日刊ゲンダイが掲題の記事を出しました。
岸田内閣になってからこれまでに憲法9条に基づく「軍備に関する制約」の多くが、政府の一存によって解禁されました。今度は更に「殺傷能力を持つ武器」の輸出が、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定することで、またしても「国会での議論がないまま」解禁されました。
もはや「9条を持つ日本」のイメージは殆ど無くなりました。
岸田首相は何をするにも「火の玉になって」とか「異次元の」とかと「掛け声」だけは大袈裟ですが、その実体は何もなく何もしないことの連続です。
そのためいまや国民の不信は限界に達し政府の支持率は1割台も登場しました。
今回の運用指針の改定の柱は、外国企業の許可を得て製造する「ライセンス生産品」の輸出で、改定の当日に、地対空ミサイル「パトリオット」を米国に輸出することを「超特急」で決めました。国会が終わってからであったのは、本来は国会に掛けるべき事案であるという自覚だけはきっとあったのでしょう。
理由は米国のバイデン大統領に要求されたからで、岸田首相にとって「バイデンの声は神の声」憲法よりも上位にあるのですからどうしようもありません。
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殺傷武器の輸出解禁“密室スピード決定”の裏 2度にわたりバイデン要求
日刊ゲンダイ 2023/12/25
昨年の安全保障3文書改定に続き、岸田政権は今年も年末のドサクサに紛れて、安保政策の重大な転換を国会での議論なく、密室で決めてしまった。
政府は22日、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定し、殺傷能力のある武器の輸出を解禁した。改定の柱は外国企業の許可を得て製造する「ライセンス生産品」の輸出で、改定当日に、地対空ミサイル「パトリオット」を米国に輸出することもスピード決定した。
急いだのは、米国からの要請に応えるためだ。ロシアと戦うウクライナに米国はパトリオットなどの防空ミサイルを提供しているが、これが不足。そのうえ、米国ではウクライナ支援の追加予算が議会で承認されず、財源枯渇も近い。
そこで、日本製のパトリオットを輸入して不足分を補えば、米国製をウクライナに提供する余裕が生まれる、というわけだ。
「国を売るようなもの」と識者バッサリ
驚くのは、22日の日本政府の決定について、事前に米紙が“既定路線”のように報じていたことだ。
19日のワシントン・ポスト(電子版)は、〈ウクライナの防空体制が不足、米国は日本に目を向ける〉というタイトルの記事を配信。
米当局者が「(日本の)協議が進行中のため匿名を条件に語った」として、「武器輸出ルールの変更は、バイデン政権の重要な要求を満たすもの」「バイデン大統領は、8月のキャンプデービッドでの歴史的な日米韓首脳会談で、そして先月のサンフランシスコでの経済サミット(APEC)でも、再びこの問題を岸田首相に提起した」と明かしたという。
つまり、バイデンに2度にわたってせっつかれた岸田首相が、忠犬ぶりを発揮したということだ。
「防衛政策には日本の自主性が問われるのに、日本を守るためではなく、バイデンを助けるために力を尽くす。それこそ国を売るようなものです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田首相は「インド太平洋地域の平和と安定を実現する」と殺傷武器の輸出解禁の意義を強調したが、むしろ逆で、日本の武器が間接的に紛争地で使われる道を開くものであり、平和国家の変質を決定づけるものだ。
サリバン米大統領補佐官が22日、日本のパトリオット輸出について歓迎する声明を出していた。支持率1割首相のアタマにあるのは、米国に恩を売れば政権を下支えしてもらえるという魂胆だけなのか。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。