安倍首相が設置した私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、憲法が認める「必要最小限度」の実力行使に集団的自衛権が含まれるとする解釈変更を主張する報告書をまとめ、連休明けの5月中旬に提出するということです。
こうした「限定的行使容認論」が出されることは早くから予想されていたことで、それが憲法9条との整合性でどのような観点から成り立たないことは、既に識者によって論じ尽くされた感じがあります。しかしそうした批判を意にも介さずに報告書が提出され、首相はこれまた鉄面皮にもその結論に従う形で憲法解釈変更の原案となる「政府方針」を策定する意向です。
首相はまたオバマ大統領から行使容認に支持を得られた点も強調したいようですが、日本の首相から「集団的自衛権が行使できるように検討している」と言われれば、当然「そうして欲しい」というわけで、「その必要はない」と答える筈もありません。
アーミテージ氏が石破氏に「経済の安定政策こそが必要」と話したことこそが米国の真意であり、中国との間で無用な摩擦を生じることではないことを理解すべきです。
(関係記事)
2014年4月24日「オバマ米大統領 書面インタビュー(読売新聞)」
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集団的自衛権容認へ文民統制強調 安保法制懇の報告書概要
東京新聞 2014年4月26日
安倍晋三首相が設置した有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使、安保法制懇)は、集団的自衛権の行使容認に向けた報告書の概要を固めた。憲法が認める「必要最小限度」の実力行使に集団的自衛権が含まれるよう解釈変更を主張。行使には、首相の総合判断や国会承認など6条件が必要として文民統制を徹底させ、抑制的な運用を図るとする内容だ。関係者が26日、明らかにした。
首相は、オバマ大統領から行使容認に支持を得られたとして作業を加速する。大型連休明けの5月中旬ごろ報告書提出を受け、憲法解釈変更の原案となる「政府方針」を策定。(共同)