「しんぶん赤旗」カイロ支局の秋山豊特派員は1日に開かれた本社編集局の記者集会にビデオメッセージを送り、ガザ情勢を巡る取材活動について報告しました。
しんぶん赤旗にその抜粋が載りました。
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パレスチナ問題と日本共産党の立場 ガザ取材で見えたこと
しんぶん赤旗 2023年12月6日
「しんぶん赤旗」 カイロ特派員 秋山豊
「しんぶん赤旗」カイロ支局の秋山豊特派員は1日に開かれた編集局の記者集会にビデオメッセージを送り、ガザ情勢を巡る取材活動について報告しました。パレスチナ問題での日本共産党の立場が現地でどのように受け止められ、取材活動にどう生かされているのかなど語りました。抜粋して紹介します。
アラブの人びとの間では同盟国を擁護するときだけ国際法を口にする欧米の欺瞞(ぎまん)に対する怒り、米国に追従し停戦に背を向ける日本政府への失望が広がっています。ガザの人びとの尊厳をどう考えているのでしょうか。人が人をむごたらしく殺すことが毎日行われています。なぜ今すぐとめられないのでしょうか。人間への絶望に陥らないよう自分を必死にコントロールしています。「赤旗」の先輩がたに言われてきた「人びとの苦難あるところに日本共産党あり、『赤旗』あり」という言葉を自分に言い聞かせています。
信頼寄せ取材に
日本共産党が国際法の観点からハマスの民間人殺害、イスラエルによるジェノサイドの危険を批判して即時停戦を求める立場、根本的な解決策としてイスラエルが占領地から撤退し、パレスチナの独立国家の樹立を認め、双方の平和的共存を求める立場は、カイロ支局の報道方針となっています。志位委員長の一連の談話を英訳し、スタッフに読んでもらい、議論しながら取材を進めてきました。
支局スタッフのファタさんは「党の提案を読めば、ガザで起きている危機の根源に何があるのか見抜くことができる。この21世紀、国際法を踏みにじって占領を続けている国があるという事実だ」と言います。
ファタさんは「ガザの人びとに取材するとき党の立場を必ず説明する」と言います。「ガザの人びとは党の立場を信頼して取材に応じてくれる。米CNNや英BBCの取材を拒否する人が多いと聞く。危機の根源にある問題を軽視し、イスラエルに偏っているとみられているからだ」
ファタさんはガザの人びとに、「赤旗」に載った党の人道支援募金活動の写真を送っていると話し、「この写真を見たガザの人びとは謝意を示す。お金の問題ではない。遠く離れた日本の人びとが、ガザで何が起きているか、誰が被害者なのか理解し、連帯してくれることがうれしいのだ」と言います。
国際世論変える
いま日本を含め、世界各地でイスラエルへの抗議デモが起きています。人びとは「パレスチナに自由を」「パレスチナの解放を」と叫んでいます。党の提案と同じくイスラエルに占領をやめさせ、パレスチナの独立を訴える声です。
カイロ支局ではハマスに母親が誘拐されたイスラエル人のマヤさんにも取材しました。マヤさんはハマスへの強い怒りを語りながらも「民間人とハマスは違う。ガザでの民間人殺害には全面的に反対する。即時停戦を求め、将来はパレスチナとの共存を望む」と語りました。民衆による圧力は、各国政府の姿勢を変える力になるはずです。
危機の背景には、イスラエルがヨルダン川西岸とガザを占領下におき、入植を拡大してきたことなどがあります。ガザでの危機が始まって以降、西岸でもイスラエル兵や入植者の暴力によるパレスチナ人の死者数が増加しています。イスラエルの無法行為が激化しています。
戦闘終結後、どの勢力がガザを統治するのかという問題もあります。イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエル軍による統治を示唆する発言をしています。しかし、支局スタッフのイスラムさんは「パレスチナの占領終結と独立国家樹立という問題をどう解決するのか真剣な議論を求める声が沸き起こる可能性がある。イスラエルに対する国際的な圧力は非常に強くなっている」と考えています。党が米国やパレスチナ、イスラエルなど各国大使級の要人や日本の上川外相と会談し、即時停戦を申し入れていることも、イスラエルへの圧力になっているはずです。
日本からカイロにうれしいニュースも届きます。先日の中央委員会総会で、ガザでの危機を巡る党の姿勢に信頼を寄せ、入党をした人がいると報告されたことをスタッフと共に喜んでいます。イスラムさんは「党が、イスラエルによるガザの民間人殺戮(さつりく)に、明確に反対し、公正な立場を示していることが加入につながっている。私たちカイロ支局の報道がこれに貢献しているとしたら誇らしい。日本の読者に中東の現実を伝え、それに対する公正な立場を示す報道を続ける原動力になる」と話しています。
ガザではいつ停戦が実現するかまだ分かりません。パレスチナ問題の解決となると、どれほど時間がかかるか分かりません。だけど、イスラエルによる国際法違反の無差別攻撃に苦しむ人びと、占領に苦しむ人びとの声を伝えることが『赤旗』の役割だと思っています。そしてカイロからの記事が、党大会に向けて強く大きな党づくりにすこしでも役にたてばうれしい。