていないだろう」と、日本人のマナーの良さを褒めた。
 以上が筆者が感じた日本の奇妙なポイントだ。無人販売所でも決められた商品代を払い、住居は便利さよりも静かな環境を選ぶ。そしてゴミ出しでもルールを守り、秩序を保っているのが日本人であることを訴えている。筆者によるとこれらは「住宅編」とタイトルが付いているので、日常生活や日本人との付き合いなど、経験を通していろいろと感じていそうだ。日本人のイメージとして、キチンとしている生真面目な国民性を痛感していることだろう。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)
 
 
【台湾ブログ】サービス精神あふれる日本人の接客 
サーチナニュース 2014年4月17日 
 日本へ何度も旅行している台湾人女性が、サービス精神あふれる日本人の姿勢や魅力をブログに載せた。これまでの経験から日本人に接するのは慣れているものの、驚くこともまだあるらしく、あらためて「日本人の奥深さ」についてつづっている。
 20年近く前に日本語を学び始め、日本や日本人について知識が深そうなChoyce(ハンドルネーム)さんは、「90度のお辞儀に敬語、丁寧な言葉使いなど、日本の独特な感覚には慣れている」と公言するほどの人物だ。長年に渡って日本を訪ね、国民性や習慣を学習し知り尽くしたようだ。
 そんな筆者をビックリさせたのが、携帯電話会社のカウンタースタッフだったという。ソファに座ってカタログを見ている客のそばで、「ひざを地面につけ、低い目線で会話をしていた」そうだ。続いて東京原宿の美容室にカットに行った時には、「美容師は着席した私に対してしゃがみ込み、髪型の希望を聞いてきた」とのこと。
 筆者は「驚きすぎて言葉も出なかった」と述べている。顧客を敬い丁寧に接客する日本人の姿勢は、外国の人々を驚かすこともあるようだが、少々過剰気味に映っているかもしれない。
 筆者は日本だけではなく世界各国を旅しているようだが、その理由は「いろんな国に行くのは、日本に行き過ぎた後のリフレッシュ」だという。日本と他国を比較したい、違いを感じたいという思いを強く持っているようだ。
 「だが騒がしくてゴミゴミした中国にいると、適度な距離を保ってくれる日本が恋しくなる。柵を飛び越えて地下鉄に乗り込むフランス人を見ると、秩序よく整列する日本人が恋しくなる。
 フィリピンの空港で当たり前のようにお金を請求されると、自然に法律を守っている日本がなつかしく感じる」と具体的な体験談を挙げ、日本の素晴らしさをつづってくれている。我々日本人が外国に行った時に思うことを、筆者も感じているようである。
 「毎回日本を離れる時に見送ってくれる友だちの優しさは、私の帰りをいつまでも待ってくれている安心感がある」と述べた筆者の周りには、友情に厚く親切な日本人が多そうだ。日本好きなのは、友人たちの影響が強いのかもしれない。
 また「何が良くて日本に何度も行くのか? と聞かれた際には“帰属感”と答えるだろう」と述べている。「それは別の国から与えられることのない感覚」と言い切っており、筆者の前世は日本人だったのではないかと思ってしまう内容だ。
 ブログの後半は「サービス精神あふれる日本人の心は、立派な文化財。異国文化を感じ取ることは、お金では買えない貴重な物なのです」と、締めくくった筆者。プライスレスな体験を求めて、各国への旅を続けると思われるが、その中でも日本は筆者を魅了して止まない特別な国のようだ。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)
 
 
【台湾ブログ】保護者がいない!電車通学する日本の小学生たちに驚き 
サーチナニュース 2014年4月14日
 「人間観察」が好きらしき台湾人が旅行で東京を訪れた際に、「平日を選んだので、電車通勤するサラリーマンの姿が見られる!」と喜んだ様子がブログにつづられていた。しかし、サラリーマン以上に気になった台湾では見慣れぬ光景に目を奪われたようだ。
 ハンドルネームmesonさんは、毎朝地下鉄の駅に行ったという。「地下鉄の駅では、スーツ姿で身を固めたサラリーマンが足早に電車に乗る姿が見られた」と述べ、じっくり観察。駅構内の様子として「台湾の電車は地下1階か2階程度を走っているが、日本は地下のかなり深い所まで掘って駅を作り電車を走らせている。地下鉄ひとつの路線の下に、さらにほかの路線が走っているのだ」と、日本ならではの地下鉄事情を伝えた。
 続けて「そういった構造は、土地代が高額な東京都には最適だと思う」と感想を述べた。そしてmesonさん自身は、電車内の混雑を避けるべく「都心とは逆方向に向かった」そうだ。
 都心に向かいたい時も、mesonさんは「混雑する電車を避けるべく、朝6時半の電車に乗った」とのことで、満員電車は避けられたという、そしてその車内で、驚くべき光景を目にしたそうだ。「可愛らしい小学生が、なんと自分たちだけで電車に乗って通学している」ことだった。大人の同伴はなく、子ども数人だけで電車で移動している姿にとにかくビックリしたそうだ。
 「身長120センチ程度の小学一年生位の子どもが、自分たちで電車に乗っているなんて! こんなに小さなうちから電車に乗っているのか!」と、言葉を変えて何度も驚いたことをつづっているあたり、予想できない意外な出来事という感じで本当に驚いたことが伝わってくる。
 mesonさんはその子ども達の電車通学シーンをこっそりカメラに収め、ブログに載せた。ぼんやりと写った写真なので顔や姿など特定できないが、制服姿にランドセルを背負った数人の子どもの様子はわかる。mesonさんは台湾に戻った後、その写真を息子に見せたところ「日本の子どもは、大人に頼らないなんてすごい! と言っていた」と、感服していたことを報告した。
 日本の子ども達に驚かされたmesonさんだが、平然としている大人たちも気になったようだ。「騒いでいる子どもがいても、乗客たちは嫌な表情ひとつしない。まるで遊園地……と思える電車だった」と、感想をまとめている。
 そして最後には「日本人は礼儀正しくて丁寧だが、電車の席は譲りたがらない。子どもに席を譲る場面は少ないだろうと思え、電車通学する日本の子ども達は実は大変な思いをしていたようだ」と締めくくった。
 台湾も電車や地下鉄が走っているが、筆者がひたすら驚くあたり“子どもだけで乗車”というケースはほとんどないのであろう。一般的な通学手段は徒歩か両親の送迎なのではないだろうか。小学校低学年なのに大人の同伴無しで電車に乗ることは、イメージできない程“ありえない”ことなのかもしれない。
 そして台湾の人々の多くは電車やバスの中で、お年寄りや妊婦、子どもを見つけると声をかけ席を譲るのが一般的。mesonさんが、「日本人は席を譲りたがらない」と感じてしまうのは当然なのかもしれない。外国人は電車の中で、“これぞ、日本”と思えるいくつかの光景を目にしている可能性がありそうだ。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)
 
 
【台湾ブログ】名古屋のモーニングサービス、朝から幸せな気持ちに 
サーチナニュース 2013年12月22日 
 名古屋など中京圏の朝食サービス「モーニングサービス」は、1杯の飲み物を購入するとトーストなどの朝食が付いてくるといったサービスで有名だ。台湾人女性のYUKI(ハンドルネーム)さんは名古屋でモーニングサービスを体験し、その感想をブログで紹介している。
 筆者がモーニングサービスを楽しむために向かったのは宿泊していたホテルの近くにあった上島珈琲店だ。上島珈琲店は台湾にも進出しており、筆者も馴染みがあったため入りやすかったそうだ。
 上島珈琲店が提供しているモーニングサービスは6種類のなかから好きなメニューを選ぶことができる。筆者はトーストの上に1枚の分厚いチーズ、さらにはちみつとバターが乗った厚切りチーズトーストと紅茶を選択した。トーストを眺めているだけでよだれが出てきたという筆者は「はちみつとバターの組み合わせなんて、何て魅力的なんだろう」と大絶賛だ。
 さっそく厚切りチーズトーストを食べてみると、トースト自体が柔らかくてモチモチしており、あまりのおいしさについつい大きな口で食べてしまったという。決して甘すぎることなく、後味を楽しめる絶妙なおいしさだったという。紅茶とのセットで価格は500円というお得さだ。
 筆者の友人はベーコンエッグ&厚切りバタートーストを注文。見るからに新鮮なボリュームのあるサラダとバタートーストに友人も大満足だったらしい。筆者は名古屋のモーニングサービスに心から満足したようで「朝から幸せな気持ちにしてくれる素敵な朝食だった」と結んだ。
 筆者が名古屋のモーニングサービスに満足したようで何よりだ。名古屋など中京圏のモーニングサービスは、日本のほかの地域のモーニングサービスよりも量・質ともに並外れて良いと言われており、名古屋のモーニングサービスをスタンダードなものと思ってしまった場合、ほかの地域のモーニングサービスに不満を感じる恐れがあることだけが心配である。(編集担当:畠山栄)
 
 

安保法制懇が集団的自衛権の限定的行使を主張

 安倍首相が設置した私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、憲法が認める「必要最小限度」の実力行使に集団的自衛権が含まれるとする解釈変更を主張する報告書をまとめ、連休明けの5月中旬に提出するということです。
 
 こうした「限定的行使容認論」が出されることは早くから予想されていたことで、それが憲法9条との整合性でどのような観点から成り立たないことは、既に識者によって論じ尽くされた感じがあります。しかしそうした批判を意にも介さずに報告書が提出され、首相はこれまた鉄面皮にもその結論に従う形で憲法解釈変更の原案となる「政府方針」を策定する意向です。
 
 首相はまたオバマ大統領から行使容認に支持を得られた点も強調したいようですが、日本の首相から「集団的自衛権が行使できるように検討している」と言われれば、当然「そうして欲しい」というわけで、「その必要はない」と答える筈もありません。
 アーミテージ氏が石破氏に「経済の安定政策こそが必要」と話したことこそが米国の真意であり、中国との間で無用な摩擦を生じることではないことを理解すべきです。
 
 (関係記事)
     2014年4月24日「オバマ米大統領 書面インタビュー(読売新聞)」 
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集団的自衛権容認へ文民統制強調 安保法制懇の報告書概要
東京新聞 2014年4月26日
 安倍晋三首相が設置した有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使、安保法制懇)は、集団的自衛権の行使容認に向けた報告書の概要を固めた。憲法が認める「必要最小限度」の実力行使に集団的自衛権が含まれるよう解釈変更を主張。行使には、首相の総合判断や国会承認など6条件が必要として文民統制を徹底させ、抑制的な運用を図るとする内容だ。関係者が26日、明らかにした。
 
 首相は、オバマ大統領から行使容認に支持を得られたとして作業を加速する。大型連休明けの5月中旬ごろ報告書提出を受け、憲法解釈変更の原案となる「政府方針」を策定。(共同)
 
 

2014年4月26日土曜日

安保法制懇はどのような議論をしているのか

 首相の私的懇談会「安保法制懇」の報告書は5月連休明けにも提出され、政府はそれを受けて憲法9条の解釈についてまず「政府方針」を出し、その後解釈変更の「閣議決定」に持ち込もうとしています。いよいよ物に憑りつかれたような安倍首相が、前後の見境もなく憲法9条を蹂躙する暴挙に踏み出そうとしています。
 
 そんなことは絶対に許されないことですが、そのためには安保法制懇の報告書が発表からあまり時間をおかずに、直ちにその内容を批判して憲法解釈見直し論に対して先制的な反撃を開始しなければなりません。
 
 弁護士の井上正信氏が、その主旨に基いた準備作業ということで、「安保法制懇はどのような議論をしているのか(1)~(3)」の3部作を、「NPJ通信」に掲載しています。
 
 「立法事実論」というような難解な言葉も登場し、詳細で且つ長文の論文のため、掲載するに当たって事例検討の部分を全部省略するなど、極めて乱暴な抜粋をしました。
 
 記事のアドレスを載せましたので詳細は原文でご覧ください。
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安保法制懇はどのような議論をしているのか(1)
弁護士 井上正信 NPJ通信 2014年4月14日
第1 安保法制懇の議論の特徴
1 現在与党内で集団的自衛権行使の憲法解釈見直し論を巡る議論が進行しています。 今国会中にも集団的自衛権行使に関する政府解釈を変更するための閣議決定を行うため、自民党内での意見集約、公明党との調整を図ろうとする動きです。 この中で集団的自衛権を必要最小限度のものに限定するという 「限定容認論」 が浮上してきました。 自民党や公明党内にある慎重論、反対意見が強い世論に対して、「いや実はたいしたことではないんだよ」、と見せかけようとするものです。
 しかし、一旦憲法第9条のたがを外してしまうと、いくらでも拡大することは可能ですから、「限定容認論」 はごまかしであることは明らかです。
 集団的自衛権行使の憲法解釈見直しは、安保法制懇の報告書の提出を受けてからなされようとしています。 安保法制懇は今進行中の自民党内と公明との意見集約、調整を見計らってから提出されるでしょう。5月中ともいわれています。
 安保法制懇がどのような議論をしているのか、その内容を批判しておくことは、 報告書が提出されてから急速に進む解釈改憲の動きに私達が備える意味があると思います。
 
2 (中略) 6回の会議の中では、集団的自衛権行使、グレーゾーン事態、国際協調活動、自衛隊出動の手続き簡素化、サイバー攻撃をテーマに議論しています。
 集団的自衛権行使では、米国のみならず韓国、オーストラリア、東南アジア諸国、インドとの間の集団的自衛権行使を想定した議論をしています。 行使の地理的範囲では地域的な限定をせず、我が国周辺から中東地域での行使も視野に入れています。 行使の態様では、船舶検査(臨検)、共同戦闘、機雷掃海を想定しています。
 
 グレーゾーン事態とは、「領域主権や権益等をめぐり、純然たる平時でも有事でもない事態」 と定義されています。 これは、昨年12月に閣議決定された国家安全保障戦略や新防衛計画大綱でことのほか重視されています。 なぜグレーゾーン事態が重視されるようになったのか?
 (中略) グレーゾーン事態は現在の防衛法制では平時に該当します。ところが国家安全保障戦略、新防衛計画大綱がグレーゾーン事態を強調する意図は、 平時であっても自衛隊を対処活動の中心にしようとしているからです。具体的には尖閣諸島での日中間の紛争があります。 現在は海上保安庁が対処していますが、自衛隊がこれに代わって対処しようとするものです。 安保法制懇の議論は、自衛隊が対処すべきであるという結論に誘導しようとするものとなっています。 平時にあっても自衛隊という軍事力の役割を強めようとするものです。 (中略)
 
3 この様に安保法制懇は、単純に集団的自衛権行使を容認させるための議論だけではありません。憲法第9条と国内防衛法制では自衛隊ができない 「隙間」 がないか 「あら探し」 をし、だから集団的自衛権行使を容認すべきだ、 国内防衛法制を変えるべきだとの結論へ誘導しようとするのです。
 
 国内防衛法制や有事法制は個別的自衛権行使を前提にした法制度です。 限定的であれ集団的自衛権行使をしようとすれば、防衛法制全体を改正しなければ対応できません。 秋の臨時国会へ10数本の防衛法制を改正しようとしているのはこの意味からです。
 (中略)
 
第2 第3回で議論されたこと(5事例7ケース)
1~3 (省略)

 
安保法制懇はどのような議論をしているのか(2)
第1 第3回で議論されたこと(5事例7ケース)(続き)
1~4 (省略)
 
第2 第6回で議論された5事例 (省略)

 
安保法制懇はどのような議論をしているのか(3)
第1 なぜ安保法制懇はグレーゾーン事態を重視するのか
(中略)我が国の安保防衛政策においてグレーゾーン事態対処が重要課題になっているのです。 尖閣諸島を巡る中国との紛争を意識しているのです。
 
 グレーゾーン事態の特徴として指摘しているのは、それが有事に速やかに移行する(ウォーニングタイムが短い)ということです。 そのため事態の急速な進展に対して、シームレスな(つぎ目のない)対処が重要だというのです。 つまり、本来グレーゾーン事態は平時であり、警察権行使の場面ですが、軍事力の出番を前倒ししようということです。 平時に自衛隊を出動させ、有事に備えた活動を前倒しで行わせようとすれば、自衛隊の出動手続きを簡素化しなければならないとの要求が強まります。 さらに現場部隊の権限を強化しろとの要求になるでしょう。(中略)
 
第2 第6回で議論された5事例─続
1~5 (省略)
 
第3 安保法制懇はどのような提言をするか?
1 北岡座長代理が提起するもの
 外務省のオピニオン誌といわれている 「外交」 2014年1月号 「日本版NSCと中国の挑発」 という特集の中での、 「『積極的平和主義』 の実践に不可欠な司令塔」 との表題の安保法制懇北岡座長代理のインタビュー記事が掲載されています。 その中で北岡座長代理は、新防衛計画大綱、国家安全保障戦略、日本版NSC、秘密保護法が集団的自衛権行使の容認とワンセットであると述べ、 当面の焦点として次の三つの事例を挙げています。
  周辺事態での米軍支援・・・周辺事態法、同船舶検査法改正、自衛隊法改正
  国際協調活動での武器使用権限と活動の強化拡大・・PKO協力法改正、一般法制定
  シーレーン防衛
 これらが安保法制懇報告書の柱になることは間違いないでしょう。 この他にグレーゾーン事態について自衛隊による武力行使又は武器使用を提言すると思われます。
 
 安保法制懇は、以上の議論を通じて憲法解釈を見直して、集団的自衛権が行使できること、 国連の集団的措置には憲法第9条が適用されないとの見解を打ち出すはずです。 その上で、周辺事態法、自衛隊法の改正、集団自衛事態法の制定、自衛隊海外派兵一般法の制定などを提言すると思われます。 いずれも国家安全保障基本法案(概要)が求めている下位法です。
 
 2008年安保法制懇報告書は、4事例について憲法解釈を変更して可能とすべしとの内容でした。限定された事例を通じて一点突破を図ろうとするものでした。 現在安保法制懇が議論している内容は、これまで説明した事例から窺えるように、より包括的に集団的自衛権の行使容認と、 武力行使禁止原則の撤廃を意図したものといえます。
 
 2008年報告書は、4事例についての提言ですが、一方では憲法9条解釈論を展開しています。その解釈はきわめて特異なものです。 9条1項は侵略戦争を放棄するもので、自衛戦争、制裁戦争は可能とし(ここまでは通説又は多数説)、 9条2項 「前項の目的を達成するため」 を侵略戦争放棄という目的と理解するのです(限定放棄説、きわめて少数説)。 また、9条の武力行使禁止原則は、国連の集団的措置には適用されないと解釈するのです。この解釈では、憲法第9条はもはや無いも同然です。 国際法に反しない限りできるからです。
 
 今回の安保法制懇も同様の憲法解釈を打ち出すと思われます。2008年報告書の時と同じメンバーだからです(正確には1名が追加されています)。 安保法制懇報告書を批判する場合、憲法9条の解釈論から批判することはできるでしょう。私はそれよりも立法事実論の方が重要と考えています。 現在声高に主張されている憲法解釈見直し論は、私には大変奇異に感じるのです。憲法解釈論の範囲にとどまっているからです。 憲法解釈論にはいろんな学説があるので、解釈として可能だと言えば、それ自体は議論としてはあり得るので、完全に間違いとは言いがたいかも知れません。
 
 しかし、肝心な点は、なぜそのような解釈に変更するのかという立法事実論のはずですが、これがほとんどありません。 政府高官の間でも、地球の裏側まで行使ができると言ったり、周辺地域までだと言ったりするのは、立法事実論が抜け落ちているからと思います。 立法事実論は、別の言い方では政策論です。なぜ我が国が集団的自衛権を行使するのか、なぜ国連の集団措置で武力行使をするのか、 解釈の変更で何をしようというのか、どの地理的範囲で、どの国と、 どのような集団的自衛権を行使するのかといった肝心の議論が全くといっていいほどなされていません。 安全保障環境の厳しさを主張しても、それは理由にはなりません。なぜなら、北朝鮮や中国の脅威は個別的自衛権の問題だからです。 国際平和は一国だけでは達成できず、国際社会との協力が必要だと主張してみても、ではなぜ我が国が武力行使で参加するかという説明にはなりません。
 
 2008年報告書は4事例について提言しましたが、いずれも非現実的であるとの批判を受けました。 そのためか、今回はより多くの事例とより包括的な見直し議論を重ねているようです。 さらにこれらの事例のみを合憲とすべしとの趣旨ではないこと、類型を挙げて対処を考えていくということではイタチごっこになるから、 1981年の政府見解そのものを廃棄する必要性があるなどと勇ましい議論をしています。 この議論は私には、必要性や理屈はどうでもよい、とにかく政府解釈を見直すのだと聞こえるのです。 だが、政府解釈を見直すことを提言する以上、その立法事実論は丁寧になされなければなりません。立法事実を根拠づけるのが具体的事例であるはずです。
 
 ところが、具体的事例を検討したことからわかるように、いずれもその前提事実を考慮していなかったり、全体状況を無視していたり、 国際法上の根拠を無視したり、非現実的な想定をしているのです。 具体的事例で集団的自衛権を行使すること、武力行使をすることが当然の前提になった上で議論をしているのです。 しかし具体的事例の前提自体を問題にして議論をすべきです。
 
 前掲の 『外交』 で北岡座長代理は、なぜ憲法改正ではなく解釈見直しなのかという質問に対して、憲法改正には10年はかかる、 10年先には中国の軍事力は今の4倍になる、日本の安全にとってそれで間に合うのか、と述べています。 これが解釈改憲論者の本音だと思いました。安保法制懇の議論は、 私の目には 「不安神経症に取り憑かれた軍事オタクの非現実的な戦争シミュレーションのような議論」 に思えて仕方がないのですが、すこし言い過ぎでしょうか。
 
 最後に、安保法制懇の構成を指摘しなければなりません。憲法解釈を見直すと言いながら、懇談会14名の内、憲法学者と言える委員は西修氏のみです。 あとは国際政治学者や元統幕議長、元外務官僚などです。 このような構成で憲法解釈、それも、一つの提案というのではなく政府解釈を見直すというのですから、 安保法制懇には、およそその能力と資格はないと言わざるを得ません。
 
 安保法制懇の報告書は5月連休明けにも提出されるのではないかと報道されています。 それを受けて9条解釈について政府方針を出し、その後解釈変更の閣議決定に持ち込もうというスケジュールのようです。 安保法制懇報告書が発表されれば、直ちにその内容を批判して、憲法解釈見直し論に対して先制的な反撃を開始しなければなりません。 この3回シリーズはそれに向けての準備作業としてまとめてみました。お読みいただき多くの方に議論していただきたいと願っています。