2014年4月28日月曜日

「安保法制懇」の結論が出次第 5法案を改正 公明党の合意が条件

 
 安倍首相の私的懇談会「安保法制懇」が5月中旬に報告書を提出した後、政府は自衛隊法など集団的自衛権の行使容認に関係する5法案を先行改正する方針を固めました
 報告書の提出直後に出す政府方針それを明記する予定ですが、公明党は行使容認に慎重な姿勢を崩していないので、同との調整作業に悪影響を及ぼさないように、政府方針には「集団的自衛権」という言葉は使わないということです。
 
 政府が先行して法改正を進めるのは、自衛隊法と周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法、武力攻撃事態対処法の5改正案です本来は全部で11法案の法改正や新規立法が必要なのですが、先行して行う改正案を絞り込むことで秋の臨時国会での審議を円滑に進めようとしています。
 
 要するに安倍政権は公明党への配慮以外は何の斟酌もなしに、「安保法制懇」が報告書を出し次第、まっしぐらに憲法9条の実質的解釈改憲に進もうとしています。その点の狂気はまさに健在なのですが、唯一、公明党の反対だけが阻止力になっています。
 
 その公明党は、日本が攻撃されていないのに海外で武力を行使できるようにするのは、憲法の平和主義の変更に当たり越えてはならない一線して、党幹部たちは集団的自衛権の行使は憲法9条に反すると発言しています。
 
 党代表として何事にも慎重に発言してきた山口那津男氏も、23日のBS番組で、安倍首相が行使容認の解釈改憲に意欲的なのに対し、「海外で武力を使うのは大きな変化。政府が憲法解釈を変えましたと閣議決定してしまうことには異論が大きい」と指摘し、解釈改憲は「憲法の精神にもとる」と批判しました。これほど明確に自民党の方針に反対を表明するのは異例といわれています。
 
 自民党には公明党との連携がなくなると当選できなくなる議員が沢山います。そうした部分には公明党との連携維持の強い願望があり、それがみんなの党や維新の会などとは比較にならない公明党の強みになっています。
 そのことも自覚して、公明党には『平和の党』として頑張って欲しいものです。
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集団的自衛権の行使容認 5法案先行改正 政府方針に明記へ
 与党間調整にも配慮
産経新聞 2014年4月27日
 政府は26日、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が5月中旬に報告書を提出した後、自衛隊法など集団的自衛権の行使容認に関係する5法案を先行改正する方針を固めた。報告書の提出直後に出す政府方針に明記する。自民、公明両党間の調整作業への影響を極力抑えるため、政府方針には「集団的自衛権」という言葉は使わない方向で調整している。
 
 複数の政府関係者によると、政府が先行して法改正を進めるのは、自衛隊法と周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法、武力攻撃事態対処法の5改正案。
 これらのうち自衛隊法は他国による組織だった武力攻撃に至らない場合でも、自衛隊による領域警備を可能にすることが主な改正内容。PKO協力法の改正ではわが国の領域外での武器使用基準の緩和を目指す。船舶検査活動法は、米国を攻撃する国に武器を持ち込む船への立ち入り検査を可能にするよう改正する。
 集団的自衛権の行使を容認するために必要な法改正や新規立法は計11法案。政府としては、先行処理を目指す改正案を絞り込むことで秋の臨時国会での審議を円滑に進める思惑がある。
 
 ただ、現状では集団的自衛権は行使できないというのが政府の立場。解釈変更を閣議決定する前に立法作業を行えば、憲法違反の恐れが出てくる。このため政府方針では「法改正に向けた環境整備を進める」などと控えめな言い回しにすることも検討している。
 
 一方、公明党は行使容認に慎重な姿勢を崩していない。5改正案の改正内容には個別的自衛権の範囲内で対応できる部分もある。こうしたことから、政府方針では「集団的自衛権」の表現を避け、自公協議への影響を抑えたい考えだ。
 
 
公明「平和の党」正念場 安保政策 結党時から変遷
 東京新聞 2014年4月27日
 集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲に公明党が反対の姿勢を強めている。結党当初は自衛隊の存在も認めず「平和の党」を看板にしつつも、徐々に現状を追認。連立政権参加後は自民党に足並みをそろえてきた。しかし、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使を認めてしまえば、党の存在意義を失うとの指摘は党内外に多い。公明党は傷だらけの看板を守ることができるのか。
 
 公明党は結党五年後の一九六九年の党大会で「すべての国際紛争は、絶対に武力によらず外交手段で解決すべきだ」との「絶対平和主義」を掲げ、日米安保条約の段階的解消と完全中立を主張。自衛隊は「正当防衛の名で他国基地攻撃を是認している」と認めず、代わりに「国土警備隊」創設を提案した。
 方針が変わるのは八一年の党大会。安保条約は現実的にやむを得ないと容認。自衛隊は「日本の領域を守ることに限定する」ことで認めた。提起以来、四年の議論を経た結果だった。
 九〇年代、国連平和維持活動(PKO)協力法に慎重姿勢をみせたが、条件付きで賛成した。
 九九年からは自民党と連立政権を組む。米国の「テロとの戦い」に際し、公明党は自民党にひきずられるように、インド洋で活動中の米軍など多国籍軍への海上自衛隊の給油活動を可能にするテロ対策特別措置法や、イラクでの陸上、航空両自衛隊の人道支援や多国籍軍支援を可能にするイラク復興支援特別措置法に賛成した。
 連立参加後の公明党は、自民党にむげにされてもついていく「げたの雪」と揶揄(やゆ)されることがある。しかし、政権にとどまり、自衛隊の活動を集団的自衛権の行使に当たらないように憲法九条の解釈の枠内にとどめるよう主張し、実際に収めてきたと公明党は自負している。
 
 公明党としては、日本が攻撃されていないのに海外で武力を行使できるようにするのは、憲法の平和主義の変更に当たり、越えてはならない一線との思いが強い。
 安倍晋三首相が行使容認の解釈改憲に意欲的なのに対し、山口那津男代表は二十三日のBS番組で「海外で武力を使う(ことが可能になる)のは大きな変化。政府が憲法解釈を変えましたと閣議決定してしまうことには異論が大きい」と指摘。解釈改憲は「憲法の精神にもとる」と批判した。
 党代表として、何事にも慎重に発言してきた山口氏がこれほど強い表現で考えを示すのは異例だ。
 山口氏は周辺にも「海外で武力行使する本質を理解すべきだ」と語り、危機感を募らせている。党幹部は「これを認めたら『平和の党』ではなくなる。絶対譲れない」と話す。