2021年5月30日日曜日

30- 五輪効果、経済界も疑問視 「中止」より損失上回る分析も

 日本におけるコロナでの死者は29日で12,900人超で、5月末に13,000人超になるのは避けられません。この死者数は東アジアではダントツで、そのうちの89%は菅内閣になってからのものです。

 緊急事態宣言は620日まで、合せて約2か月間の連続に再延長されましたが、そこで鎮静するという保証は勿論ありません。すべては菅政権の対コロナ無為無策によるもので、いまさらワクチン接種に全力を傾注するパフォーマンスを演じているのは欺瞞でしかありません。
 そして国民に「自助」を強調し、中小企業の淘汰を謳って来た菅首相に、いまの国民の塗炭の苦しみが分かる筈もありません。
 折しも25日には、野村総研が、これまでに発令された緊急事態宣言による経済損失の総額は14兆6千億円、それに対して東京五輪・パラを中止した場合の経済損失は1兆8000億円であると試算し、無策のままで緊急事態宣言にすがることの非が明らかになりました。
    ⇒(5月27日)緊急事態宣言の発令の損失は「五輪中止より大きい」
 するべきことを全くしないで、東京五輪に向けてひたすら国民に自粛中心の対応を迫ることの間違いが証明されました。
 ここにきて経済界でも東京五輪に対する慎重論が浮上しています。菅政権のデタラメな経済優先政策は完全に破綻しました。
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東京五輪に慎重論 経済界で浮上、緊急宣言影響も警戒
                         時事通信 2021年05月29日
 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長ら著名経営者が今年夏の東京五輪・パラリンピック開催に懸念の声を上げた。緊急事態宣言が延長されることを受け、開催反対の世論が高まる恐れがあり、現時点で静観する多くの企業でも戸惑いが広がっている。
 五輪開催について氏は23日、ワクチン接種が遅れている日本で「(感染で)失われる命や、緊急事態宣言した場合の補助金、GDP(国内総生産)の下落、国民の我慢を考えるともっと大きな物を失うと思う」とツイッターで表明した。
 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も今月中旬放映の米CNN番組で「リスクが大き過ぎる」と主張。五輪スポンサー企業では朝日新聞社が26日付朝刊に「中止を決断するよう菅(義偉)首相に求める」との社説を掲載した。

 一方、政府系金融機関の支援が決まった居酒屋大手ワタミの渡辺美樹会長は28日の記者会見で、「やめるべきだとは思うが、(菅首相が)突き進むならば支持したい」と語った。有力スポンサー、NTTの澤田純社長は12日の決算会見で「私自身は、オリンピックは開くべきだと考えている」と強調し、安全な開催への議論を呼び掛けた。
 JTBは開幕まであと2カ月に迫り、観戦チケット付きツアーの販売再開に踏み切った。別の旅行業界関係者は「開催ありきではないが、準備を進めないと間に合わない」と頭を抱える。
 緊急宣言延長で行動への制約が続き、国民のストレスは募る一方だ。はけ口のようにインターネット上で選手らの言動に不満を示す動きも見られる。トヨタ自動車の長田准執行役員は12日の決算説明会で、安全な開催に期待しつつ「(選手への批判は)スポンサーとして大変心を痛めている」と語った。


五輪効果、経済界も疑問視 「中止」より損失上回る分析も
                             産経新聞 2021.5.28
 新型コロナウイルスの流行が続く中、東京五輪の開幕まで2ヵ月を切り、これまで積極的な発言を控えていた経済界からも五輪開催への賛否の声があがり始めた。世界に自社製品や技術力を発信する最高の舞台だけに、スポンサー企業からは開催に前向きな発言が目立つ。一方でコロナ感染の収束は見通せず、経済効果の観点からも開催はデメリットが大きいという見方も出始めている。
 五輪開催の是非について企業側が積極的に発言することは少なかった。国民の間でも意見が分かれる中、どちらの意見を表明しても、一定の反発やブランド棄損のリスクがあるからだ。
 こうした中、口火を切ったのが楽天グループの三木谷浩史会長兼社長だ。2月にツイッターに「本当に今年開催すべきなのかという議論もすべきだ」と投稿。5月14日放送の米CNNテレビのインタビューでは「自殺行為のようだ」と、五輪開催に強い表現で反対した。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も23日にツイッターで「失われる命や、緊急事態宣言した場合の補助金、GDP(国内総生産)の下落、国民の我慢を考えるともっと大きな物を失うと思う」と投稿した。
 コロナ禍の開催には、経済効果の観点でも疑問符が付き始めている。野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは、五輪を中止した場合の経済損失を1兆8108億円と試算。その上で、昨年4月と今年1月に行った緊急事態宣言では6兆円を超える経済損失が生じたとして、再び緊急事態宣言が発令されれば、経済損失は五輪を中止した場合よりも大きいとの分析結果を公表した。

 困惑するのはスポンサー企業だ。「五輪でブランディング⇒商品の差別化に成功すれば、今後数年間にわたり売り上げの底上げが見込める」(食品メーカー)ため、各社はこれまでも多額の資金を投じ、準備を進めてきた。実際、「何年か後に訪日客が戻ってくるときの大きなきっかけになる」(JR東日本の深沢祐二社長)など、開催に前向きな声が目立つ。
 もっとも、「子供の夢を育む」など五輪の効果は経済だけではない。IT企業にはこの1年間、テクノロジーを駆使してイベント開催にこぎつけるなど、コロナに立ち向かってきたという自負もある。NTTの澤田純社長は「やめるべきであるか、ないかではなく、やるためにどのようなことが必要か、そういう議論を望んでいる」と話している。


五輪開催は「自殺行為」 米CNNで楽天・三木谷会長
                         時事通信 2021年05月15日
 【ニューヨーク時事】楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は14日の米CNNビジネスのインタビューで、東京五輪・パラリンピックの開催は日本にとって「自殺行為」との見解を示した。
 三木谷氏は日本で新型コロナウイルス感染が再拡大する中、「大規模な国際行事を主催するのは危険で、リスクが大きすぎる」と強調。開催の利点がそこまで大きくない上、インドやブラジルなど多くの国がコロナで苦しんでおり、「まだ祝典の時期ではない」と指摘した。また、日本政府のコロナ対応は「10点中2点」と批判した。
 CNNは三木谷氏を日本のインターネット通販最大手のトップと紹介。他の著名な日本企業幹部からも五輪開催に懸念の声が上がる中、CNNは三木谷氏の発言を「最も批判的」と取り上げた。