2013年6月20日木曜日

「慰安婦」問題 政府資料に強制連行の証拠

 問題となった従軍慰安婦に関する一連の橋下発言は、2007年の第一次安倍内閣の答弁書で「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」述べたことを最大の根拠にしています。
 これに関連して共産党の赤嶺議員が提出した質問趣意書に対し、安倍内閣は18日、答弁書で慰安婦問題に関して日本軍による強制連行を示す証拠が政府の発見した資料の中にあることを初めて認めました。

 橋下氏は5月27日の外国特派員協会での会見に向けて、当初の発言に対して修正に継ぐ修正を重ねたために、いまでは一体何を主張したかったのかが良く分からなくなっていました。
 ところが19日付の毎日新聞によれば「慰安婦発言は撤回しない」と、ついに当初の発言に回帰したということです。まことに変転ただならないことで、石原慎太郎共同代表が以前に「ツィッターなどはやめて、ちゃんとした論文で発表すればよい」とアドバイスしたことの正当性が思い起こされます(それはともかく維新の共同代表の間にはいま猛烈な隙間風が吹き出したようです)。

 まさか「オランダ人と韓国人は違う」などとは言わないと思いますが、橋下氏がどのような弁明をするのか注目されます。
 
(従軍慰安婦問題の研究家である吉見義明教授が、6月4日付で橋下氏宛に出された「公開質問状」の中に従軍慰安婦に関する詳細な歴史的事実が載っています。
 同公開質問状は下記をクリックすれば開きます。
 

        橋下大阪市長に対する公開質問状 吉見義明   )

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「慰安婦」問題 赤嶺氏に回答 政府資料に強制証拠
しんぶん赤旗 2013年6月19日
 安倍内閣は18日、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が提出した質問主意書に対する答弁書で、「慰安婦」問題に関して日本軍による強制連行を示す証拠が政府の発見した資料の中にあることを初めて認めました。

 赤嶺氏は、安倍内閣が「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」(2007年の答弁書)としていることについて、「『政府が発見した資料』とは何か」と質問。答弁書は「内閣官房内閣外政審議室(当時)が発表した『いわゆる従軍慰安婦問題の調査結果について』において、その記述概要が記載されている資料を指す」とのべ、日本軍による強制連行を示す資料である「バタビア臨時軍法会議の記録」があることを認めました。

 同記録は、日本軍がジャワ島セマランほかの抑留所に収容中のオランダ人女性らを「慰安所に連行し、宿泊させ、脅すなどして売春を強要するなどした」と明記。答弁書は「ご指摘のような記述がされている」と認めています。
 答弁書は「強制連行を示す証拠はなかった」という安倍内閣の認識は「同じである」としていますが、その根拠が根底から覆される内容となっています。

答弁書の誤り認めただちに撤回
 赤嶺政賢衆院議員の話  政府が発見した資料の中に、法務省のバタビア臨時軍法会議の記録があることを認めた以上、第1次安倍内閣が2007年に閣議決定した「強制連行 資料なし」との答弁書が誤りであったことは明白です。
 2007年の答弁書は、橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)など「慰安婦」強制否定派が最大限に利用していますが、安倍内閣は答弁書の誤りを認めて、ただちに撤回するべきです。

慰安婦発言:橋下氏、撤回しない意向を改めて示す
毎日新聞 2013年6月19日
 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は19日、従軍慰安婦を巡る自身の発言について「有権者の皆さんにしっかり説明していく」と記者団に語り、撤回しない意向を改めて示した。維新の石原慎太郎共同代表は「大迷惑」などと批判し、参院選の結果次第で進退問題に発展するとの見方を示している。

 これに関連し、松井一郎幹事長(大阪府知事)は同日、「維新に橋下徹という政治家は必要だ」と進退との関連を否定。党内からは橋下、石原両氏の対立を懸念する声も出始め、党国会議員団は両院議員総会で橋下氏に説明を求めるなどの党内融和策を検討している。【林由紀子】

【石原氏が橋下氏批判】 従軍慰安婦発言「大迷惑」「弁護士の限界だ」
共同通信 2013年6月19日
 日本維新の会の石原慎太郎共同代表は18日、共同通信のインタビューで、共同代表の橋下徹大阪市長による従軍慰安婦発言が党勢低迷を招いたことについて「大迷惑だ」と批判した。同時に、参院選の結果次第では橋下氏の進退判断もあり得るとの認識を示した。橋下氏を擁護してきた石原氏が厳しい姿勢に転じたことで、党の混乱が拡大する可能性もある。

 石原氏は、橋下氏の責任に関し「(参院選の)結果を見て、その素因をつくった橋下氏がどう理解するかの問題だ」と指摘。「私が、どうしろこうしろとは言えない」として、自身で判断すべきとの考えを示した。
 橋下氏には電話で「仲間に『申し訳なかった』とのメッセージを出したらどうだ」と求めたと説明。会話で橋下氏が「辞めろと言われれば、いつでも辞める」としたため、「そういう居直り方はしない方がいい」と忠告したことも明かした。

 慰安婦発言をめぐり、橋下氏は街頭演説などで「日本も悪かったが、世界各国も過去を見てほしいと訴えたかった」と釈明しているが、インタビューで石原氏は「言わなくてもいいことを言って、タブーに触れたわけだから、いまさら強弁してもしょうがない。弁護士の限界だ」と述べた。
 橋下氏によるオスプレイ一部訓練の八尾空港(大阪府八尾市)受け入れ提案についても「無理だ。防衛省は笑っている。行政を知らないから、ああいうとんちんかんなことになる」と強調。「大阪(の維新幹部)は国政に未経験、無感覚。一言でも相談してくれれば良かった。コミュニケーション不足は致命的だ」として、党の意思疎通の在り方を問題視した。
 先の大戦のとらえ方をめぐり、橋下氏とは「歴史観が基本的に違う。我慢しているが、非常に困る」とも語った。
 橋下氏の資質に関しては「素晴らしい情熱のある人で、それを見込んでいるが残念だ。うっかり失投して、満塁ホームランを打たれたような感じだ」と述べた。