国連総会は12日、ガザ地区に関する緊急特別会合を開き、「即時の人道的停戦」を求める決議を国連加盟国の約8割にあたる153カ国の賛成多数で採択しました(加盟国全数は193カ国)。
決議は、即時の人道的停戦のほか、全当事者に民間人保護など国際人道法を含む国際法の順守を求め、すべての人質の即時無条件解放、人道アクセスの確保を要求しました。
反対は米国やイスラエルなど10カ国にとどまり、英独など23カ国が棄権しました。日本は賛成し、諸外国から繰り返し批判を浴びることを免れました。
前回10月27日に採択された「人道的休戦」を求める決議の賛成は121カ国。今回の「即時の人道的停戦」を求める決議への賛成は153カ国で32カ国増えました。
日本はそのとき棄権し 歴史的に築かれてきた中東諸国からの信頼を一挙に失いました。岸田政権の愚かさの顕れです。
しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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国連総会、ガザ停戦決議 加盟国の8割 153カ国が賛成
しんぶん赤旗 2023年12月14日
【ワシントン=島田峰隆】国連総会は12日、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナ・ガザ地区に関する緊急特別会合を開き、「即時の人道的停戦」を求める決議を国連加盟国の約8割にあたる153カ国の賛成多数で採択しました。反対は米国やイスラエルなど10カ国にとどまり、英独など23カ国が棄権しました。日本は賛成しました。(関連記事 下掲)
8日の国連安全保障理事会では即時停戦を求める同様の決議案が常任理事国である米国の拒否権行使で否決されました。国連総会決議の採択は、世界の圧倒的多数の国々が米国の妨害を乗り越えて、ガザでの即時停戦を求める国際社会の意思を明確に示した形となりました。
決議案は中東・イスラム諸国を代表してエジプトが提出。即時の人道的停戦のほか、全当事者に民間人保護など国際人道法を含む国際法の順守を求めています。またすべての人質の即時無条件解放、人道アクセスの確保を要求しました。
採決に先立って決議案を説明したエジプトは「即時停戦を求める決議案を国連総会が採択し実行することが罪のない民間人を救える唯一の保証だ」と指摘。決議案が国際人道法に沿ってイスラエルとパレスチナ双方の民間人保護を求めていることなどを強調し、賛成を呼び掛けました。
パレスチナのマンスール国連代表は採択を受けて「国連総会から力強いメッセージが発信された歴史的な日だ。パレスチナ人への侵略が終わるまでこの道を進み続けるのが集団的な義務だ」と語りました。
米国はイスラム組織ハマスによるテロ攻撃を非難する文言を盛り込む修正案を提出。オーストリアは人質拘束に関して「ハマスと他のグループによる」と明示する修正案を提出しましたが、いずれも否決されました。
ガザ「人道的停戦」 賛成32カ国増 米同盟国も態度変更 国連総会決議
しんぶん赤旗 2023年12月14日
12日に開かれたガザ情勢に関する国連総会の緊急会合は、イスラエルとイスラム組織ハマスが10月7日に衝突して以降、2回目です。前回10月27日に採択した「人道的休戦」を求める決議の賛成は121カ国。今回の「即時の人道的停戦」を求める決議への賛成は153カ国で32カ国増えました。
前回決議に棄権し、今回賛成に転じた26カ国の中には、カナダやデンマーク、ギリシャなど米国主導の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)加盟国や、米国と各々軍事同盟を結ぶ日本や韓国、オーストラリアなどが入っています。
賛成32カ国増の内訳
反対から賛成(2)
クロアチア、フィジー
棄権から賛成(26)
日本、アルバニア、オーストラリア、カナダ、キプロス、デンマーク、エストニア、エチオピア、フィンランド、ギリシャ、アイスランド、インド、ラトビア、モナコ、北マケドニア、フィリピン、ポーランド、韓国、モルドバ、サンマリノ、セルビア、スウェーデン、チュニジア、ツバル、バヌアツ、ザンビア
無投票から賛成(7)
カンボジア、ジャマイカ、サモア、ルワンダ、ベナン、ブルンジ、セーシェル
賛成から棄権(3)
アルゼンチン、赤道ギニア、マラウイ
「停戦」と「休戦」
総会決議が求めている「停戦」(ceasefire)は、紛争当事者が交渉にもとづいて戦闘を停止することをいい、通常、恒久的な政治的解決につなげることが目的です。
これに対し、10月27日採択の国連総会決議が求めた「休戦」(truce)には、あくまで一時的な休戦という意味合いがあります。
どちらも当事者双方の合意が前提であり、実際の期間や内容は両者の意思にかかっています。