2023年12月2日土曜日

デモに出よう、国際世論の力になろう、大事なのは数ではない - ガザに水と食料と燃料を

 世に倦む日々氏が「デモに出よう。世界の人々と繋がろう。デモの奔流が世界政治の焦点となるのは、2011年の Occupy Wall Street(⇒ウォール街を占拠しよう)の運動以来である。あの年の12月、TIME誌は「プロテスター」をその年を代表する顔に選んだ。そのとき以来の衝撃が起きている」「数は問題ではない。頭数を示威する絵作りが目的ではない。小さな町なら数人のデモでも十分だ。それをSNSに投稿し、英語のハッシュタグを付ければ、小さなデモが大きな政治の原動力に化ける。実際、日本のデモが世界のXタイムラインに拾われている」「日本人が極端にデモが嫌いで苦手な民族であることを、世界の人々はよく知っている。だからこそ、ガザ虐殺に抗議する日本のデモは世界の中で注目される」と呼びかけました。

 そして「あの日本人でも今回はデモをしていると人々の関心を惹く。政治的に希少価値があるのである。自己主張が徹底して苦手な日本人でも、今度ばかりは声を上げているようだと、そう刮目されて話題になることが大事なのだ。だから、集まる人数の多寡は問題ではない。規模は小さくて構わない。自己満足でもいい。一人一人が勇気を見せること、勇気を伝え感動を繫げること、そこに価値がある。実存証明のデモに出て、モメンタムの卵を作ろう」と結んでいます
 原記事には各国でのデモの写真が沢山掲載されています。
 デモに出よう、国際世論の力になろう、大事なのは数ではない - ガザに水と食料と燃料を
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デモに出よう、国際世論の力になろう、大事なのは数ではない - ガザに水と食料と燃料を
                   世に倦む日日 2023年11月30日
11/28 のロイターの記事は、ガザの死者数は1万5000人を超え、がれきの下敷きになったままの行方不明者が大勢いると報じている。40%が子ども。イスラエルの爆撃と侵攻により、ガザ保健省の行政機能が不全となり、死者数の正確な確認が難しくなっている。そのため、以前のように1桁までのボディカウントが報道に供されない。大雑把に見積もって、すでに死者数は2万人を超えているだろう。ガザの人口全体の1%が殺されて死んだ。今は負傷や感染症などを原因とする死者数の急増が懸念されている。沖縄戦では県民の4人に1人、人口の25%が命を落とした。ガザは沖縄戦と同じ地獄の状況になっている医療機関は片っ端から破壊され、医師も国連職員も殺され、治療薬も払底している。食料がなく、燃料がなく、水がない。78年前の沖縄の戦渦を想像させられる

この6日間、一時休戦の時間が続き、人質解放のニュース映像がテレビで流れた。女性の人質に付き添って赤十字の車に送り届けたのは、マスクで顔を隠した若い女性のハマス戦闘員だ。目が大きい。車両に乗り込んだ人質に手を振り、人質も笑顔で手を振って返していた。印象的な場面だった。できれば、このハマス戦闘員が無事生き延び、平和になったパレスチナで顔を出して回顧と証言をする機会を得て欲しい。人質だったイスラエル人女性と再会できればいいと思う。イスラエル軍の虐殺を止め、和平を実現させ、2国家共存のプロセスを具体化させたい。もう一つ、西岸地区で釈放されたパレスチナ人の若者の表情と言葉も強く印象に残った。解放を歓び、ハマスの闘争へのコミットを言う目が輝いていた。ガザの女性戦闘員、西岸の若者。力強い人間の感情と意思。民族の自由と独立。

ガラントが「戦闘は2か月は続くだろう」と言っている。11/27 夜のテレビ報道を見ていたら、佐藤正久がガラントの作戦計画を解説していて、ガザ北部に1か月、ガザ南部に1か月の期間を要すると言う。意外に感じたのは「北部に1か月」の予定工数で、北部の完全制圧まで時間がかかる事実だ。イスラエル軍は 11/8 の時点で「ハマスは北部の支配権を喪失した」と発表していて、北部住民は続々と南部に強制退避させられているはずだった。地下トンネルも悉く破壊され、北部にハマスの拠点は残ってないと報道されていた。ハマス戦闘部隊は、どうやって北部に生き残って、1か月も36万人のイスラエル地上軍相手に戦うのだろう。私は軍事の知識がないので合理的な理解ができないが、想起するのは、10/22 にオースティンがイスラエル軍に地上作戦の延期を勧告したときの発言内容だ。

その報道では、ISIS を掃討したモスル奪還作戦を引き合いに出し、9か月以上かかると言っている。米軍の場合は、イスラエル軍のように子どもを含めた民間人を無差別に大量虐殺する空爆はやらず、そこは多少躊躇するため、モスル攻撃に9か月を要したのだろう。ガラントとネタニヤフは、オースティンの忠告を鼻でせせら笑い、米軍のようなお行儀のよい紳士的な作戦はしないよと一蹴したのに違いなく、ガザにいるのは人間ではなく獣であり、子ども含めて全員テロリストだから、容赦なく皆殺しにして更地にすると(言質なしで)応じたのだろう。だが、市街戦の厳しさについての認識と見通しはオースティンの方が勝っていたと言えるようで、北部になお1か月を要するという計算は、われわれ素人をして想定外の軍事に映る。最先端兵器のイスラエル軍は36万人。北部残存のハマス戦闘員はせいぜい1万人。

一方、イスラエル軍のガザでの作戦は決して順調に進行しておらず、苦戦しているという見方もあり、スコット・リッターなどはそう分析している。真相は不明だが、北部制圧にあと1か月という予測に接すると、ハマスの地下トンネルはまだ健在かもしれないという推測も立つ。佐藤正久の話では、休止3日目(11/26)の17人の人質解放はガザの南部と北部で行われていて、敢えて北部を解放場所に設定したのは、ハマス戦闘員が北部で未だ活動中というアピールが目的だという。11/28、イスラエル軍が一時休戦中にもかかわらずガザ北部を爆撃したのは、おそらくこれに関係していて、人質解放に現れたハマス戦闘員の位置と経路から潜伏場所を割り出したのだろう。北部のハマス戦闘部隊は無力化されていない。ハマスがガザ北部の支配権を失ったというイスラエル軍の発表も、勇み足のプロパガンダかもしれない。

とするなら、イスラエル軍の出口戦略は、当初の構想から大幅な修正を余儀なくされる可能性がある。まず、北部での1か月の市街戦で相当数のイスラエル兵が死傷する。戦時内閣を構成する前国防相のガンツが、ネタニヤフを批判し、人質解放の優先を説くハト派路線を主唱しているのは、今後の北部と南部の作戦工程の困難を察知しているからではないか。またホワイトハウスは、どこかの時点でネタニヤフからガンツへ政権移行させることを検討・画策しているように見える。そのタイミングで、本格停戦と和平協議のシナリオとなるのかもしれない。だが、そこまで到達するのにあと何千人の子どもが虐殺され、四肢切断の刑を受け、何万人の無辜の民が殺戮されなければならないのだろう。ガザの人口の何%が露と消えるのだろう。もうすぐクリスマスが来る。アメリカは、年内に事態を収束させる気があるのだろうか。

11月に入って、ガザをめぐるマスコミ報道の論調は変わった。国際世論が明らかに変わり、ガザ虐殺を正面から非難する声が主流となった。NHKも少しずつ態度が変化し、イスラエルによる西岸地区の行政拘禁を批判し、拷問の事実を伝える報道を載せ始めている。50日間で1万5千人が殺され、つまり1日平均300人が標的になって無残に殺されながら、その命の束と重さが国際世論を変えて行った。手に自分の名前を書いた夜、虫けらのように殺戮されて果てた子どもたちの純粋な命が、土日の世界の怒涛のデモを惹起させ、デモを映すニュースを制作させ、世界の民意を作り、政治の空気と方向性を転換させた。今、ハマスをテロリストだと中傷して貶め、イスラエルを正当化する声は少ない。人々の意識は変わり、ハマスを対話相手として認めるべきという主張が基調になっている。ハマスへの評価が変わった

思うのは、岡真理の最初(10/20)の発信の意義である。誰もがハマスの奇襲攻撃を糾弾し、イスラエルに忖度し、アメリカに追従する俗論ばかりが充満していた空間で、岡真理は堂々とハマスの一撃を擁護した。境界壁を初めて越え、自らの故郷たるイスラエル領内に踏み込み、数時間後にはイスラエル軍に反撃されて屍となる運命を果敢に選んだ者たち。長い忍従と雌伏から遂に蹶起したハマス戦闘員の勇気を、岡真理は臆することなく称賛した。誰もが思っていても言えないことを口に出して驚かせた。時期と環境を考えれば、勇気の要る言論の投擲だったと思う。だが、これこそが重要なのだ。こうやって真実を言い、真理を説くことで、それが人に伝わり、人の心を揺さぶり動かして行く。1日300人ずつ殺された無辜の民の無念が、言葉の結晶となり、デモの政治を生むのである。岡真理を褒め讃えるべきだろう。

デモに出よう。世界の人々と繋がろう。デモの奔流が世界政治の焦点となるのは、2011年の Occupy Wall Street の運動以来である。あの年の12月、TIME誌は「プロテスター」をその年を代表する顔に選んだ。そのとき以来の衝撃が起きている。デモに出て街頭を埋める市民・民衆が、政治を動かす主役になっている。数は問題ではない。頭数を示威する絵作りが目的ではない。小さな町なら数人のデモでも十分だ。それをSNSに投稿し、英語のハッシュタグを付ければ、小さなデモが大きな政治の原動力に化ける。実際、日本のデモが世界のXタイムラインに拾われている。大石あきこの国会質問も、外国語訳が付された動画のポストが世界で拡散された。日本人が極端にデモが嫌いで苦手な民族であることを、世界の人々はよく知っている。だからこそ、ガザ虐殺に抗議する日本のデモは世界の中で注目される。

あの日本人でも今回はデモをしていると人々の関心を惹く。政治的に希少価値があるのである。自己主張が徹底して苦手な日本人でも、今度ばかりは声を上げているようだと、そう刮目されて話題になることが大事なのだ。だから、集まる人数の多寡は問題ではない。規模は小さくて構わない。自己満足でもいい。一人一人が勇気を見せること、勇気を伝え感動を繫げること、そこに価値がある。実存証明のデモに出て、モメンタムの卵を作ろう。