「マスコミに載らない海外記事」に掲題の記事が載りました。
ケイトリン・ジョンストンが、CNNのクラリッサ・ウォードとその一団が欧米ジャーナリストとして初めてイスラエル軍から独立してガザに入り、報道したことを取り上げました。
そして「CNNがイスラエル空爆で傷ついた犠牲者の苦しみと苦悩を映し出し、彼らに同情を込めてウォードはインタビューし、『イスラエルの熱狂的爆撃』によって『記録的な数の民間人犠牲者』がもたらされたと正しく指摘している」と評価しました。
その一方で、加害者がイスラエルであることには極力言及しようとしなかったと批判しながら「欧米マスコミのずさんなプロパガンダ歪曲を見ていると、命が深刻な危険にさらされているにもかかわらず大変な仕事をこなしているガザの本物のジャーナリスト全員に、どれほど世話になっているか思い知らされる。それでも、どんな小さなことでも役に立つし、起きていることについて、CNN番組が更に一人の西洋人の目を開かせてくれるなら私はそれを受け入れるつもりだ」と結んでいます。
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CNN、ガザに入る
マスコミに載らない海外記事 2023年12月18日
欧米マスコミのずさんなプロパガンダ歪曲を見ていると、命が深刻な危険にさらされているにもかかわらず、大変な仕事をこなしてきたガザの本物のジャーナリスト全員に、どれほど世話になっているか思い知らされる。
ケイトリン・ジョンストン 2023年12月15日
CNNのクラリッサ・ウォードとその一団は、10月7日以来、イスラエル軍から独立してガザに入った初の欧米ジャーナリストとして、アブダビから映像を報じるため出発する前に、アラブ首長国連邦がサッカースタジアムに最近建設したこの飛び地の南部にある150床の病院を短時間訪問した。
全体的に、ウォード訪問に関する番組は有益で、ガザでの虐殺が殆ど抽象的なものだった大多数の視聴者にとって大いに必要だった映像を提供した。CNNは、イスラエル空爆で傷ついた犠牲者の苦しみと苦悩を映し出し、彼らに同情を込めてウォードはインタビューし、「イスラエルの熱狂的爆撃」によって「記録的な数の民間人犠牲者」がもたらされたと正しく指摘している。過去2ヶ月間、ガザで起きていることを取材してきたパレスチナ人ジャーナリストの「英雄的な並外れた仕事」をウォードは強調し、この猛攻撃でこれら記者たちが未曾有の割合で殺害されていることを的確に指摘している。
だから、この番組が作られ、ウォードと彼女の一団がした仕事は客観的に良いことだ。だが、我々が見せられたものには、CNNであるがゆえに、アメリカ帝国の情報権益に利益をもたらすような物語の歪曲も多々あった。
彼女と仲間が訪問した病院は、非常に新しく、UAEから供与されたため、ガザの他地域の医療施設状況の「縮図ではない」事実をウォードは正しく強調し、ガザの他の病院は、ほとんど機能していないと指摘している。ウォードが言っていないのは、この問題が、10月7日以来、イスラエルが体系的にガザの病院を攻撃し、何十もの病院を機能不全に陥れている事実に大きく起因していることだ。
実際、イスラエル軍事作戦に引き起こされている死と苦しみに関するCNN番組で、イスラエル自体が果たす役割は驚くほど小さい。私の計算では「イスラエル」や「イスラエル人」という言葉は、14分間の番組全体で6回しか言及されておらず、死と破壊が、意図的な大規模暴力行為としてでなく天候のような受動的出来事として論じられる時間の方が長い。
例えば、CNNが病院に到着すると、近くでイスラエルの爆弾が爆発し、「少なくとも1日に20回は」これが起きると医師は言う。しかし「イスラエル」という言葉は、事後的に議論する時でさえ決して出ない。10分前に起きた爆撃による負傷者が運ばれてくる際、「イスラエルの攻撃」ではなく「攻撃」とウォードは言う。
ガザでのこのパレスチナ人-アメリカ人家族の負傷者に関するAP記事は、爆弾を投下しているのがイスラエルであることにはどこにも書いていない。「病院での爆発」「爆弾が彼女の一家に命中した」… 爆弾はただ空から落ちてきて、破片を飛散して、家を潰したのだ。 https://t.co/jOqKCtcBdj pic.twitter.com/C6WVujucRJ |
10月7日以来、ガザでは、攻撃者と攻撃の奇妙な乖離が常に見られ、報道機関は時に「爆破」と「爆撃」にだけに関する記事を載せるが、実際それを引き起こしている国には記事で全く触れないことがある。攻撃している国に触れないことは、「ロシア」や「プーチン」という言葉が常に決まり文句のように記事に書かれるウクライナの場合は決して見られないし、10月7日をめぐる議論でも目にしない。ハマス攻撃に関するニュース報道をいくら見ても、攻撃者が誰だったかに関する言及を聞かずに過ごすことは決してない。
CNN報道で、イスラエルへの言及は乏しいが、アメリカ合州国への言及は皆無だ。この容赦ない虐殺は、アメリカが支援しているからこそ起こり得ており、支援を撤回し、バイデン政権が、いつでもそれを終わせられる事実には、ウォードや他の誰一人言及しない。アメリカが支援しているガザ破壊を、あたかもワシントンが受動的に目撃しているだけの何か別の外国紛争であるかのようにアメリカ・マスコミが語るのを見るのは、なんともシュールだ。
加害者をあえて書かないのは、イラク、シリアやイエメンの非アメリカ同盟について語る際には、主流欧米マスコミで「イランが支援している」という表現が至る所で使われるのと対照的だ。イスラエルのガザ攻撃をアメリカが支援している事実は、イランが支援しているといういかなる主張より遥かに証拠があるのに「アメリカが支援する空爆」や「アメリカが支援する爆撃作戦」といった表現はガザに関する欧米報道では決して見られない。
Moving and truly horrifying。是非これをご覧願いたい。ウォードは良い仕事をしているが、彼女の統計は正しくない。殺されている人々の2/3は民間人だと彼女は言う。ちがう。2/3は女性と子どもだ。男全員戦士ではない! (例えば、足を失い車椅子の人など). |
CNN映像のもう一つの歪曲は、ウォードがガザの民間人犠牲者について語る場合だ。
「イスラエルの猛烈な爆撃によるガザ地区の死者数は、現在およそ1万8000人だ」とウォードは言う。「国連が言う通り、死傷者の3分の2が民間人だと推定すると、わずか2カ月余りで約1万1800人の民間人が殺害されたことになる」
これはもちろんガザで殺害されている全ての男性がハマス戦闘員だと誤って想定している。ウォードの番組は、明らかに非戦闘員の男性に彼女が囲まれている様子の映像でいっぱいで、もし彼らがガザで女性や子どもを殺しているなら、必然的に多くの民間人男性も殺していることになる。この作戦で殺害された女性と子どもの数を指摘するのは殺害の無差別性を示す点で有用だが、決してこの数字を民間人死者数総計と解釈してはならない。
欧米マスコミのずさんなプロパガンダ歪曲を見ていると、命が深刻な危険にさらされているにもかかわらず大変な仕事をこなしているガザの本物のジャーナリスト全員に、どれほど世話になっているか思い知らされる。それでも、どんな小さなことでも役に立つし、起きていることについて、CNN番組が更に一人の西洋人の目を開かせてくれるなら私はそれを受け入れるつもりだ。
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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/12/15/cnn-goes-to-gaza/