2021年5月30日日曜日

30- 五輪効果、経済界も疑問視 「中止」より損失上回る分析も

 日本におけるコロナでの死者は29日で12,900人超で、5月末に13,000人超になるのは避けられません。この死者数は東アジアではダントツで、そのうちの89%は菅内閣になってからのものです。

 緊急事態宣言は6月20日まで、合せて約2か月間の連続に再延長されましたが、そこで鎮静するという保証は勿論ありません。すべては菅政権の対コロナ無為無策によるもので、いまさらワクチン接種に全力を傾注するパフォーマンスを演じているのは欺瞞でしかありません。
 そして国民に「自助」を強調し、中小企業の淘汰を謳って来た菅首相に、いまの国民の塗炭の苦しみが分かる筈もありません。
 折しも25日には、野村総研が、これまでに発令された緊急事態宣言による経済損失の総額は14兆6千億円、それに対して東京五輪・パラを中止した場合の経済損失は1兆8000億円であると試算し、無策のままで緊急事態宣言にすがることの非が明らかになりました。
    ⇒(5月27日)緊急事態宣言の発令の損失は「五輪中止より大きい」
 するべきことを全くしないで、東京五輪に向けてひたすら国民に自粛中心の対応を迫ることの間違いが証明されました。
 ここにきて経済界でも東京五輪に対する慎重論が浮上しています。菅政権のデタラメな経済優先政策は完全に破綻しました。
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東京五輪に慎重論 経済界で浮上、緊急宣言影響も警戒
                         時事通信 2021年05月29日
 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長ら著名経営者が今年夏の東京五輪・パラリンピック開催に懸念の声を上げた。緊急事態宣言が延長されることを受け、開催反対の世論が高まる恐れがあり、現時点で静観する多くの企業でも戸惑いが広がっている。
 五輪開催について孫氏は23日、ワクチン接種が遅れている日本で「(感染で)失われる命や、緊急事態宣言した場合の補助金、GDP(国内総生産)の下落、国民の我慢を考えるともっと大きな物を失うと思う」とツイッターで表明した。
 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も今月中旬放映の米CNN番組で「リスクが大き過ぎる」と主張。五輪スポンサー企業では朝日新聞社が26日付朝刊に「中止を決断するよう菅(義偉)首相に求める」との社説を掲載した。

 一方、政府系金融機関の支援が決まった居酒屋大手ワタミの渡辺美樹会長は28日の記者会見で、「やめるべきだとは思うが、(菅首相が)突き進むならば支持したい」と語った。有力スポンサー、NTTの澤田純社長は12日の決算会見で「私自身は、オリンピックは開くべきだと考えている」と強調し、安全な開催への議論を呼び掛けた。
 JTBは開幕まであと2カ月に迫り、観戦チケット付きツアーの販売再開に踏み切った。別の旅行業界関係者は「開催ありきではないが、準備を進めないと間に合わない」と頭を抱える。
 緊急宣言延長で行動への制約が続き、国民のストレスは募る一方だ。はけ口のようにインターネット上で選手らの言動に不満を示す動きも見られる。トヨタ自動車の長田准執行役員は12日の決算説明会で、安全な開催に期待しつつ「(選手への批判は)スポンサーとして大変心を痛めている」と語った。


五輪効果、経済界も疑問視 「中止」より損失上回る分析も
                             産経新聞 2021.5.28
 新型コロナウイルスの流行が続く中、東京五輪の開幕まで2ヵ月を切り、これまで積極的な発言を控えていた経済界からも五輪開催への賛否の声があがり始めた。世界に自社製品や技術力を発信する最高の舞台だけに、スポンサー企業からは開催に前向きな発言が目立つ。一方でコロナ感染の収束は見通せず、経済効果の観点からも開催はデメリットが大きいという見方も出始めている。
 五輪開催の是非について企業側が積極的に発言することは少なかった。国民の間でも意見が分かれる中、どちらの意見を表明しても、一定の反発やブランド棄損のリスクがあるからだ。
 こうした中、口火を切ったのが楽天グループの三木谷浩史会長兼社長だ。2月にツイッターに「本当に今年開催すべきなのかという議論もすべきだ」と投稿。5月14日放送の米CNNテレビのインタビューでは「自殺行為のようだ」と、五輪開催に強い表現で反対した。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も23日にツイッターで「失われる命や、緊急事態宣言した場合の補助金、GDP(国内総生産)の下落、国民の我慢を考えるともっと大きな物を失うと思う」と投稿した。
 コロナ禍の開催には、経済効果の観点でも疑問符が付き始めている。野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは、五輪を中止した場合の経済損失を1兆8108億円と試算。その上で、昨年4月と今年1月に行った緊急事態宣言では6兆円を超える経済損失が生じたとして、再び緊急事態宣言が発令されれば、経済損失は五輪を中止した場合よりも大きいとの分析結果を公表した。

 困惑するのはスポンサー企業だ。「五輪でブランディング(⇒商品の差別化)に成功すれば、今後数年間にわたり売り上げの底上げが見込める」(食品メーカー)ため、各社はこれまでも多額の資金を投じ、準備を進めてきた。実際、「何年か後に訪日客が戻ってくるときの大きなきっかけになる」(JR東日本の深沢祐二社長)など、開催に前向きな声が目立つ。
 もっとも、「子供の夢を育む」など五輪の効果は経済だけではない。IT企業にはこの1年間、テクノロジーを駆使してイベント開催にこぎつけるなど、コロナに立ち向かってきたという自負もある。NTTの澤田純社長は「やめるべきであるか、ないかではなく、やるためにどのようなことが必要か、そういう議論を望んでいる」と話している。


五輪開催は「自殺行為」 米CNNで楽天・三木谷会長
                         時事通信 2021年05月15日
 【ニューヨーク時事】楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は14日の米CNNビジネスのインタビューで、東京五輪・パラリンピックの開催は日本にとって「自殺行為」との見解を示した。
 三木谷氏は日本で新型コロナウイルス感染が再拡大する中、「大規模な国際行事を主催するのは危険で、リスクが大きすぎる」と強調。開催の利点がそこまで大きくない上、インドやブラジルなど多くの国がコロナで苦しんでおり、「まだ祝典の時期ではない」と指摘した。また、日本政府のコロナ対応は「10点中2点」と批判した。
 CNNは三木谷氏を日本のインターネット通販最大手のトップと紹介。他の著名な日本企業幹部からも五輪開催に懸念の声が上がる中、CNNは三木谷氏の発言を「最も批判的」と取り上げた。

2021年5月29日土曜日

土地利用規制法案 人権侵害法は廃案にすべきだ(しんぶん赤旗ほか)

 自衛隊の基地や原発など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案は、質疑が十分尽くされないなか28日、委員長の職権で衆議院内閣委で強行採決されました。

 この法案は自衛隊の基地や海上保安庁施設、原発といった重要施設の周辺1キロ以内を「注視区域」や「特別注視区域」に指定し利用を規制するもので、そこに住む住民を基地や「施設」の運用を妨害する行為をはたらく危険があるとして、調査・監視の対象にしようとするものです。
 『しんぶん赤旗』は「土地利用規制法案 人権侵害法は廃案にすべきだ」とする『主張』で、法案の大きな問題は、調査の範囲が職歴や海外渡航歴、思想・信条、家族・交友関係などに及ぶ危険があることだと指摘しました。
 法案は、内閣総理大臣が「関係行政機関の長」に対し、土地・建物の所有者や賃借人らの情報のうち「氏名又は名称、住所その他政令で定めるもの」の提供を求めることができるとしていますが、「その他政令で定める」ということは、内容も範囲も無限定で、政府の判断次第で拡大されるということに他なりません。
 政府はまた、「重要施設を所管または運営する関係省庁、事業者や地域住民から機能阻害行為に関する情報を提供される仕組みも今後検討する」として、調査主体に防衛省・自衛隊が含まれることを認めています。この法案は戦前の一連の悪法を十分に想起させるもので、廃案にするしかありません。

 『沖縄タイムス』は社説で、「法案にはあやふやな部分が多く、恣意的な運用が危惧される。あまりにも問題が多い。政府は法案を取り下げ廃案にすべきだ」と述べています。
 そして法案は、重要施設の周囲1キロや国境の離島を『注視区域』に指定し、所有者らの情報を収集、分析する権限を政府に与え、施設の『機能阻害行為」に対しては中止勧告や命令を出せ、罰則も科せるとしているが、「土地の所有者や利用者がどんな人で、施設の機能を阻害する恐れがあるのかどうか。その判断材料として、収集される情報が名前や住所、国籍、土地の利用状況にとどまらず思想・信条や所属団体、交友関係、海外渡航歴など際限なく広がる恐れがあ」り、「日常的に市民が監視され、人権侵害につながる懸念が払拭できないし、肝心の『機能阻害行為』の中身を「法成立後に閣議決定される『基本方針』などで規定する」となっていて、国会の承認を必要としないのは疑問だとしています。

 『神戸新聞』は社説で、「十分な根拠もなく、国による私権制限がまかり通るのを見過ごすことはできない。規制の及ぶ範囲を明確にし、恣意的な運用にしっかりと歯止めをかける仕組みが必要だ」として、法案の最大の問題は、調査や規制の対象が曖昧な点であり、「規制は外国人だけでなく国民にも及び、調査が土地所有者の住所、名前、国籍にとどまる保証はない。『安全保障』の名目で、政府による思想信条、家族・友人関係など個人情報の際限のない収集に“お墨付き”を与えることにもなりかねない。自衛隊基地や原発周辺での反対運動が『機能阻害行為』として排除されないかを不安視する声もある」と述べています。
 3つの主張・社説を紹介します。
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主張 土地利用規制法案 人権侵害法は廃案にすべきだ
                       しんぶん赤旗 2021年5月28日
 自民・公明の与党は、米軍や自衛隊の基地周辺に暮らす住民の個人情報を調査し、土地・建物の利用を制限する土地利用規制法案を28日にも衆院内閣委員会で採決しようとしています。軍用機の爆音や墜落、部品落下の危険、基地からの汚染物質の流出など理不尽な現状は放置する一方、その被害に苦しむ住民を基地の運用を妨害する行為をはたらく危険があるとして監視対象にしようとするものです。基地被害などに反対する住民やその運動を萎縮させて分断する人権侵害の違憲立法であり、徹底審議で廃案にすべきです。

収集情報の範囲は無限定
 法案は、内閣総理大臣が安全保障上重要とみなす米軍・自衛隊基地、海上保安庁施設、原発といった「重要施設」の周囲約1キロと国境離島を「注視区域」に指定し、区域内にある土地・建物の所有者や賃借人らを調査することを定めています。「注視区域」のうち特に重要とみなすものは「特別注視区域」に指定し、土地・建物の売買に事前の届け出も義務付けます。
 政府は、自衛隊基地だけで「注視区域」の候補は全国で四百数十カ所、「特別注視区域」の候補は百数十カ所に上ることを明らかにしています。
 調査の結果、政府が「重要施設」や国境離島の「機能を阻害する行為」やその「明らかなおそれ」があると判断すれば、利用中止を勧告・命令します。命令に違反すれば2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられます。
 法案の大きな問題は、調査の範囲が職歴や海外渡航歴、思想・信条、家族・交友関係などに及ぶ危険があることです。
 政府は「土地等の利用に関連しない思想信条等に関わる情報を収集することは想定していない」「氏名、住所など、土地等の利用者やその利用目的等を特定するために必要な情報に限られている」と答弁しています。
 しかし、法案は、内閣総理大臣が「関係行政機関の長」に対し、土地・建物の所有者や賃借人らの情報のうち「氏名又は名称、住所その他政令で定めるもの」の提供を求めることができるとしています。「その他政令で定める」としているように、内容も範囲も無限定で、政府の判断次第で拡大されるおそれがあります。
 「関係行政機関」には警察や公安調査庁をはじめ、イラク派兵や基地反対の運動などを日常的に監視し大問題になった自衛隊の情報保全隊などが含まれる可能性があります。憲法が保障する思想・信条の自由を侵す危険は重大です。
 実際、政府は「重要施設を所管または運営する関係省庁、事業者や地域住民の方々から機能阻害行為に関する情報を提供いただく仕組みも今後検討する」とし、防衛省・自衛隊が含まれることを認めています。地域住民から情報提供を求めるのも密告を促すようなもので、住民同士の相互監視や相互不信につながります。

採決などもってのほかだ
 政府は、「注視区域」や「特別注視区域」の指定で不動産価格の下落など所有者が不利益を被る可能性を認めています。一方で「政府としては補償する予定はない」としています。審議をすればするほどさまざまな問題が明らかになっています。審議を継続すべきで、採決などもってのほかです。


社説[土地規制法案]懸念だらけ 廃案にせよ
                        沖縄タイムス 2021年5月27日
 自衛隊基地や原発など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案を、自民党は28日にも採決する構えだ。
 私権を制限し、正当な経済活動にも影響を及ぼしかねない内容である。あやふやな部分が多く、恣(し)意(い)的な運用が危惧される。あまりにも問題が多い。政府は法案を取り下げ廃案にすべきだ。
 法案は、重要施設の周囲1キロや国境の離島を「注視区域」に指定し、所有者らの情報を収集、分析する権限を政府に与える。施設の「機能阻害行為」に対しては中止勧告や命令を出せ、罰則も科せる。
 さらに自衛隊司令部周辺や領海の基点となる無人の国境離島などは、特に重要な「特別注視区域」に指定し、一定面積以上の売買には利用目的の事前届け出が義務付けられる、というものだ。
 政府は土地取引に関する情報や、土地利用者への聴取は内閣府に新設する組織が担い、情報を一元管理する、と説明している。

 26日の審議で、収集した情報を内閣情報調査室などと共有する可能性について、小此木八郎領土問題担当相は「関係機関の協力を得ながら、必要な分析をすることはあり得る」と認めた。
 土地の所有者や利用者がどんな人で、施設の機能を阻害する恐れがあるのかどうか。その判断材料として、収集される情報が名前や住所、国籍、土地の利用状況にとどまらず思想・信条や所属団体、交友関係、海外渡航歴など際限なく広がる恐れがある。
 日常的に市民が監視され、人権侵害につながる懸念が払(ふっ)拭(しょく)できない。
                 ■    ■
 2年前のドローン規制法の改正によって基地周辺の空域が規制された。次は陸域の規制ということだ。沖縄の基地抗議運動への影響も懸念される。
 沖縄弁護士会は法案に反対する会長声明を発表した。沖縄は県土そのものが国境離島で、米軍基地も多く抱え「県民誰もが調査規制対象となってもおかしくない」と訴えた。
 弁護士会として反対声明を出し廃案を求めたのは、法案が沖縄へ及ぼす影響の大きさを示すものである。
 自民党の杉田水脈議員は法案審議で、名護市辺野古の新基地建設に対する抗議活動に参加する市民が食べる弁当のごみが、米軍基地の機能を阻害する恐れがあると指摘した。
 県民が基地の過重負担によってどれほど苦しみ続けてきたのか理解が及ばぬ発言である。
                 ■    ■
 法案は、そもそも肝心の「機能阻害行為」とは何か、が明らかにされていない。
 どのような行為が該当するのかは、法成立後に閣議決定される「基本方針」などで規定するという。罰則も設けられた厳しい措置にもかかわらず、国会の承認を必要としないのは疑問だ。
 自民、立憲民主両党は運用に関し国会や自治体の関与と、私権制限に配慮することを求める付帯決議に大筋で合意した。だが、この程度では政府に歯止めはかけられない。やはり廃案しかない。


社説 土地規制法案/国民監視の歯止めがない
                             神戸新聞 2021/05/27
 安全保障上重要な施設周辺や国境にある離島の土地利用を規制する法案が衆院で実質審議入りした。
 自衛隊基地や原発などの周囲約1キロや国境の島を「注視区域」に指定し、土地所有者や利用状況などを調査する権限を政府に与える内容だ。特に重要な施設周辺は「特別注視区域」とし、土地・建物の売買に事前届け出を義務付ける。
 対象施設の機能を妨害する行為には中止を勧告・命令し、応じない場合は2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金を科す。
 北海道千歳市や長崎県対馬市などで、自衛隊施設周辺の土地を外国資本が買収する事例が続いたのが法整備のきっかけとされる。実体が見えない土地利用に住民が不安を抱くのは当然だ。安保上のリスク回避は国の責務でもある。
 だが一方で政府は、自衛隊の運用に具体的な支障が生じる事態は確認していないと認めている。立法事実は乏しいと言わざるを得ない。
 防衛施設や原発を狙ったサイバー攻撃など近年高まっている脅威に備える対策こそ急務ではないか。
 十分な根拠もなく、国による私権制限がまかり通るのを見過ごすことはできない。規制の及ぶ範囲を明確にし、恣意(しい)的な運用にしっかりと歯止めをかける仕組みが必要だ。

 法案の最大の問題は、調査や規制の対象が曖昧な点である。
 規制は外国人だけでなく国民にも及び、調査が土地所有者の住所、名前、国籍にとどまる保証はない。「安全保障」の名目で、政府による思想信条、家族・友人関係など個人情報の際限のない収集に“お墨付き”を与えることにもなりかねない。
 政府が想定する防衛関連の規制対象は500カ所を超える。施設や区域が広がれば、さらに多くの国民が監視対象になる恐れがある。自衛隊基地や原発周辺での反対運動が「機能阻害行為」として排除されないかを不安視する声もある。
 公明党は私権制限の拡大につながるとして一時法案に難色を示し、自民党との修正協議で規制は必要最小限とする義務規定を明記した。ただ規定をどう担保するかは不明だ。
 対象施設や調査項目は法成立後に閣議決定する基本方針などで定めるという。この手続きに国会承認は要らず、歯止めはないに等しい。
 立憲民主党は、罰則を撤廃し、私権制限の抑制や国会への事前報告などを盛り込むよう求めている。国民民主党、日本維新の会も修正案を出している。
 多くの懸念を抱えたまま、国民の自由と権利を制限する法案の成立を急ぐべきではない。国会の慎重な審議を求める。

29- 東京五輪 「1年延期」をごり押ししたのは安倍前首相(LITERA)

 去年4月の時点でも、コロナの世界的蔓延が1年以内に収まるとはIOCも思っていなかったし、大会組織委メンバーの大半も「東京五輪」を延期するなら2年がいいと思っていました。

 ところが安倍首相(当時)がただ一人、「1年の延期で大丈夫」だと大見得を切ってIOCと話をつけたのでした。その理由は簡単明瞭で、その時点では任期いっぱい首相を務める気でいた安倍氏は、首相在任中の今年9月前に東京五輪を開催し、その成功を自分の手柄として、総裁の任期延長ないし総裁再任や総選挙までを意図して、そう決めたのでした。
 その際、延期に伴う追加費用3000億円を日本が負担するという密約もしたようで、まことに自己中心そのものの発想でした。
 いまや菅首相がそれに丸乗りして、今度は東京五輪の決行を自分の政権の延命に利用しようとしているのは衆知のとおりです。

 安倍首相(当時)の画策については20年4月23日付でLITERAが取り上げています*が、今回改めて記事を出し、第1章にその後の経過(現状)を述べ、2章以降に当時の記事を再掲しました。
    *(20.4.24)来年夏前にコロナが終息していなければ五輪は中止に
 多くの人に取ってまだ記憶に新しいことですがLITERAの記事を紹介します。

追記) LITERA原記事は下記です。
安倍首相「延期1年以内」ゴリ押しのせいで東京五輪が中止に! すでにIOCと森喜朗会長は「安倍首相が来夏といったから」と弁明 
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IOC幹部の発言で安倍晋三が五輪混乱の元凶であることが明白に! 総理在任中に開催するため「延期1年以内」「再延期なし」ゴリ押し
                             LITERA 2021.05.28
 東京五輪をめぐって、国際オリンピック委員会(IOC)幹部による日本国民を逆なでするような暴言が続いている。
「誰もが犠牲を払う必要がある」と言い放ったトーマス・バッハ会長、「緊急事態宣言下でも開催する」と述べたジョン・コーツ副会長、さらにここにきて、IOC の最古参委員であるディック・パウンド氏が「アルマゲドンでも起きないかぎり東京五輪は実施できる」と宣言した。
 自分たちの利権のためには他国民の命を平気でないがしろにするこうした姿勢には呆れ返るほかはないが、しかし、問題はIOCだけではない。「アルマゲドン」発言のディック・パウンド氏が「週刊文春」(文藝春秋)6月3日号の単独インタビューに応じた際、こんなことを語っていたのだ。
「昨年3月、延期は一度と日本が述べたのだから、延期の選択肢はテーブル上に存在しない」
 これは、IOCの言いがかりではない。「昨年3月」というのは、言うまでもなく、当時の安倍晋三首相がバッハ会長と電話会談をして東京五輪の延期を決めた時期。安倍首相は、この会談で「1年以内の延期」を取り付けたのだが、このとき、安倍首相は延期について1回きりだと大見得を切っていたのである。
 そもそも、東京五輪の延期をめぐっては、「1年の延期ではとてもコロナが収束しない」「もし収束しなかったらもう再延期は難しい」として、「最初から2年延期すべきだ」という意見が大勢を占めていた。
 識者だけではない。五輪誘致を牛耳ってきた元電通専務の高橋治之・組織委理事も「2年延期」を主張していたし、当時の森喜朗・組織委会長も安倍首相に「2年延ばしたほうがいいのではないか」と提案していた。IOCも延期を「1年以内」と主張したわけではなかった。
 ところが、安倍前首相が「1年以内の延期」をゴリ押ししたのである。これは当時、今年9月の総裁任期いっぱいまで総理大臣を続ける気満々だった安倍首相が、自分の在任中にどうしても、東京五輪を開催したいためだった。
 ようするに、安倍前首相の政治利用のもくろみのために、日本は大混乱に陥り、パンデミック下での開催に巻き込まれそうになっているのだ。
 本サイトでは、昨年4月、この「1年以内の延期」がいかに安倍首相の個人的なゴリ押しであったかを検証する記事を掲載している。再録するので、あの最悪の無責任総理大臣の責任を改めて認識してほしい。

IOCは「首相が来夏以降に延期できないと明言した」、森会長も「首相に2年にしたほうがいいといったが…」
 新型コロナ感染拡大が続くなか、唖然とするような情報がもたらされた。4月20日、来年に延期された東京オリンピックについて、IOC(国際オリンピック委員会)が公式サイトで、追加費用(約3000億円規模)の大部分を日本が負担することを「安倍首相が合意した」と発表したからだ。日本政府は慌てて「合意はない」と否定し、削除を要求。翌21日、IOCサイトからこの文言は削除され、「日本側と共同で協議し続ける」と修正された。
 だが、これは表向きの措置にすぎず、実際は安倍首相がIOC側に“約束”していた可能性が高い。また、仮に明言していなかったとしても、暗黙の了解があり、追加費用の大半は日本が負担することになるだろう。
 というのも、日本にはIOCにつけ込まれる“弱み”があるからだ。「安倍首相の合意」を明かしたのはIOC公式サイトのQ &Aのコーナーなのだが、そこにはもうひとつ、問題の記述があった。
 感染収束が不透明ななかで、なぜ延期を2022年ではなく2021年にしたのかという趣旨の質問に対して、IOC側のこんな回答が記されていたのだ。
「日本のパートナーと(安倍)首相が来夏以降の延期には対応できないと明言したからだ」
 ようするに、こちらは2022年でいいと思っていたのに、安倍首相が2021年を強く主張したからその条件を呑んだ。だったら追加費用を払うのは当然、という理屈だ。
 これはIOC側の言うとおりだ。安倍首相は3月24日、IOC のバッハ会長との電話会談で「1年以内の延期」を取り付けた際、新型コロナ感染拡大の最中にもかかわらず、安倍首相は小池百合子都知事とグータッチをして大はしゃぎしたというが、この「1年以内の開催」は実際、最初から最後まで安倍首相が周囲の反対を押し切ってゴリ押ししたものだった。
 安倍首相の親分で大会組織委員会の森喜朗会長もまた、「1年以内の延期」は安倍首相の強い要望だったことを暴露している。
 森会長がこの事実を語ったのは、朝日新聞が3月31日におこなったインタビュー。記事によると、森会長は、3月24日夜、安倍首相とバッハ会長の電話会談の30分前に公邸に招かれ、2人きりで会談。その際、森会長は、新型コロナの感染拡大を念頭に「2年延ばした方がいいのではないですか」と問いかけたが、安倍首相は「日本の技術力は落ちていない。ワクチンができる。大丈夫です」と応じたという。
 安倍首相が「1年以内の延期」にこだわった理由。それは本サイトも繰り返し記事化してきたが、来年9月、自分の自民党総裁任期が切れる前、首相在任中の開催にこだわっているからだ。それだけではない。官邸周辺では東京五輪の成功を自分の手柄として総裁の任期延長、総選挙までにらんでいるとの見方が有力だ。
「総裁の任期は来年9月末、さらに衆議院は来年10月に任期が切れる。しかし、来年7月スタートへの延期なら、そのあとに総裁選、総選挙をおこなうことがギリギリ可能になる。あるいは特例で総裁選をせず総裁任期を1年延長することも考えられる。安倍首相は、五輪を成功させ、その勢いを買って、『コロナからの復興をなしとげる責任がある』と自民党総裁任期の延長を宣言、9月中に総裁選を実施して、そのあと、10月に総選挙をするというシナリオを描いているといわれている。もちろんこれはギャンブルだが、いまのコロナ対応を見ていると、オリンピック前に解散総選挙をやってもとても勝ち目はない。だったら、延長を1年以内にして五輪を自分の権力維持に利用しようと考えているんだろう」(ベテラン政治評論家)

安倍首相の1年延期ゴリ押しの結果、追加費用負担のあげく五輪中止の事態も
 ようするに、安倍首相が権力に妄執して1年以内の延期を求めた結果、国民の生活や経済が一気に悪化するこの状況で、日本は新たに追加費用約3000億円を負担しなければならない状況に陥ったのだ。
 いや、費用負担だけではない。安倍首相が1年以内の延期にこだわった結果、安倍政権にとってもっとも望ましくない結果を生み出す可能性が高くなっている。
 前述したIOC公式サイトのQ &Aを思い出してほしい。パンデミック収束が不透明な状況で2年延期にしなかった理由について、IOCは「日本のパートナーと(安倍)首相が、どんなに遅くとも来夏以降の延期には対応できないと強く明言したからです」と答えているのだが、これには、追加費用を日本に押し付ける以外に、もうひとつの意味があるのではないかといわれている。
 それは、2021年になっても新型コロナが収束せず、五輪が開催できなかった場合のエクスキューズだ。
 実際、世界各国の専門家の多くが1年以内の新型コロナ収束に悲観的な見解を示しており、2021年の開催はかなり危ぶまれている。もし、来年の開催が無理となった場合、IOCは「(安倍)首相が来夏以降の延期には対応できないと言ったから」と責任を押し付け、再延期ではなく中止にする腹づもりなのではないかというのだ。
 大会組織委の取材を担当する全国紙記者がこう解説する。
「中止になれば、保険が適用されるため、IOCの懐は痛まない。しかし、日本は大会直前まで延期を前提に準備を進めるわけですから、中止になったとしても、費用はかかる。ようするに、金だけ払わされて、五輪の経済効果はゼロという最悪の結果になりかねないわけです。実際、ほとんどの専門家は1年延期だと中止リスクがあると考え、2年延期が現実的と訴えてきた。森会長の覚えめでたい大会組織委の高橋治之理事ですら、そういう意見でした。ところが、それを安倍首相がゴリ押しして1年以内延期にしてしまった」
 このままいくと、安倍首相は自分の権力欲のために、東京五輪を中止に追い込んだ宰相として、歴史に名を残すかもしれない。(編集部)

“命より五輪優先”のI OC発言許せない/科学に基づかない 五輪推進論

 共産党の志位和夫委員長は27日、記者会見し、この間のIOCの幹部、コーツ調整委員長、バッハ会長、パウンド最古参委員の一連の発言について、「常軌を逸した発言だ。断じて看過できない」と強く批判し、菅首相に対しては、「これだけひどい発言に一言も抗議せず、『安全安心』『全力を尽くす』と繰り返すだけでいいのか、主権国家の首相と言えるのかがいま問われている」「主催国の政府、国民の命に責任を負うものとして、中止を直ちに決断するよう強く求めたい」と、発言への抗議と五輪中止への決断を求めました。

 特にパウンド氏が「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」と述べていることについて、「いったいIOCは何様か。日本を『IOC帝国の植民地』扱いする、主権侵害につながる発言だ」と強く批判しました。

 米国の4人の医学者のグループが、世界的に著名な米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に、「オリンピックを進めるというIOCの決意は最高の科学的証拠の情報に基づいていないと信じている」と、新型コロナ対策を批判する論評を発表しました。
 論評は、東京五輪のコロナ対策などをまとめた「プレーブック」で示されているマスクの着用や検温では不十分だと指摘し、行動追跡のやり方についても、競技ごとの感染リスクの違いを考慮していないこともあげ、さらに厳格な感染対策のもとで運営されている米国のさまざまなプロスポーツリーグなどの教訓にも目を向けていないと批判しています。
 そして現状で東京五輪が行われれば「選手を含む参加者はオリンピック中に感染し、200カ国・地域以上に帰国するリスクを引き起こす可能性がある」と警告しています。

 現状は既に、菅首相の『安全安心に行えるよう全力を尽くす』などという、空疎な決意表明では到底済まされない事態に立ち至っています。
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“命より五輪優先”の発言許せない 日本は“IOC帝国の植民地”か
志位委員長が会見
                       しんぶん赤旗 2021年5月28日
 日本共産党の志位和夫委員長は27日、国会内で記者会見し、この間の国際オリンピック委員会(IOC)の幹部の一連の発言について、「常軌を逸した発言だ。断じて看過できない」と強く批判。発言への抗議と五輪中止への決断を菅義偉首相に求めました。
 この間、IOCのコーツ調整委員長(副会長)は、緊急事態宣言のもとでも五輪を開催するかと問われ「もちろんイエスだ」と答えています。バッハ会長は「(東京五輪開催のために)誰もがいくらかの犠牲を払わなければいけない」と述べています。最古参委員のパウンド氏は「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」(『文春オンライン』)とまで発言しています。
 志位氏は、これらの発言について、「日本国民の命より五輪開催を優先させるもので、断じて許すわけにいかない」と厳しく批判。「緊急事態宣言下でも開催するというが、緊急事態宣言下というのは、感染拡大で多くの方が苦しみ、亡くなる方もいる状況だ。医療従事者は必死でたたかっている最中だ。休業を余儀なくされた事業者は深刻な疲弊のもとに置かれている。そういう状況でも五輪は開催すると平気で言うのは、“五輪が開催できさえすれば日本国民の命がどうなろうと知ったことではない”と言わんばかりのひどい発言だ」と批判しました。
 志位氏は、「日本国民の圧倒的多数は、今夏の五輪開催には反対だ」と指摘した上で、パウンド氏が「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」と述べていることについて、「いったいIOCは何様か。何の権限でそんなことが言えるのか。日本を『IOC帝国の植民地』扱いする、主権侵害につながる発言だ」と強く批判しました。
 その上で、「これだけひどい発言に、菅首相は一言も抗議せず、『安全安心』『全力を尽くす』と繰り返すだけでいいのか、主権国家の首相と言えるのかがいま問われている」と強調。「菅首相は主催国の政府、国民の命に責任を負うものとして、中止を直ちに決断するよう強く求めたい」と表明しました。
 さらに、志位氏は、「菅首相が繰り返す『安全安心の五輪』とは、一部の五輪関係者の『安全安心』にすぎないことが明らかになってきた」と指摘。これまで政府は“検査を広げると医療崩壊が起こる”とPCR等検査を怠ってきたのに、五輪関係者の検査は毎日行う方針であること、日本のワクチン接種率は世界で128位と遅れているのに、五輪選手には全員にワクチン接種を行う方針をとっていることを指摘し、「こういうダブルスタンダード(二重基準)でいいのかが厳しく問われている」と強調。「フェアネス=公平性こそ五輪の命だ。五輪の精神に真っ向から反する五輪開催には意義はない」と述べました。
 「国民のなかにこれだけ批判が広がっているのは、五輪強行による感染拡大への不安とともに、公平性という点でも説明のつかないことをやっていることへの怒りもある」と指摘。各紙が五輪中止を求める社説を掲載し始めたことも示し、「東京五輪・パラリンピックは中止し、あらゆる力をコロナ収束に集中させるべきだ」と主張しました。


「五輪推進 科学に基づかず」 米著名医学誌に論評 「コロナ対策 不十分」
                        しんぶん赤旗 2021年5月28日
 「われわれは、オリンピックを進めるというIOC(国際オリンピック委員会)の決意は最高の科学的証拠の情報に基づいていないと信じている」。米国の4人の医学者のグループが、米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(25日付)に東京オリンピックの新型コロナウイルス対策を批判する論評(写真)を発表しました。同誌は、世界的に著名な医学誌の一つです。
 論評は、東京オリンピックのコロナ対策などをまとめた「プレーブック」で示されているマスクの着用や検温では不十分だと指摘。行動追跡のやり方についても「スマートフォンを持って競技する選手はいない」と述べています。競技ごとの感染リスクの違いを考慮していないこともあげています。
 さらに、厳格な感染対策のもとで運営されている米国のさまざまなプロスポーツリーグなどの教訓にも目を向けていないと批判しています。
 論評は、日本を含む世界の新型コロナウイルスの感染状況が変異株の出現などで昨年延期した時よりもさらに深刻化していること、日本のワクチン接種率がOECD諸国で最低であることなども指摘。選手へのワクチン接種も10代の多くが受けないと予想されるなかで東京オリンピックが行われれば「選手を含む参加者はオリンピック中に感染し、200カ国・地域以上に帰国するリスクを引き起こす可能性がある」と警告しています。

2021年5月28日金曜日

東京五輪でも 人材派遣業者パソナが暴利を貪る!?

 東京五輪利権の実態は想像を絶するものです。

 毎日新聞が入手した契約書によれば、バトミントンなどの競技がおこなわれる武蔵野の森総合スポーツプラザに関して、組織委が大手広告代理店(電通、博報堂、ADK、東急エージェンシーなど)と結んだ契約金額は6億2304万円(税込み)です。
 内訳書によると「本大会に向けての準備業務」を担うディレクターの1日当たりの「単価」は、なんと35万円で、日数は「40日」、1カ月ちょっとで合計で1400万円にも上ります。その他に組織委は、委託された代理店側に諸経費として15%、管理費として5%を上乗せするので単価は42万円に跳ね上がります。
 ところが「大会準備期間における会場運営計画策定業務」を担当するディレクターに対しては、上記の他に1人当たり1日25万円を計上しているので、運営マニュアルの策定業務と準備業務を合わせると1日当たり60万円、それに諸経費・管理費の20%も含めると1日72万円にもなります。

 人材派遣は18年に結んだ契約によって、菅首相のブレーンである竹中平蔵氏が取締役会長を務める人材派遣大手のパソナグループを通してすべて行うことになっているのですが、パソナのHPに掲載されている東京五輪大会スタッフの募集概要によると、責任を担うマネージャーでもスタッフ(職員)でも時給は1650円(深夜時間帯は125%の割増)で、日給にして約1万2000円ほどです。
 それでは72万円と1万2000円の差額は一体どこに行くのでしょうか。大部分はパソナに転がり込むと考えるしかありません。
 コロナ禍で国民生活が疲弊しきっていて、飲食業やその関連業者が次々と廃業や倒産に追い込まれている中で、こうした絶句するしかないデタラメが行われているのですが丸川珠代・五輪担当相は黙認している感じです。自分が飾りに過ぎないことを自覚しているのかもしれませんが、それもあまりにもデタラメな態度です。
 LITERAが報じました。
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東京五輪で代理店に支払う会場準備担当ディレクターの人件費は1日42万円! 下請けパソナは日当1万2000円で募集しているのに…
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 またも東京五輪利権の実態が暴かれた。東京五輪組織委員会が、会場運営を委託した企業と交わした契約書とその内訳書を毎日新聞が入手、そこに目玉が飛び出るような高額の人件費が記載されていたのだ。
 毎日新聞が入手した契約書は、東京五輪の42会場あるうちのひとつでバトミントンなどの競技がおこなわれる武蔵野の森総合スポーツプラザのもので、組織委が大手広告代理店に委託。委託先の中心を担っているのは電通をはじめ、博報堂、ADK、東急エージェンシーといった大手広告代理店で、武蔵野の森総合スポーツプラザの委託先は東急エージェンシー。契約金額は税込みで6億2304万円にものぼる。
 そして、内訳書によると、「本大会に向けての準備業務」を担うディレクターの1日当たりの「単価」は、なんと35万円。日数は「40日」となっており、つまり1カ月ちょっとで合計で1400万円にものぼっているのだ。
 しかも、昨日26日におこなわれた衆院文科委員会では、立憲民主党・斉木武志衆院議員が、毎日新聞が報じたものと同じ契約書・内訳書を入手し、それをもとに追及。斉木議員によると、委託された代理店側は諸経費として15%、管理費として5%を上乗せするため、準備業務を担うディレクターの場合、実際に組織委に請求している金額は1日当たり42万円にもなるという。
 コロナ禍で国民生活が疲弊しきっているのを尻目に、東京五輪では1日で1人42万円というびっくりするような高額契約が平気で交わされている ─。毎日新聞は4月にも組織委作成の委託費見積額を記した内部資料を入手し、委託費の積算根拠となる1日当たりの人件費単価が最高30万円であると報道していたが、当時、丸川珠代・五輪担当相は「守秘義務で見せてもらえない資料がある」などとすっとぼけた答弁をおこなっていた。だが、実態はさらに酷く、こうした事実を隠すためにごまかしたとしか思えない。
 さらに、今回発覚した内訳書によって、丸川五輪担当相がついていた嘘も判明。丸川五輪担当相は4月19日の衆院決算行政監視委員会において、高額な人件費単価について「人件費単価を設定した契約ではなくて、各競技会場の設備の特徴を踏まえて、すごく詳細な分厚い運営計画というのをまずおつくりになる」「運営マニュアルを策定するというのに大変な労力がかかる」などと答弁し、そうした業務を含めてのものだと説明を受けているなどと述べていた。
 ところが、今回発覚した内訳書を見ると、1日当たり1人35万円の「本大会に向けての準備業務」とは別に、「大会準備期間における会場運営計画策定業務」を担当するディレクターに対し、1人当たり1日25万円を計上。つまり、丸川五輪担当相の答弁は大嘘であり、運営マニュアルの策定業務と準備業務を合わせると1日当たり30万円どころか、1日60万円、諸経費・管理費の20%も含めると1日72万円もの高額単価だったのだ。
 これらの問題を斉木議員が追及すると、組織委の布村幸彦副事務総長は「内訳書は一般論で言えば契約締結の際の参考資料という位置づけ」「単価は、必要な経費やバックヤードの費用を含むものと推測され人件費単価そのものではない」などと抗弁していたが、仮にその主張どおりだったとしても、人件費単価の設定もおこなわないこと自体が杜撰としか言いようがない。

人件費20万円以上なのに、パソナのHPではマネージャーでも日当1万2000円
 だが、問題なのは人件費が高額であることだけではない。問題は、ここでも絶句するような「中抜き」がおこなわれる可能性が高いことだ。しかも、中抜きするのは、菅義偉首相のブレーンである竹中平蔵氏が取締役会長を務める人材派遣大手のパソナグループだ。
 パソナグループといえば、「人材サービス」カテゴリーで「東京2020オフィシャルサポーター」として組織委と2018年に契約を締結。一方、会場運営を支えるスタッフの多くは派遣であり、斉木議員によると「パートナー契約では、人材派遣サービスはパソナにしか許されていない。43会場の派遣スタッフを頼むときはパソナに出さなくてはならない契約になっている」という。
 昨日の衆院文科委員会では、組織委の布村副事務総長が「すべてにわたってパソナさんのパートナーの権利が及んでいるという実態ではない」と答弁したが、一方、組織委に入っている派遣スタッフのほとんどはパソナからの派遣であることを認めていた。
 だが、問題はここから。じつはパソナのHPに掲載されている東京五輪大会スタッフ(職員)の募集概要によると、責任を担うマネージャーでもスタッフでも時給は1650円(深夜時間帯は125%の割増賃金)。日給にして約1万2000円ほどなのだ。
 前述した4月19日の衆院決算行政監視委員では、斉木議員が組織委の内部資料ではディレクターの単価が1日20万円なのに対して人材派遣会社がディレクター職くらいでも日当1万2000円で募集をかけていると指摘し、管理費などを含めて計算すると「中抜き率は95%。これはあまりにひどすぎるんじゃないか」と追及をおこなっていた。しかし、もし仮に今回発覚した内訳書にある1日42万円のディレクター職でも実際には1万2000円しか支払われないのだとすれば、中抜き率は97%になる。
 会場運営を委託された電通をはじめとする広告代理店が儲け、さらにあくどい中抜きによってパソナが潤う──。つまり、国民からこれだけ東京五輪開催に反対の声があがっても、菅首相や組織委がその民意を無視しつづけるのは、こうして利権に群がる大企業の利益を優先しようとしているからだ。
 本日、組織委の武藤敏郎事務総長は「医療やコロナ感染の観点はあるが、日本経済全体を考えれば、五輪を開催するほうがはるかに経済効果があると思う」などと発言したが、儲かるのは結局、電通やパソナ、公式スポンサーの大企業だけ。それと引き換えに国民は命の危険に晒されるのである。 (編集部)