植草一秀氏の直近の3つの記事を紹介します。3つの記事はそれぞれ重要な事柄について述べられています。
ご存知の通り、植草氏の記事は簡明・簡潔に述べられています。どうぞご一読ください。
今回は余計な記事の要約は省かせていただきます。
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憲法が求める「正当な選挙」
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月21日
日本国憲法前文は次の書き出しで始まる。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」
前文は、続いて「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」とする。
国政は「選挙された国会における代表者」を通じて行われる。
前文では、この記述の前に「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」としている。国政は主権者である国民が代表者を国会に送り込んで行われる。
このとき、どのように主権者が国会に代表者を送り込むのかが問題になる。
憲法前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」と規定している。「正当に選挙された」というのが代表者の要件である。したがって、「正当な選挙」を行う必要がある。
本年2月8日の総選挙。自民党は316議席を占有した。衆議院定数は465。その68%を自民が占有した。
自民は比例代表の候補者が不足し、本来の自民党議席の14が野党に流れた。
これを含めれば自民獲得議席は330で議員定数全体の71%を占有するところだった。
この多数議席によって高市独裁政治が行われている。
だが、選挙で投票した主権者の71%が自民に投票したのかと言えばまったく違う。
比例代表の得票率は37%に過ぎなかった。投票所に足を運んだ有権者の37%だけが自民に投票した。63%の有権者は自民に投票していない。
37%の得票で7割の議席を占有。これを「正当に選挙された代表者」と言えるのかが問題。
高市首相は衆議院の議席数をかさに着て横暴な政治運営を行っている。
自民党が比例代表得票率37%に準じて議席配分されたなら議席数は171。衆議院単独過半数233にも遠く及ばない。この議席配分で国政を行うことが「正当に選挙された代表者を通じて行動し」に見合うのではないか。
全議席を比例代表選挙で選出することのメリットは計り知れない。
主権者の「清き一票」が基本的に無駄にならない。現行の小選挙区制度では「死に票」が山になる。
「小選挙区制」では自分の政治思潮を受け止める候補者が当落線上にいなければ選挙に行くことをやめてしまう人が続出する。
しかし、比例代表選挙では基本的にすべての投票が生かされるから投票率が上昇する大きな要因にもなる。主権者である国民の意思を正確に国会議席配分に反映させるには、全議席を比例代表選挙で選出するのが最善だ。
いくつかの問題が指摘される。
第一は当選者を「政党が提示する名簿の序列」に従って決定すると、主権者が議員にしたくない者が議員になる可能性が生じること。
第二は全国比例になると選挙活動の面積が拡大して選挙活動が行いにくくなること。
しかし、この問題を解消する方法がある。
議員定数削減の提案に合わせて選挙制度の論議が生じているが、全議席を比例代表選挙で選出する提案を国会で真剣に検討するべきだ。
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なぜ軍備拡大が叫ばれるのか
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月22日
高市首相は2月総選挙で自民党が多数議席を獲得したことを盾に独裁的な政権運営を行っている。このことが日本にもたらす災厄は計り知れない。
2月総選挙で自民は316議席を獲得した。しかし、比例代表選挙での自民得票率は37%。全有権者を分母とする「絶対得票率」では自民得票率は20%に過ぎない。
それなのに議席占有率は68%だった。
37%の得票率で68%の議席を占有した原動力は「小選挙区制度」。この選挙制度が「民意を反映しない国会議席構成」を生み出している。「正当な選挙制度」と言えない。
比例代表の得票率で議席を配分すると自民議席は171で、過半数の233にも遠く及ばない。自民議席が171である方が、はるかに健全だ。独裁的な政権運営など不可能になる。
しかし、現実には高市内閣が衆議院多数議席を盾に暴政を展開している。
「暴政」は各方面に及んでいるが、最大の問題は日本を戦争国家に急激に変質させていることだ。これが最大の問題だ。
具体的に三つのことが同時に推進されている。
第一は近隣諸国との関係悪化の推進
第二は戦争遂行に向けての財政資金の大量投入
第三は戦争遂行のための法制制定推進
「愚の骨頂」と言うほかない。高市首相はなぜ戦争に前のめりなのか。理由は明白だ。
戦争が金儲けになるからだ。世界で繰り広げられる戦争に必然性はない。
必然性のない戦争が作られている。必然性のない戦争が創作されるのは戦争が金儲けになるからだ。
「戦争と平和」どちらが良いのかは明白だ。戦争に勝ちも負けもない、あるのは滅びだけだ。これが真実だが、戦争を創作する者にとっては違う。
戦争を創作する者に共通点がある。それは、戦争を創作する者は危険な場所に身を置かないということ。戦争で犠牲になるのは戦地の市民と戦場に送られる末端の兵士。
戦争を創作する者は前線には決して近づかない。戦争を創作する者は金儲けのために戦争を創作する。危険な場所に身を置いて命を失えば元も子もない。だから、一般市民と末端の兵士を犠牲にする。
戦争をするには「理由」が必要。だから、「理由」を創作する。日本が創作に前のめりになる戦争は「日中戦争」。
「日中戦争」を創作するときの最大の障害は「日中友好」である。「日中友好」こそ金儲けの最大の障害物だ。日本政府は時間をかけて「日中友好」を破壊してきた。
「日中友好」を破壊した二つの衝撃波がある。
第一は2010年9月7日の尖閣海域中国漁船衝突事件。
第二は2025年11月7日の高市早苗台湾有事国会答弁だ。
「日中友好」を破壊して戦争の「大義名分」を作る。この下で国民の貴重な税金が史上空前の規模で軍事に注がれ始めている。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4532号
「高市首相が最悪である理由」 でご高読下さい。
(後 略)
孤立深め窮地の高市外交
植草一秀の「知られざる真実」 2026年9月23日
トランプ大統領不支持率が58.9%まで上昇している(9月22日現在)。
Real Clear Politics社が各社世論調査結果を集計して発表している。
支持率は39.5%。支持から不支持を差し引いた数値は19.4%ポイント。
昨年1月の大統領就任以来、一貫して支持率が低下、不支持率が上昇してきた。
11月3日には中間選挙が実施される。
少し前までは上院では共和党が過半数を維持できると見られていた。ところが、現時点では接戦州が増加して共和党が過半数を維持できるか不透明な情勢に転じている。
下院では選挙区の区割りが変更された。
共和党に有利に区割り変更が行われた(ゲリマンダー)ため、共和党は大敗を免れる可能性が高まっているが、共和党は下院過半数を維持できないとの見方が強い。こちらも激戦州の結果によって勝者が入れ代わり得る状況になっている。
下院は大統領弾劾訴追の権限を有する。大統領弾劾には上院で3分の2以上の賛成が必要で、トランプ大統領が弾劾される可能性は高くない。しかし、下院で共和党が過半数を割り込み、トランプ大統領が訴追されると弾劾裁判が行われる。
この裁判が行われること自体がトランプ大統領にとって強い逆風になる。
その米国で大きな外交が展開されている。メインイシューは米中首脳会談。
トランプ大統領は中国の習近平主席の訪米に際して、ワシントンのアンドルーズ空軍基地まで出迎えに行く予定。習近平主席はレッドカーペットを敷き詰めた地面に降り立つ見通し。翌日にはホワイトハウスにおいて米軍儀仗隊による栄誉礼を含む最高レベルの歓迎式典が執り行われる見通し。さらに晩餐会も予定されている。
高市首相は22日に訪米。航空機のデッキから大きく手を上げて出迎えの人々に対応したような映像が流されたが、高市首相に手を振る人々は存在しなかった。米国側からの出迎えはなく、むき出しの滑走路に降り、在米日本大使館等の職員が対応した。
日米首脳会談が開かれたが、ICC(国際刑事裁判所)の赤根所長に対する制裁に対する抗議を表明しなかったと見られる。
高市氏はいつものように媚びた態度をむき出しにしたが、トランプ大統領は訪米する日本首相に投げかける常套句を素っ気なく述べたにとどまった。
高市首相は昨年11月7日の台湾有事発言で中国の猛烈な反発を受けており、トランプ大統領を何とか自陣営に引き込みたいとの願望を有していると見られるが、トランプ大統領にその思いはまったく届いていない。
高市首相に対する接遇と習近平主席に対する接遇に天地の開きがある。
これが米国の高市首相に対する位置づけを端的に示している。
高市首相は国連総会で一般討論演説をしたが、聴衆はほとんどいなかった。9割方が空席だった。日本のプレゼンスは地に堕ちている。
日本は米国と中国の間に位置する国。中国とは一衣帯水の関係にある。
日本のプレゼンスを高めるには日本が米国と中国の双方と安定した友好関係を構築することが必要不可欠。日中関係が激烈に悪化するなかで米中が友好関係を深めれば日本は孤立するだけである。現実に孤立を深めていると言える。
中国は日中関係が冷え込んでも困ることがない。しかし、日本は違う。
日中関係悪化がボディーブローとして日本経済に重大な影響を与え始めている。
その経済の苦境を軍備拡大で切り抜けようとするのは愚の骨頂。最低の方策だ。
日中関係を破壊してきたのが日中のどちらであるのかを虚心坦懐に考える必要がある。
高市氏が謙虚で柔軟な姿勢を示すなら日中関係を修復することは可能だが、本人にその意思がないから関係悪化持続は避けられない。
その弊害が日本の主権者国民に及ぶことを忘れてはならない。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』第4533号
「高市頑迷固陋外交は国民の迷惑」 でご高読下さい。
(後 略)