2026年9月28日月曜日

28- 高市首相の国連演説(耕助のブログ)

 耕助のブログに掲題の記事が載りました。

 高市首相の国連演説は、事前に国内向けには「中国に反論する」「旧敵国条項の削除を迫る」と勇ましくアドバルーンを揚げておきながら、実際の国連演説では「中国」の名前は全く登場せず、「いわゆる旧敵国条項は削除されなければならない」と終わりのところで触れましたが、そこでも中国やロシアを名指しせずに、単に「2005年の国連総会決議に基づき、憲章を見直すべきだ」という、過去の決議をなぞっただけの安全運転なペーパー読みに留めていると、揶揄されました。
 北京、モスクワ、ワシントンなどの外交筋は、日本は「事前には大声で吠えるが、本番では縮み上がる」パターンを取ると看破しているということです。
 この「敵国条項」は、高市氏が「台湾有事」が起きれば「日本も武力対応を辞さない」かのような発言をしたことで、習近平が「歴史」の中から持ち出してきた言葉です。
 高市氏は何よりもまず自分の失言を取り消し、これまで通りの日中関係を復活させるべきです(高市氏の演説に参加した各国代表は1割程度だったようです)。

 因みに「敵国条項」について「ウィキペディア」所載の「説明と解説」の一部を下記に抜粋します。
【敵国条項】
 第53条第1項後段(安保理の例外規定)は、「第二次世界大戦中の連合国の旧敵国」が、戦争により確定した事項を無効または排除した場合、国際連合加盟国や地域条約機構は安保理に依らず、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できない。また同様に地域協約が締結されている場合も、安保理に依らず敵国に対して制裁(軍事的若しくは経済的な。憲章第7章定義)を課すことができる。

【解説】 この条項は米・英・仏・ソによるドイツ管理などの根拠とされていたが、1991年のドイツ最終規定条約の発効に伴い実質的な役割を果たすことはなくなった。1995年の国際連合総会決議50/52において、「時代遅れ」として、国連加盟国の圧倒的多数の賛成(賛成155、反対0、棄権3)により国際社会において同条項が実務上用いられていない状態にあるとの認識が示され、当該条項の削除に向け作業する事が決議された。これを踏まえ、日本およびドイツなどの当事国の政府は、旧敵国条項は現在の国際秩序の下では実効性を有しないとの解釈を示し・・・
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高市首相の国連演説
                 耕助のブログNo. 3039  2026年9月25日
                    Dr.Fager@johnnys_dream
事前に国内向けには「中国に反論する」「旧敵国条項の削除を迫る」と勇ましくアドバルーンを揚げておきながら、実際の国連演説の場で起きた現実は示唆的だ。
映像を見ても分かる通り、議席は閑散としており、各国代表が熱心に耳を傾けている様子はない。
国際社会の最大の関心事は「米中対立の行方」「中東・ホルムズ海峡危機」「ウクライナの冬越えと停戦ディール」だ。
その中で、ただ過去のODA拠出(6,700億ドル)の実績自慢や、抽象的な法の支配を繰り返す日本の演説は、各国外交官にとって退屈な定型スピーチでしかない。
国内では「世界の中心で堂々と演説した」と報じられても、ニューヨークの現場にあるのは冷え切った無関心だ。
この演説で最も奇妙なのがターゲットの絞り方だ。
「ロシアによるウクライナ侵略」、「安保理で拒否権を乱用する常任理事国」、そして「北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題」 は、これでもかというほど名指しで批判している。
事前に「中国に反論」と国内で大々的に宣伝していたにもかかわらず、演説本文では「力による一方的な現状変更の試み」「恣意的な輸出規制への懸念」といった主語を抜いた官僚的遠回し表現に終始し、「China」の固有名詞を完全に封印した。
トランプ側が釘を刺したのだろうか。
トランプは習近平との間で巨額の通商ディール(農産物・エネルギーの爆買い合意)を画策しており、このデリケートなタイミングで日本が余計な対中挑発をして米中交渉のテーブルを引っかき回すのは大迷惑だ。
それでも、国内の岩盤支持層に向けて「言った」という実績だけは作らなければならないため、演説の終盤で「いわゆる旧敵国条項は削除されなければならない」と触れてはいる。
しかし、ここでも中国やロシアを名指しして詰め寄るわけではなく、「2005年の国連総会決議に基づき、憲章を見直すべきだ」という、過去の決議をなぞっただけの安全運転なペーパー読みに留めている。

相手のナイフを本気で奪いに行く気迫も戦略もなく、「一応、原稿にこの単語を入れました」という官僚の作文を読み上げる姿は、大男に喧嘩を売るどころか、大男の足元でボソボソと独り言をつぶやいたに等しい光景だ。
大国からの叱責と現実の報復を恐れて腰が引け、誰も聞いていないガラガラの議場で、国内PR用の「言い訳の1行」を消化して帰路につく。
こんな哀しい姿でも、現代の政治プロパガンダにおいては何の傷にもならない。
事前に「国連演説で旧敵国条項の削除を主張へ」「中国に毅然と反論」という見出しを打たせ、ワイドショーやSNSにその文脈を刷り込ませた時点で、政治的投資に対する回収率は100%に達している。
「高市首相、国連で旧敵国条項の削除要求へ」という文字を見た瞬間、支持者の脳内には「世界を相手に堂々と戦う日本の強い女性宰相」という英雄的ナラティブ(⇒言説)が完成する。
演説本番のテキストをわざわざ英文で照合し、「中国という単語が1回も出てこないではないか」と確認する人間は、国民の0.1%もいない。
大手メディアも自らが打った「勇ましい予告」の梯子を外すような検証報道は、決して大きく報じない。
政治家にとっては支持率が高止まりし、政権が延命できるのだから大成功だ。
しかし、その陰で国家が支払わされるツケは計り知れない。
北京、モスクワ、ワシントン、そして平壌の外交筋は、この日本の「事前には大声で吠え、本番では縮み上がる」パターンを完全に看破している。
国民は「日本は世界で毅然と発言している」という偽りの安心感に浸り続け、演説の原稿から「China」の文字を震えながら消したみっともない現実など、国内の熱狂の渦の中では綺麗さっぱり消去される。
「やってる感」の演出だけで政権を維持し、実体としての国力と外交的信用を切り売りし続ける。
この国が選んだ道は、現実の敗北を大本営発表の勇ましさで塗りつぶして喝采を叫び続けた、いつか来た破滅のレールの上を、寸分違わずトレースしている。 









https://x.com/johnnys_dream/status/2102580356222501042