2021年5月29日土曜日

“命より五輪優先”のI OC発言許せない/科学に基づかない 五輪推進論

 共産党の志位和夫委員長は27日、記者会見し、この間のIOCの幹部コーツ調整委員長バッハ会長パウンド最古参委員の一連の発言について、「常軌を逸した発言だ。断じて看過できない」と強く批判し、菅首相に対しては、「これだけひどい発言に一言も抗議せず、『安全安心』『全力を尽くす』と繰り返すだけでいいのか、主権国家の首相と言えるのかがいま問われている」「主催国の政府、国民の命に責任を負うものとして、中止を直ちに決断するよう強く求めたい」と発言への抗議と五輪中止への決断を求めました。

 特にパウンド氏が「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」と述べていることについて、「いったいIOCは何様か。日本を『IOC帝国の植民地』扱いする、主権侵害につながる発言だ」と強く批判しました。

 米国の4人の医学者のグループが、世界的に著名な米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に、「オリンピックを進めるというIOCの決意は最高の科学的証拠の情報に基づいていないと信じている」と、新型コロナ対策を批判する論評を発表しました。
 論評は、東京五輪のコロナ対策などをまとめた「プレーブック」で示されているマスクの着用や検温では不十分だと指摘し、行動追跡のやり方についても競技ごとの感染リスクの違いを考慮していないこともあげ、さらに厳格な感染対策のもとで運営されている米国のさまざまなプロスポーツリーグなどの教訓にも目を向けていないと批判しています。
 そして現状で東京五輪が行われれば「選手を含む参加者はオリンピック中に感染し、200カ国・地域以上に帰国するリスクを引き起こす可能性がある」と警告しています。

 現状は既に、菅首相の『安全安心に行えるよう全力を尽くす』などという、空疎な決意表明では到底済まされない事態に立ち至っています。
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“命より五輪優先”の発言許せない 日本は“IOC帝国の植民地”か
志位委員長が会見
                       しんぶん赤旗 2021年5月28日
 日本共産党の志位和夫委員長は27日、国会内で記者会見し、この間の国際オリンピック委員会(IOC)の幹部の一連の発言について、「常軌を逸した発言だ。断じて看過できない」と強く批判。発言への抗議と五輪中止への決断を菅義偉首相に求めました。
 この間、IOCのコーツ調整委員長(副会長)は、緊急事態宣言のもとでも五輪を開催するかと問われ「もちろんイエスだ」と答えています。バッハ会長は「(東京五輪開催のために)誰もがいくらかの犠牲を払わなければいけない」と述べています。最古参委員のパウンド氏は「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」(『文春オンライン』)とまで発言しています。
 志位氏は、これらの発言について、「日本国民の命より五輪開催を優先させるもので、断じて許すわけにいかない」と厳しく批判。「緊急事態宣言下でも開催するというが、緊急事態宣言下というのは、感染拡大で多くの方が苦しみ、亡くなる方もいる状況だ。医療従事者は必死でたたかっている最中だ。休業を余儀なくされた事業者は深刻な疲弊のもとに置かれている。そういう状況でも五輪は開催すると平気で言うのは、“五輪が開催できさえすれば日本国民の命がどうなろうと知ったことではない”と言わんばかりのひどい発言だ」と批判しました。
 志位氏は、「日本国民の圧倒的多数は、今夏の五輪開催には反対だ」と指摘した上で、パウンド氏が「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」と述べていることについて、「いったいIOCは何様か。何の権限でそんなことが言えるのか。日本を『IOC帝国の植民地』扱いする、主権侵害につながる発言だ」と強く批判しました。
 その上で、「これだけひどい発言に、菅首相は一言も抗議せず、『安全安心』『全力を尽くす』と繰り返すだけでいいのか、主権国家の首相と言えるのかがいま問われている」と強調。「菅首相は主催国の政府、国民の命に責任を負うものとして、中止を直ちに決断するよう強く求めたい」と表明しました。
 さらに、志位氏は、「菅首相が繰り返す『安全安心の五輪』とは、一部の五輪関係者の『安全安心』にすぎないことが明らかになってきた」と指摘。これまで政府は“検査を広げると医療崩壊が起こる”とPCR等検査を怠ってきたのに、五輪関係者の検査は毎日行う方針であること、日本のワクチン接種率は世界で128位と遅れているのに、五輪選手には全員にワクチン接種を行う方針をとっていることを指摘し、「こういうダブルスタンダード(二重基準)でいいのかが厳しく問われている」と強調。「フェアネス=公平性こそ五輪の命だ。五輪の精神に真っ向から反する五輪開催には意義はない」と述べました。
 「国民のなかにこれだけ批判が広がっているのは、五輪強行による感染拡大への不安とともに、公平性という点でも説明のつかないことをやっていることへの怒りもある」と指摘。各紙が五輪中止を求める社説を掲載し始めたことも示し、「東京五輪・パラリンピックは中止し、あらゆる力をコロナ収束に集中させるべきだ」と主張しました。


「五輪推進 科学に基づかず」 米著名医学誌に論評 「コロナ対策 不十分」
                        しんぶん赤旗 2021年5月28日
 「われわれは、オリンピックを進めるというIOC(国際オリンピック委員会)の決意は最高の科学的証拠の情報に基づいていないと信じている」。米国の4人の医学者のグループが、米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(25日付)に東京オリンピックの新型コロナウイルス対策を批判する論評(写真)を発表しました。同誌は、世界的に著名な医学誌の一つです。
 論評は、東京オリンピックのコロナ対策などをまとめた「プレーブック」で示されているマスクの着用や検温では不十分だと指摘。行動追跡のやり方についても「スマートフォンを持って競技する選手はいない」と述べています。競技ごとの感染リスクの違いを考慮していないこともあげています。
 さらに、厳格な感染対策のもとで運営されている米国のさまざまなプロスポーツリーグなどの教訓にも目を向けていないと批判しています。
 論評は、日本を含む世界の新型コロナウイルスの感染状況が変異株の出現などで昨年延期した時よりもさらに深刻化していること、日本のワクチン接種率がOECD諸国で最低であることなども指摘。選手へのワクチン接種も10代の多くが受けないと予想されるなかで東京オリンピックが行われれば「選手を含む参加者はオリンピック中に感染し、200カ国・地域以上に帰国するリスクを引き起こす可能性がある」と警告しています。