2023年12月23日土曜日

24年度予算案を閣議決定 軍事費8兆円に 大企業には減税 国民生活を犠牲に

 岸田政権は22日、24年度政府予算案と「税制改正大綱」案を閣議決定しました。
 その内容は、大企業優遇と軍拡が際立つ一方、社会保障など国民生活を支える予算は抑制しています。
 国債費(国債の利払いと償還費)は過去最大27円を計上しました。想定金利が現状の1・1%から1・9%に引き上がるためで、いよいよ利払いの負担がのし掛かってきます。
 何よりも無視できないのは軍事費の突出で、予算額は約8兆円ですが昨年末に決定され23年度補正予算での追加分0・8兆円を合わせれば実質8・7兆円に達します。
 軍事費2倍化を米国に約束した岸田首相は、それ以後盛んに「台湾有事」を口にしましたが、そんなことは当の中国も台湾も考えていないだけでなく、いまでは米国も口にしなくなりました。要するに愚かなリーダーが米国にいいように誑かされたわけです。
 ダメージを受けるのが民生費で、軍事費はこの先も傾斜的に膨らんで行って5年後には2倍(11兆円以上)になるのですが、その分民生費は、この先も1年毎にどんどん削減されることになります。
 自民党内でも岸田政権下では選挙は出来ないとされていますが、いたずらに現政権を長引かせることは百害あって一利もありません。一刻も早く退場すべきです。
 しんぶん赤旗の二つの記事を紹介します。
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軍事費8兆円に迫る 24年度予算案を閣議決定 大企業減税 国民生活犠牲に
                       しんぶん赤旗 2023年12月23日


 岸田文雄政権は22日、2024年度政府予算案と「税制改正大綱」案を閣議決定しました。「政治とカネ」が政府・与党を揺るがすもとでの予算編成です。大企業優遇と軍拡が際立つ一方、社会保障など国民生活を支える予算は抑制します。日本共産党の小池晃書記局長は同日、政治資金パーティーをめぐる問題にふれ「自らはこのような金権腐敗行為を続けながら、税負担や大軍拡で国民を苦しめる予算を押しつけるなど断じて許されない」とする談話を発表しました。(下掲

 国の基本的な予算規模を示す一般会計総額は112兆717億円と過去最大だった23年度当初予算を下回り、12年ぶりの減額。ただ、当初予算が110兆円を超えるのは2年連続です。国債費は過去最大を更新し、27兆90億円を計上しました。想定金利をこれまでの1・1%から1・9%に引き上げるためです。
 大企業優遇が目立ちます。税制改定案では戦略分野国内生産促進税制を創設。半導体など政府が戦略物資と認定した分野での生産や販売に応じて10年間減税します。また知的財産からの所得を7年間、減税するイノベーションボックス税制も盛り込みました。特定産業・大企業に長期にわたって減税することになります。

 安保3文書が閣議決定されて2年目となるもと、軍事費はデジタル庁所管分を含め7兆9496億円と過去最大を更新しました。第2次安倍晋三政権発足後の12年度から12年連続で前年度を上回り、10年連続で過去最大を更新しました。税制改定案では次期戦闘機開発に必要な物品の輸入は消費税を免除することも盛り込まれました。
 大企業優遇と軍拡のために生活関連予算は軒並み削減されます。社会保障費として37兆7193億円を計上。自然増を3700億円としました。概算要求時から1400億円もの圧縮です。
 政府の裁量で支出できる予備費は通常の5000億円に加え、物価高対応と賃上げ促進に目的を絞ったものとして1兆円を盛り込みました。23年度に比べ4兆円の圧縮です。
 沖縄振興予算は23年度比1億円減の2678億円を計上。沖縄県側が求める3000億円台を3年連続で下回りました。玉城デニー知事を先頭に辺野古新基地建設に反対する沖縄県への露骨な圧力です。
 一般会計税収は69兆6080億円を見込みます。23年度補正予算時の税収見込み、69兆6110億円からほぼ横ばいです。


24年度政府予算案について 日本共産党書記局長 小池晃
                      しんぶん赤旗 2023年12月23日
 日本共産党の小池晃書記局長は22日、2024年度政府予算案について、次の談話を発表しました。

 一、本日、岸田文雄内閣が閣議決定した2024年度予算案は、自民党の政治資金パーティーをめぐる問題で、予算編成の大詰めの時期に4人もの大臣が更迭され、安倍派、二階派の事務所が強制捜査されるという、前代未聞の事態のもとで編成された。巨額の資金を「隠れ企業献金」として集めたうえ、政治資金収支報告書にも記載せずに「裏金」にし、「脱税」疑惑まで浮上している。自らはこのような金権腐敗行為を続けながら、税負担や大軍拡で国民を苦しめる予算を押しつけるなど断じて許されない。

 一、決定された予算案自体も、自民党の政治姿勢を反映し、国民の暮らしの苦難には目をそむけ、大企業や富裕層には大盤振る舞いするという、逆立ちした内容となっている。
 国民多数が望む消費税減税には背を向け、1回限りの「定額減税」でお茶を濁し、小規模業者やフリーランスからインボイスで過酷な税を取り立てる一方で、10年間もの長期の投資減税、大企業役員等へのストックオプション減税など、大企業や富裕層には減税をばらまいている。「次世代革新炉」の開発・建設予算を計上するなど原発推進もあらわにしている。中止を決断すべき大阪万博関連経費も追加計上された。
 診療報酬の引き下げなど医療関係支出の削減で、社会保障費の「自然増」は1400億円も削減された。年金は今回も物価上昇に及ばない改定率となった。介護保険の予算も現場の人手不足解消には程遠いものとなったうえ、岸田政権は、今後2~3年の間に、利用者負担2割化や介護サービスの保険給付を要介護3以上の重度者に限定するなどの大改悪を狙っている
 政府が打ち出した「異次元の少子化対策」は、その財源にインボイスによる消費税収増を投入する。そのうえ「子ども・子育て特例国債」を2219億円発行するが、その返済財源のメドは立っておらず、社会保障のいっそうの削減につながる危険が大きい。

 一、軍事費は約8兆円となり、岸田政権が敵基地攻撃能力保有の大軍拡に踏み出したわずか2年間で1・5倍、実に2・5兆円も増加した。昨年末に決定された23年度補正予算での追加分0・8兆円をあわせれば8・7兆円に達することになる。まさに、「5年間で43兆円」の大軍拡計画に沿って、危険な暴走を続ける予算となっている。
 軍事費の中身も極めて重大である。極超音速誘導弾をはじめとするさまざまな長射程ミサイルの開発や量産、イージス・システム搭載艦の新造、自衛隊を米軍指揮下に組み込むための「統合作戦司令部」新設、さらには相手国からの反撃に備える自衛隊基地「強靱(きょうじん)化」など、「敵基地攻撃」態勢の構築に向けた項目が目白押しとなった。沖縄の民意と地方自治を押しつぶす米軍辺野古新基地建設をさらに進めようとしていることは言語道断である。
 大軍拡のあおりを受けて、中小企業対策費や食料安定供給関係費が来年度も減額となるなど、暮らしの予算が圧迫されている。さらに、数年後には復興特別所得税の軍事費への流用をはじめとした軍拡大増税が予定されている。平和も暮らしも破壊する「亡国の予算」にほかならない。

 一、このような予算案は、暮らしと経済の困難の打開、日本と世界の平和を願う国民の要求とはまったく相いれない。日本共産党は、24年度予算案に断固反対し、抜本的な組み替えを求める。そして、「底知れない」金権腐敗、国民の暮らしの苦しみそっちのけの「経済無策」、異常な「アメリカいいなり」という自民党政治を終わらせて、国民が希望をもてる日本にするために全力をあげる。