日刊ゲンダイの掲題の記事を紹介します。
トランプは習近平主席の訪米に対して、夫人と共に専用機が着陸する米軍アンドルーズ基地に出迎えた上、儀仗隊が周囲に配置された赤絨毯の上を30m歩くなど、大変な厚遇をしました。米大統領が空港まで出迎えるのは64年ぶりのことです(史上2例目)。これは習氏への歓待ぶりをアピールするとともに米中の蜜月を世界に示すものでしたし、その前々日に米国入りした高市首相への出迎えがゼロであったこととは雲泥の差でした。
高市氏も、トランプとの蜜月ぶりを「中国と張り合う」ことなど、如何に的外れな錯覚であるかをそろそろ自覚すべきでしょう。日刊ゲンダイが厳しく指摘している通りです。
併せて日刊ゲンダイの記事:〝トランプ大統領がハシゴ外し! 高市首相“押しかけ外交”の赤っ恥…「中国は大戦時の同盟国」発言で面目丸潰れ″を紹介します。
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米中蜜月「これでもか」…惨めで痛い高市外交とメディアの忖度
日刊ゲンダイ 2026/09/25
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
高市首相や周辺が自画自賛した日米首脳会談。その目的は米中接近への牽制だったはずだが、見事なまでの肩透かし。
「世界の真ん中で咲き誇る」高市外交の正体が割れた形だが、メディアはいつまでバカバカしいヨイショ報道を続けるのか。
◇ ◇ ◇
何から何まで異例な扱いだ。現地時間23日午後6時1分、米首都郊外にある。中国の習近平国家主席と彭麗媛夫人が専用機から降り立つと、階段の下で出迎えたトランプ米大統領は満面の笑みを浮かべて手を握った。トランプはナント、1時間以上前には基地に到着。メラニア夫人とともに階段前で待機していた。
握手の後、両首脳が約30メートルにわたって敷き広げたレッドカーペットの上を肩を並べて歩く。脇には21人から成る儀仗隊を配置。星条旗と五星紅旗がはためく中、最大級の敬意を表す礼砲21発が鳴り響き、上空には米軍のB-1戦略爆撃機2機が爆音をとどろかせながら飛来した──至れり尽くせりの歓待である。ローマ
習の訪米は3年ぶり。国賓としてホワイトハウスで接遇されるのは、オバマ政権時代の2015年9月以来11年ぶり。現職の米大統領が教皇を除き、外国要人の到着時に同基地まで出向いて迎えるのは実に64年ぶり。1962年、当時のケネディ大統領がマクミラン英首相を出迎えて以来とは尋常ではない。
トランプは歓迎行事を終えた後、習夫妻が黒塗りの車に乗り込むのを見届けてから基地を離れた。今年5月にトランプの訪中時、習は空港に赴くことすらなかった。トランプは習が滞在する25日までの間、夕食会や茶会でもてなす。異例を重ねる厚遇ぶりは、今回の習訪問をいかに大事にしているかを物語る。ホンの1日前、ニューヨークの国連本部で会った高市首相の扱いとは雲泥の差だ。
中国の攻勢に白旗を揚げたも同然
「非常に尊敬されている日本の首相だ。偉大な首相の一人として記憶されるだろう」
トランプは会談冒頭で高市を持ち上げたが、一度も名前を呼ばなかった。高市が「ドナルド」とファーストネームを3回連呼したのとは対照的で、「サナエ」という名前の記憶すら怪しい。
「高市首相は約40年前の『ロン・ヤス関係』のように米大統領をファーストネームで呼べば、実際はともかく親密関係をアピールできると踏んだのでしょう。痛い自己演出です」と言うのは、国際ジャーナリストの春名幹男氏だ。こう続けた。
「逆に今のトランプ氏の立場を考えれば、習氏に礼を尽くすのは当然。11月の中間選挙前では最後の大きな外交舞台であり、ディール(取引)で成果を欲しがっているだけではない。自ら仕掛けたイラン攻撃で中東情勢は泥沼化の一途。軍事予算は米国の100分の1に過ぎないイランに想定以上に苦戦しているのは、背後に中国の支援があるからです。財政面でも40兆ドル、日本円にして6000兆円超もの巨額の政府債務を抱える中、中国に米国債を大量に売り浴びせられ、長期金利の高騰にも苦しめられています。かつて中国は世界最大の米国債保有国でしたが、日本と英国に抜かれ、今や3位と大きく後退。トランプ政権が日本の長期金利高騰に苦言を呈すのも『これ以上はごめん』と自国への飛び火を恐れているためです。どちらも中国の出方次第でガソリン価格や住宅ローンの上昇に直結し、ますます支持を失い、中間選挙の勝利は遠のく。トランプ氏は中国の攻勢にほとほと困り果て、習氏の機嫌を取ろうと白旗を揚げたも同然なのです」
大国の幻想を抱いた従属一辺倒でいいのか
そんな苦境を知ってか知らずか、「ドナルド」に会いたい一心で、国連総会に合わせて1泊3日の強行軍で訪米。なかなかスケジュールが固まらず、立ち話程度であしらわれる恐れも囁かれた中、なんとか着座の会談にこぎつけ、「このタイミングでの会談は、日米同盟の強さを世界に示した」と自画自賛したのが、高市という救い難い能天気首相なのである。
高市が「このタイミングで」を強調したのは、もちろん、米中首脳会談の直前を意識したもの。トランプが実利を優先させ、日本の頭越しに習にモミ手で近づき融和に傾く事態を懸念。トランプは5月の習との会談で、台湾への武器売却を中国との「強力な交渉カード」と発言していた。なおさら高市は、習との会談前に台湾問題などで譲歩しないようトランプにクギを刺し、米中接近を牽制する狙いがあったはず。根底にあるのは、やはり中国憎しの感情だ。
「高市首相は、自身の台湾有事答弁で日中関係が戦後最悪と言われるほど悪化。任期中の日中首脳会談の開催が絶望視される中、『中国に味方しないで』とトランプ氏を引きとめようとする。身勝手な注文でしかないのに、そのためなら何でもアリ。会談では“しな”をつくり、国連演説で『法の支配』を説きながら、一方でICC(国際刑事裁判所)への圧力を強めるトランプ氏への言及を避ける二枚舌外交もへっちゃらです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
高市が「会えて良かった」と胸をなでおろしたのもホンの束の間。米中蜜月を「これでもか」と見せつけられ、トランプに見事なまでに肩透かしをくらった格好である。「世界の真ん中で咲き誇る」と強気な宣言を繰り返す高市外交の正体見たりだが、メディアはいつまでバカげた忖度報道を続けるのか。
訪米に同行した政治部記者が高市周辺の外交レクをうのみにしたのか、「トランプ氏が国連総会に合わせて2国間会談をしたのは数カ国だけ」「ICCについては日本側から切り出した」などと無理やり“成果”をつくり出したヨイショ一色である。
今の日本はビルの谷間のさびれたスナック
前出の春名幹男氏は「まるでトランプ氏に会えただけで万々歳。失点さえなければ儲けモノという外交レベルの低さです」と、こう言うのだ。
「高市首相が『強さを示した』と自賛する日米同盟の現実を直視した方がいい。今やイラン攻撃の中東シフトで、沖縄拠点の米海兵隊の守備が手薄となり、首相が重視するアジア太平洋の安全保障は危機的状況です。しかも対イラン作戦の激しい消費で米軍の弾薬が不足。国内の生産力も低下し、継戦すらままならない状態に陥っている。中国にマトモに相手にされない今、米国に大国の幻想を抱いたまま、従属一辺倒の外交を続けていいのか。その危うい真相を国民に知らせるのが、メディアの本来の役目です」
国力低下が著しい日本が米中という強国と渡り合い、「世界の真ん中で咲き誇る」なんて夢の夢。高層ビルの谷間でひっそり営む、さびれたスナックのようなもので、高市はその店を国民に任された雇われママに過ぎない。前出の金子勝氏が言う。
「高市首相には米国の支持を失った政権は長続きしないという恐怖感があるのでしょう。ただ、EU諸国やカナダなどの同盟国でさえ『力の支配』を強めるトランプ政権と距離を置く中、そんなジンクスはもう通じません。トランプ依存はむしろリスクで、誰からも相手にされない哀れな末路を待つのみです。そんな政権の支持率が下がらないのはメディアや国民までもが中国憎しに共感しているせいかもしれません。敗戦直後から『米国に負け、中国には負けていない』という誤った見方があるように、この国が80年以上も引きずるアジア蔑視のシンボルに高市首相が祭り上げられているのなら、根深い問題です」
世界の片隅でイキがるママは惨めでしかない。
トランプ大統領がハシゴ外し! 高市首相“押しかけ外交”の赤っ恥…「中国は大戦時の同盟国」発言で面目丸潰れ
日刊ゲンダイ 2026/09/26
高市外交のメッキがいきなり剥がれ落ちた。現地時間24日、トランプ米大統領が首脳会談に先立ち、ホワイトハウスで開かれた習近平国家主席の歓迎式典でスピーチ。中国を第2次世界大戦時の「同盟国」だと言及した。米大統領が中国を「同盟国」と呼ぶのは異例のこと。そもそも先の大戦で米国が協力したのは、国民党の蒋介石が率いた「中華民国」で、現在の共産党体制とは異なる。
それでもトランプ氏はお構いなし。中国で日本軍と戦った米国人義勇兵の部隊「フライング・タイガース」にも触れ、「力を合わせて戦争に勝利したように、習氏と私は今後も協力し続ける」と呼びかけた。
実は前回2023年の訪米時、習首席はフライング・タイガースの元兵士に「日本のファシズムとの戦いにおいて一致団結し、試練を乗り越え、深い友情を築いた」とつづった手紙を送っていた。その経緯を知ってか知らずか、トランプ氏の「同盟国」発言は習氏のまいた「歴史戦」の種が3年後に花開いた格好である。
「異例の発言はトランプ流のディールの一環。政治体制はどうでもよく、とにかく最大限の実利を得るためのリップサービスでしょう。習氏への配慮は、中国の支援で苦戦するイラン攻撃に一言も触れないことでも分かる。自分の言葉が日本にどんな影響を及ぼすかなどハナから考えちゃいません」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
習氏が「日本たたき」を強める踏み台に
トランプ氏の後に登壇した習氏は「第2次大戦中、中米両国はファシズムの侵略に肩を並べて立ち向かった」と呼応。首脳会談後の夕食会では「80年以上前、中米の国民は日本の軍国主義の侵略に対し肩を並べて戦った」と日本を名指しして、さらに踏み込んだ。高市首相の台湾有事発言以降、「新型軍国主義」という日本たたきを強める踏み台に、まんまとトランプ氏を利用したのである。
習に先駆けて米国に押しかけ、トランプ氏と会談した高市首相の面目は丸潰れ。米中接近にクギを刺したはずが、逆に「日本の軍国主義」が両国の絆を強める足がかりとなったわけだ。
しかも高市首相は国連演説で、日独伊など先の大戦の敗戦国が対象の国連憲章の「旧敵国条項」について「早急に削除されるべきだ」と主張。「70年間にわたり国連に大きく貢献してきた日本の誇りと名誉に懸けて、強く申し上げておく」と熱っぽく訴えた直後である。
この条項は「旧敵国」が再び侵略行為に出た場合、安全保障理事会の許可なしに軍事行動が取れるとした規定だ。高市首相の削除要求に「戦勝国」の立場を重視する中国は反発。日中間の新たな火種となりそうな中、トランプ氏の「同盟国」発言は中国を後押し。共に日本と戦った国同士、加勢したと受け止められかねない。
「そもそも旧敵国条項はすでに『死文化』しており、他の国ならいざ知らず対象国が唐突に削除を求めること自体、寝た子を起こすようなもの。わざわざ80年以上前の記憶を喚起させた高市首相の外交センスを疑います」(春名幹男氏)
いくらトランプ氏は無意識とはいえ、高市首相がハシゴを外されたのも、後先考えず中国憎しをエスカレートさせてばかりの自業自得である。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年9月28日月曜日
米中蜜月「これでもか」…惨めで痛い高市外交とメディアの忖度(日刊ゲンダイ)
28- 高市首相の国連演説(耕助のブログ)
耕助のブログに掲題の記事が載りました。
高市首相の国連演説は、事前に国内向けには「中国に反論する」「旧敵国条項の削除を迫る」と勇ましくアドバルーンを揚げておきながら、実際の国連演説では「中国」の名前は全く登場せず、「いわゆる旧敵国条項は削除されなければならない」と終わりのところで触れましたが、そこでも中国やロシアを名指しせずに、単に「2005年の国連総会決議に基づき、憲章を見直すべきだ」という、過去の決議をなぞっただけの安全運転なペーパー読みに留めていると、揶揄されました。
北京、モスクワ、ワシントンなどの外交筋は、日本は「事前には大声で吠えるが、本番では縮み上がる」パターンを取ると看破しているということです。
この「敵国条項」は、高市氏が「台湾有事」が起きれば「日本も武力対応を辞さない」かのような発言をしたことで、習近平が「歴史」の中から持ち出してきた言葉です。
高市氏は何よりもまず自分の失言を取り消し、これまで通りの日中関係を復活させるべきです(高市氏の演説に参加した各国代表は1割程度だったようです)。
因みに「敵国条項」について「ウィキペディア」所載の「説明と解説」の一部を下記に抜粋します。
【敵国条項】
第53条第1項後段(安保理の例外規定)は、「第二次世界大戦中の連合国の旧敵国」が、戦争により確定した事項を無効または排除した場合、国際連合加盟国や地域条約機構は安保理に依らず、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できない。また同様に地域協約が締結されている場合も、安保理に依らず敵国に対して制裁(軍事的若しくは経済的な。憲章第7章定義)を課すことができる。
【解説】 この条項は米・英・仏・ソによるドイツ管理などの根拠とされていたが、1991年のドイツ最終規定条約の発効に伴い実質的な役割を果たすことはなくなった。1995年の国際連合総会決議50/52において、「時代遅れ」として、国連加盟国の圧倒的多数の賛成(賛成155、反対0、棄権3)により国際社会において同条項が実務上用いられていない状態にあるとの認識が示され、当該条項の削除に向け作業する事が決議された。これを踏まえ、日本およびドイツなどの当事国の政府は、旧敵国条項は現在の国際秩序の下では実効性を有しないとの解釈を示し・・・
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高市首相の国連演説
耕助のブログNo. 3039 2026年9月25日
Dr.Fager@johnnys_dream
事前に国内向けには「中国に反論する」「旧敵国条項の削除を迫る」と勇ましくアドバルーンを揚げておきながら、実際の国連演説の場で起きた現実は示唆的だ。
映像を見ても分かる通り、議席は閑散としており、各国代表が熱心に耳を傾けている様子はない。
国際社会の最大の関心事は「米中対立の行方」「中東・ホルムズ海峡危機」「ウクライナの冬越えと停戦ディール」だ。
その中で、ただ過去のODA拠出(6,700億ドル)の実績自慢や、抽象的な法の支配を繰り返す日本の演説は、各国外交官にとって退屈な定型スピーチでしかない。
国内では「世界の中心で堂々と演説した」と報じられても、ニューヨークの現場にあるのは冷え切った無関心だ。
この演説で最も奇妙なのがターゲットの絞り方だ。
「ロシアによるウクライナ侵略」、「安保理で拒否権を乱用する常任理事国」、そして「北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題」 は、これでもかというほど名指しで批判している。
事前に「中国に反論」と国内で大々的に宣伝していたにもかかわらず、演説本文では「力による一方的な現状変更の試み」「恣意的な輸出規制への懸念」といった主語を抜いた官僚的遠回し表現に終始し、「China」の固有名詞を完全に封印した。
トランプ側が釘を刺したのだろうか。
トランプは習近平との間で巨額の通商ディール(農産物・エネルギーの爆買い合意)を画策しており、このデリケートなタイミングで日本が余計な対中挑発をして米中交渉のテーブルを引っかき回すのは大迷惑だ。
それでも、国内の岩盤支持層に向けて「言った」という実績だけは作らなければならないため、演説の終盤で「いわゆる旧敵国条項は削除されなければならない」と触れてはいる。
しかし、ここでも中国やロシアを名指しして詰め寄るわけではなく、「2005年の国連総会決議に基づき、憲章を見直すべきだ」という、過去の決議をなぞっただけの安全運転なペーパー読みに留めている。
相手のナイフを本気で奪いに行く気迫も戦略もなく、「一応、原稿にこの単語を入れました」という官僚の作文を読み上げる姿は、大男に喧嘩を売るどころか、大男の足元でボソボソと独り言をつぶやいたに等しい光景だ。
大国からの叱責と現実の報復を恐れて腰が引け、誰も聞いていないガラガラの議場で、国内PR用の「言い訳の1行」を消化して帰路につく。
こんな哀しい姿でも、現代の政治プロパガンダにおいては何の傷にもならない。
事前に「国連演説で旧敵国条項の削除を主張へ」「中国に毅然と反論」という見出しを打たせ、ワイドショーやSNSにその文脈を刷り込ませた時点で、政治的投資に対する回収率は100%に達している。
「高市首相、国連で旧敵国条項の削除要求へ」という文字を見た瞬間、支持者の脳内には「世界を相手に堂々と戦う日本の強い女性宰相」という英雄的ナラティブ(⇒言説)が完成する。
演説本番のテキストをわざわざ英文で照合し、「中国という単語が1回も出てこないではないか」と確認する人間は、国民の0.1%もいない。
大手メディアも自らが打った「勇ましい予告」の梯子を外すような検証報道は、決して大きく報じない。
政治家にとっては支持率が高止まりし、政権が延命できるのだから大成功だ。
しかし、その陰で国家が支払わされるツケは計り知れない。
北京、モスクワ、ワシントン、そして平壌の外交筋は、この日本の「事前には大声で吠え、本番では縮み上がる」パターンを完全に看破している。
国民は「日本は世界で毅然と発言している」という偽りの安心感に浸り続け、演説の原稿から「China」の文字を震えながら消したみっともない現実など、国内の熱狂の渦の中では綺麗さっぱり消去される。
「やってる感」の演出だけで政権を維持し、実体としての国力と外交的信用を切り売りし続ける。
この国が選んだ道は、現実の敗北を大本営発表の勇ましさで塗りつぶして喝采を叫び続けた、いつか来た破滅のレールの上を、寸分違わずトレースしている。
2026年9月24日木曜日
憲法が求める「正当な選挙」/なぜ軍備拡大が叫ばれるのか/孤立深め窮地の高市外交(植草一秀氏)
植草一秀氏の直近の3つの記事を紹介します。3つの記事はそれぞれ重要な事柄について述べられています。
ご存知の通り、植草氏の記事は簡明・簡潔に述べられています。どうぞご一読ください。
今回は余計な記事の要約は省かせていただきます。
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憲法が求める「正当な選挙」
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月21日
日本国憲法前文は次の書き出しで始まる。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」
前文は、続いて「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」とする。
国政は「選挙された国会における代表者」を通じて行われる。
前文では、この記述の前に「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」としている。国政は主権者である国民が代表者を国会に送り込んで行われる。
このとき、どのように主権者が国会に代表者を送り込むのかが問題になる。
憲法前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」と規定している。「正当に選挙された」というのが代表者の要件である。したがって、「正当な選挙」を行う必要がある。
本年2月8日の総選挙。自民党は316議席を占有した。衆議院定数は465。その68%を自民が占有した。
自民は比例代表の候補者が不足し、本来の自民党議席の14が野党に流れた。
これを含めれば自民獲得議席は330で議員定数全体の71%を占有するところだった。
この多数議席によって高市独裁政治が行われている。
だが、選挙で投票した主権者の71%が自民に投票したのかと言えばまったく違う。
比例代表の得票率は37%に過ぎなかった。投票所に足を運んだ有権者の37%だけが自民に投票した。63%の有権者は自民に投票していない。
37%の得票で7割の議席を占有。これを「正当に選挙された代表者」と言えるのかが問題。
高市首相は衆議院の議席数をかさに着て横暴な政治運営を行っている。
自民党が比例代表得票率37%に準じて議席配分されたなら議席数は171。衆議院単独過半数233にも遠く及ばない。この議席配分で国政を行うことが「正当に選挙された代表者を通じて行動し」に見合うのではないか。
全議席を比例代表選挙で選出することのメリットは計り知れない。
主権者の「清き一票」が基本的に無駄にならない。現行の小選挙区制度では「死に票」が山になる。
「小選挙区制」では自分の政治思潮を受け止める候補者が当落線上にいなければ選挙に行くことをやめてしまう人が続出する。
しかし、比例代表選挙では基本的にすべての投票が生かされるから投票率が上昇する大きな要因にもなる。主権者である国民の意思を正確に国会議席配分に反映させるには、全議席を比例代表選挙で選出するのが最善だ。
いくつかの問題が指摘される。
第一は当選者を「政党が提示する名簿の序列」に従って決定すると、主権者が議員にしたくない者が議員になる可能性が生じること。
第二は全国比例になると選挙活動の面積が拡大して選挙活動が行いにくくなること。
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なぜ軍備拡大が叫ばれるのか
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月22日
高市首相は2月総選挙で自民党が多数議席を獲得したことを盾に独裁的な政権運営を行っている。このことが日本にもたらす災厄は計り知れない。
2月総選挙で自民は316議席を獲得した。しかし、比例代表選挙での自民得票率は37%。全有権者を分母とする「絶対得票率」では自民得票率は20%に過ぎない。
それなのに議席占有率は68%だった。
37%の得票率で68%の議席を占有した原動力は「小選挙区制度」。この選挙制度が「民意を反映しない国会議席構成」を生み出している。「正当な選挙制度」と言えない。
比例代表の得票率で議席を配分すると自民議席は171で、過半数の233にも遠く及ばない。自民議席が171である方が、はるかに健全だ。独裁的な政権運営など不可能になる。
しかし、現実には高市内閣が衆議院多数議席を盾に暴政を展開している。
「暴政」は各方面に及んでいるが、最大の問題は日本を戦争国家に急激に変質させていることだ。これが最大の問題だ。
具体的に三つのことが同時に推進されている。
第一は近隣諸国との関係悪化の推進
第二は戦争遂行に向けての財政資金の大量投入
第三は戦争遂行のための法制制定推進
「愚の骨頂」と言うほかない。高市首相はなぜ戦争に前のめりなのか。理由は明白だ。
戦争が金儲けになるからだ。世界で繰り広げられる戦争に必然性はない。
必然性のない戦争が作られている。必然性のない戦争が創作されるのは戦争が金儲けになるからだ。
「戦争と平和」どちらが良いのかは明白だ。戦争に勝ちも負けもない、あるのは滅びだけだ。これが真実だが、戦争を創作する者にとっては違う。
戦争を創作する者に共通点がある。それは、戦争を創作する者は危険な場所に身を置かないということ。戦争で犠牲になるのは戦地の市民と戦場に送られる末端の兵士。
戦争を創作する者は前線には決して近づかない。戦争を創作する者は金儲けのために戦争を創作する。危険な場所に身を置いて命を失えば元も子もない。だから、一般市民と末端の兵士を犠牲にする。
戦争をするには「理由」が必要。だから、「理由」を創作する。日本が創作に前のめりになる戦争は「日中戦争」。
「日中戦争」を創作するときの最大の障害は「日中友好」である。「日中友好」こそ金儲けの最大の障害物だ。日本政府は時間をかけて「日中友好」を破壊してきた。
「日中友好」を破壊した二つの衝撃波がある。
第一は2010年9月7日の尖閣海域中国漁船衝突事件。
第二は2025年11月7日の高市早苗台湾有事国会答弁だ。
「日中友好」を破壊して戦争の「大義名分」を作る。この下で国民の貴重な税金が史上空前の規模で軍事に注がれ始めている。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4532号
「高市首相が最悪である理由」 でご高読下さい。
(後 略)
孤立深め窮地の高市外交
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月23日
トランプ大統領不支持率が58.9%まで上昇している(9月22日現在)。
Real Clear Politics社が各社世論調査結果を集計して発表している。
支持率は39.5%。支持から不支持を差し引いた数値は19.4%ポイント。
昨年1月の大統領就任以来、一貫して支持率が低下、不支持率が上昇してきた。
11月3日には中間選挙が実施される。
少し前までは上院では共和党が過半数を維持できると見られていた。ところが、現時点では接戦州が増加して共和党が過半数を維持できるか不透明な情勢に転じている。
下院では選挙区の区割りが変更された。
共和党に有利に区割り変更が行われた(ゲリマンダー)ため、共和党は大敗を免れる可能性が高まっているが、共和党は下院過半数を維持できないとの見方が強い。こちらも激戦州の結果によって勝者が入れ代わり得る状況になっている。
下院は大統領弾劾訴追の権限を有する。大統領弾劾には上院で3分の2以上の賛成が必要で、トランプ大統領が弾劾される可能性は高くない。しかし、下院で共和党が過半数を割り込み、トランプ大統領が訴追されると弾劾裁判が行われる。
この裁判が行われること自体がトランプ大統領にとって強い逆風になる。
その米国で大きな外交が展開されている。メインイシューは米中首脳会談。
トランプ大統領は中国の習近平主席の訪米に際して、ワシントンのアンドルーズ空軍基地まで出迎えに行く予定。習近平主席はレッドカーペットを敷き詰めた地面に降り立つ見通し。翌日にはホワイトハウスにおいて米軍儀仗隊による栄誉礼を含む最高レベルの歓迎式典が執り行われる見通し。さらに晩餐会も予定されている。
高市首相は22日に訪米。航空機のデッキから大きく手を上げて出迎えの人々に対応したような映像が流されたが、高市首相に手を振る人々は存在しなかった。米国側からの出迎えはなく、むき出しの滑走路に降り、在米日本大使館等の職員が対応した。
日米首脳会談が開かれたが、ICC(国際刑事裁判所)の赤根所長に対する制裁に対する抗議を表明しなかったと見られる。
高市氏はいつものように媚びた態度をむき出しにしたが、トランプ大統領は訪米する日本首相に投げかける常套句を素っ気なく述べたにとどまった。
高市首相は昨年11月7日の台湾有事発言で中国の猛烈な反発を受けており、トランプ大統領を何とか自陣営に引き込みたいとの願望を有していると見られるが、トランプ大統領にその思いはまったく届いていない。
高市首相に対する接遇と習近平主席に対する接遇に天地の開きがある。
これが米国の高市首相に対する位置づけを端的に示している。
高市首相は国連総会で一般討論演説をしたが、聴衆はほとんどいなかった。9割方が空席だった。日本のプレゼンスは地に堕ちている。
日本は米国と中国の間に位置する国。中国とは一衣帯水の関係にある。
日本のプレゼンスを高めるには日本が米国と中国の双方と安定した友好関係を構築することが必要不可欠。日中関係が激烈に悪化するなかで米中が友好関係を深めれば日本は孤立するだけである。現実に孤立を深めていると言える。
中国は日中関係が冷え込んでも困ることがない。しかし、日本は違う。
日中関係悪化がボディーブローとして日本経済に重大な影響を与え始めている。
その経済の苦境を軍備拡大で切り抜けようとするのは愚の骨頂。最低の方策だ。
日中関係を破壊してきたのが日中のどちらであるのかを虚心坦懐に考える必要がある。
高市氏が謙虚で柔軟な姿勢を示すなら日中関係を修復することは可能だが、本人にその意思がないから関係悪化持続は避けられない。
その弊害が日本の主権者国民に及ぶことを忘れてはならない。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』第4533号
「高市頑迷固陋外交は国民の迷惑」 でご高読下さい。
(後 略)
政党助成金を自分宛てに「寄付」自民候補17億円 24年10月選挙
2024年10月の総選挙で、高市早苗首相をはじめ自民党の候補者217人が、みずから支部長を務める政党支部(選挙区支部)から国民の税金を原資とする政党助成金を「自分あて」に「寄付」していたことが、しんぶん赤旗の調べで分かりました。
その〝お手盛り″の総額は17億3000万円以上で、一人平均798万円でした。物価高にあえぐ国民をよそに、自分の懐を温めていたわけです。
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政党助成金を自分宛てに「寄付」自民候補17億円 24年10月選挙
しんぶん赤旗 2026年9月22日
2024年10月の総選挙で、高市早苗首相をはじめ自民党の候補者217人が、みずから支部長を務める政党支部(選挙区支部)から国民の税金を原資とする政党助成金を自分あてに「寄付」していたことが、本紙の調べでわかりました。その″お手盛り″の総額は、なんと17億3000万円以上。物価高にあえぐ国民をよそに、自分の懐を温めていたのか-。 (藤沢忠明)
税金(政党助成金)を私物化?
(注)「政党交付金使途等報告書」(2024年分)で作成
国 民 (1人あたり250円) |
↓↓ 156億5100万円
自民党 |
↓↓ 各支部に3300万円 (大半)
国会議員が支部長の選挙区支部 |
↓↓ 217人 約17億3000万円 (選挙関係費 「寄付」)
高市首相ら本人 |
国民の生活苦よそに高市氏ら217人平均798万円
自民党の小選挙区候補(比例重複含む)の選挙区支部が総務省に提出した「政党交付金使途等報告書」(24年分)を調べたもの。
「選挙関係費」の支出をみると、10月15日の公示日を前後して、支部長である本人あてに「寄付」名目で、500万円、800万円、1OOO万円と多額の支出をしています。
この〝お手盛り″をしていたのは、確認できた265人のうち、8割を超す217人にのぼり、総額は17億3238万8998円でした。平均すると、798万円。
高市早苗首相(奈良2区)と自民党出身(衆院議員)の14人の閣僚のうち、首相と8人の閣僚の政党支部がみずからに「寄付」していました。最も多かったのは、法相に就任した山下貴司氏(岡山2区)で2000万円。公示直前の10月10日に受け取っていました。多くの政党支部が自民党本部から3300万円の政党助成金を受け取っていますが、約6割を自分に寄付したことになります。
ほかの閣僚は、茂木敏充外相(栃木5区)、上野賢一郎厚労相(滋賀2区)、細野豪志復興相(静岡5区)、政治資金を所管する藤井比早之総務相(兵庫4区)、葉梨康弘国家公安委員長(茨城3区)、笹川博義環境相(群馬3区)の6人が500万円、赤沢亮正経済産業相(鳥取2区)は300万円。
新たに国対委員長に登用された村井英樹元官房副長官(埼玉1区)は、947万円。
山下法相と並んで最多の2000万円を自分に寄付していたのは、ほかに塩崎彰久デジタル兼内開府副大臣(愛媛I区)、野田聖子元内開府特命担当相(岐阜1区)、国場幸之助元国土交通副大臣(沖縄―区)ら7人。
一方、高市首相は、公示後の10月18日、同25日に各200万円など7回に分けて計736万4487円を自分に寄付。このうち、最後の12月13日は7万4487円という端数で、党本部から受け取った3300万円をきっかり使い切った形です。
柴山昌彦元文部科学相(埼玉8区)も、4回に分け、計1050万9482円を自分に寄付、3300万円を使い切りました。
政党助成金の原資は国民の税金なのに、使途については基本的に条件も制限も課していません。多額な寄付を自分におこなった後、どんな使い方をしたのかは、闇の中で、チェックできないことは問題です。
政党助成金をめぐっては、中道改革連合の分裂後、約12億円の政党助成金を受け取るために、1人だけ残留するやり方に疑問の声が上がっています。国民の思想・信条の自由に反して支持もしていない政党に強制的に交付される政党助成金はそもそも憲法違反であり、国民から政治資金を集める努力をしなくなるような、政党の自立を阻む制度そのものが問われています。