2023年12月20日水曜日

民主主義機能不全の理由(植草一秀氏)

 ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」に掲題の記事が載りました。
 植草氏がTVに頻繁に登場したのは小泉内閣が発足し、新自由主義者の竹中平蔵が重要な閣僚として登場した時期で竹中氏との論争では常に圧倒し、小泉竹中政権の売国政策等を厳しく糾弾しました。それは政権/体制側には都合の悪いことだったので、時の政権による人物破壊工作の標的となり冤罪で実刑判決を受けました。
 膨大な根強いファンを持っている植草氏が、ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」の執筆を開始したの2008年4月で、メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」を創刊したの2011年9月です。ブログでの発信を始めて15年半、メルマガ発行を開始して12メルマガの発行号数は3650える)の時間が経過しました。その節目に、フーミー社インタビュー記事 https://letter.foomii.com/kazuhide-uekusa/ を掲載しました。
 インタビュー記事6千語超)の前書きは
「『知られざる真実―勾留地にて―』や『日本経済の黒い霧』などの多数の著書を執筆する政治経済学者の植草一秀さん。
 2011年9月から配信を開始した「メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」」では、大手メディアの伝えない日本の政治経済分野の最新ニュースを独自の視点で解説、情報発信されています。そんな植草一秀さんに、メルマガを配信する上で大切にしていることなどをお聞きしました」
となっています。
 また同記事で植草一秀氏のプロフィールとして、
「大蔵省研究官、京都大学助教授、スタンフォード大学フェロー、野村総研チーフエコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役。旧長銀の不正入札、小泉竹中政権の売国政策等を厳しく糾弾して、人物破壊工作の標的となり、冤罪で実刑判決を受ける。その後も言論活動を継続し、内外の政治経済社会問題に関する真相・深層を抉り出す論評を発表し続けている」
と記載しています。

 民主主義機能不全の理由」では、いつもながら簡潔明快に機能不全の理由が明示されています。
 民主主義が正常に機能していない理由キーワードは「情報」で、「メディア」と言い換えてもよいだろうとして、巨大資本による「情報支配」=「メディア支配」こそ、民主主義の制度下で資本主義の根本原理が押し通されるキーファクターであり、「メディアコントロール」「情報統制の罠を打ち破ることが必要であり、その想いから情報発信を始めたと述べています
 併せて植草氏のブログ記事「警察はふざけてんじゃないのか」を紹介します。
 こちらは、木原誠二自民党幹事長代理の妻の元夫が、2006年に文京区の自宅で死亡した事案で、警視庁が事件性は認められないとする捜査結果を東京地検に書類送付したと報じられ件に関するものです。
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民主主義機能不全の理由
               植草一秀の「知られざる真実」 2023年12月18日
ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」の執筆を開始したのが2008年4月。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」を創刊したのが2011年9月。
ブログでの発信を始めて15年半、メルマガ発行を開始して12年の時間が経過した。
メルマガの発行号数は3650号を超えた。
節目に際して、フーミー社インタビュー記事が掲載されたので、ご高覧賜れればありがたく思う。https://letter.foomii.com/kazuhide-uekusa/ 

どのような思いでブログ執筆を開始したのか、メルマガ創刊を決意したのかについて述べている。
日本の社会、日本の政治を刷新しなければならないと感じる。
「戦争と弱肉強食」に突き進む日本。この日本を「平和と共生」の社会に変える。
その想いを基礎に置いてきた。

主主義は国民多数が意思決定者であり、国民多数の意思に沿う政治を実現させるものと捉えられる。ところが、現実にはこれが実現していない。
資本主義の根本原理は市場原理の不可侵性と私有財産制の神格化にあると考えることができる。資本主義の運動によって生じるのは弱肉強食の社会だ。
市場原理にすべてを委ねれば圧倒的少数の支配者と圧倒的多数の被支配者に二極分化される。

「私有財産制の神格化」とは所得再分配を否定すること。
富める者の負担で社会を構成するすべての者の生活を保障する。
これが「所得再分配」のメカニズムだが、私有財産制を神格化すれば、富める者に対する負担の強制が排除される
資本主義の運動法則によってメリットを得るのは圧倒的少数の勝者である。
だから、資本主義と民主主義は根本の部分において対立する。

「資本主義対民主主義」のテーマでの考察を続けてきた。
ところが、私たちの目の前に広がっている現実は経済社会の資本主義化である。
資本主義化とは、言い方を変えれば際限のない格差拡大。
一握りの圧倒的支配者と大多数の奴隷への二極分化である。
民主主義が機能するなら資本主義の運動に歯止めがかけられる。
民主主義では多数の意思が現実の決定に反映されるはずだからだ。

ところが、現実には、民主主義の制度が採用されているにもかかわらず、多数の意思ではなく、少数の意思に沿う政治が行われ、社会の弱肉強食化が進行している。
民主主義が正常に機能していない。その理由を考察することが重要になる。
キーワードは「情報」。「メディア」と言い換えてもよいだろう。
多数の市民がものごとを判断する際に必要不可欠なもの。それが「情報」である。
政治と社会と支配する圧倒的少数者=すなわち巨大資本は「情報」を支配しようとする。
「情報支配」=「メディア支配」こそ、民主主義の制度下で資本主義の根本原理が押し通されるキーファクターなのだ。

メディアコントロール、情報統制の罠を打ち破ることが必要だ。
その想いから情報発信を始めた。
一人の情報発信は大河の一滴でしかない。
しかしながら、情報空間に一筋の風穴を開けることは重要だ。
インターネットの情報空間を支配しているのは巨大資本である。
これに立ち向かい、圧倒することは至難の業だ。
しかし、情報統制、メディアコントロ-ルを打破しない限り、現状の打破は難しい。
重要なことは真実の情報を発掘して、これを口コミで拡散することだ。
微力であるが一歩ずつでも前進しなければならない。
この機会にメルマガのご高覧を心からお願い申し上げたい。

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続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第3657号
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警察はふざけてんじゃないのか
               植草一秀の「知られざる真実」 2023年12月17日
木原誠二自民党幹事長代理の妻の元夫が、2006年4月に東京都文京区の自宅で死亡した事案で、警視庁が事件性は認められないとする捜査結果を東京地検に書類送付したと報じられた。
このことについて元夫の遺族は12月16日、「また期待を裏切られた」と心境を明かした。

2006年4月9日午後10時頃に変死した安田種雄さんは木原誠二氏妻の元夫。
安田種雄さんの遺族は本年10月に容疑者は不詳として、殺人容疑で警視庁に告訴状を提出し、受理された。
安田種雄さんの次姉は日刊スポーツの取材に
「警察からは『事件性はないと送付した』とは聞いていないが、報道を見て知った」
かなり驚いている。何で受理をしたのか。ふざけてんじゃないのか。期待して待っていたのにまた裏切られた
と述べたと報じられている。
安田種雄さんは2006年4月9日午後10時頃に死亡したと見られている。
警視庁大塚警察署は自殺として処理したが強い疑惑が存在する。

この事件に関する独自調査を始動させたのが弁護士の西脇亨輔氏。
本年10月までテレビ朝日法務部長を務めていた。
西脇氏の取材によると、亡くなった安田種雄さんの死体検案書が作成されたのは4月11日。
死体検案書とは死者の死因を医師が遺体を検案(調査)して判断して記述するもの。
その日付は4月11日。
ところが、警視庁大塚警察署は医師による死体の検案が完了する前日の10日夕刻に種雄さんの実父に「事件性がない」と伝えている。
4月11日付の死体検案書には 「不詳の死」と記述されていることを西脇氏が明らかにした。

西脇氏は、
「医師は〈自殺〉を選ばず、あえて〈不詳の死〉に丸を付けた。
これは医師が自殺とは判断できなかったことを意味している。
それなのに大塚署は「事件性なし」と早々に宣言した。」
と指摘している。
大塚警察署は安田さん死亡を自殺として処理したが、過去の事件ファイルを検証して不審に感じた大塚警察署女性刑事の指摘に基づき、2018年に事件が再捜査された。

ところが、突如、捜査は中止された。
木原誠二氏が自民党情報調査局長に就任したタイミングだ。
この再捜査を担当したのが警視庁元警部補の佐藤誠氏。
佐藤誠氏は本年7月に記者会見を開き、重要な証言をした。
佐藤氏は安田さん死亡が自殺であることを裏付ける証拠は存在しないこと、安田さん死亡には事件性があることを明言した。
その論拠も明示した。

これを自殺として処理することの不当性を訴えた。
週刊文春が事件を掘り下げて報道し、多くの事実が明らかにされている。
その事実から浮かび上がることは安田さん死亡が殺人であることだ。
現在、殺人に時効はない。
捜査当局は殺人の疑いが濃厚である事案を「自殺」として処理しようとしている。
告発状が提出され、警察は告発状を受理した。
当然のことながら、十分な再々捜査が行われなければならない。
ところが、12月に警察が「事件性なし」の捜査報告を東京地検に書類送付したということは、実質的に再々捜査を何も行っていないことを意味する。

警察にはどうしてもこの事案を自殺として処理したい理由があるということになる。
殺人事件にしてはまずい、重大な理由があるということだろう。
すでに明らかにされている事実関係から、問題を追跡、検証している人々には結論が見えている。
その結論を明らかにすることが警察にとって、よほど都合が悪いということなのだと思われる。

この事件の真相解明は日本の分岐点になる。
殺人事件の真相を絶対に明らかにしなければならない。
                 (後略)