2016年11月12日土曜日

12- トランプ勝利 米国民はメディアの誘導に流されなかった

 トランプの勝利は、体制側であるヒラリー優勢を流すメディアのバンドワゴン(楽隊先導車)効果に米国民が惑わされなかった結果であるとする二つのブログを紹介します。
 
 植草一秀氏は、今回の大統領選で特筆されることは、米国の国民がマスコミの誘導に流されなかったことであり、「米国の既得権益勢力による米国支配」に対して反旗を翻したものであると述べています。
 そしてもしも日本で類似した情報操作が行われたなら、主権者の多数が、その情報操作に流されてしまっただろうとも述べています。
 
 著名なアメリカのコラムニストPaul Craig Roberts氏は、トランプに対する悪質なマスコミ・キャンペーンにもかかわらず、アメリカ国民が体制側の代理人ヒラリーを支持しなかったのは、マスコミと既存政党による支配体制もはやアメリカ国民の信頼を得ていないことを示しているとしました
 そしてアメリカのマスコミは大統領予備選挙と大統領選挙運動トランプに対して猛烈な攻撃を浴びせたものの、それは1パーセントのたまり場である北東と西海岸でしか効果がなく、それ以外の場所は無視されたとし、このことは選挙後も残る持続的な効果であると述べています。
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TPP本会議中継せずしょうがと紙飛行機放映NHK
植草一秀の「知られざる真実」 2016年11月10日
米国大統領選でのトランプ候補勝利に、メディアが動揺、狼狽を示した。クリントン候補を支持し、トランプ候補を非難しまくっていた識者は、トランプ選出の現実を目の当たりにして、弁解、変節、言い逃れに終始している。
今回の大統領選で特筆されることは、米国の国民がメディアの誘導に流されなかったことである。
メディアは徹底してトランプ潰しを実行した。いかなる手段を用いてでもトランプを落選させるという、卑劣で不正な行動を展開した。
この情勢のなかで、米国の主権者はトランプを新大統領に選出した。
日本で類似した情報操作が行われたなら、主権者の多数が、その情報操作に流されてしまっただろう。
2012年12月の総選挙以降、日本の国政選挙では、安倍政権を誕生させる、あるいは支援する報道が展開され続けた。この情報誘導によって、日本の主権者の行動が大きく歪められたのである。
トランプ候補は選挙戦のさなかに、メディアによる卑劣で不正な情報誘導に対する抗議の発言を示した。
このことによって、多くの主権者がメディアの偏り、メディアの歪みを再確認した可能性も高い。
 
私は、9月28日付ブログ記事「ヒラリーが大統領に就任できない可能性」
で、9月26日に実施された討論会について次のように記述した。
 
「トランプ氏の切込みに対して、クリントン氏は笑顔を絶やさずに切り返したこのことから、評点はクリントン氏優位に傾いたが、今回大統領選で浮上しているのは、既存の権力層が市民の素朴な疑問に真摯に答えないことに対する市民のいら立ちなのである。クリントン陣営にはこの点に対する認識が不足していると見られる。討論に勝って勝負に負ける結果がもたらされる可能性は低くないと思われる。」
 
「クリントン氏がトランプ氏の指摘に対して、上から目線批判に正面から向き合わないスタンスでの対応を維持する場合、上記の接戦州でのとりこぼしを重ねる可能性がある。トランプ氏選出の可能性は依然として低くないと見ておくべきだろう。」
 
米国大統領選でのトランプ候補の勝利は、米国民が「米国の既得権益勢力による米国支配」に対して反旗を翻したものである。
「米国の既得権益勢力」とは、いわゆる1%の勢力、強欲巨大資本、ハゲタカ勢力であり、金融資本・ワシントンのエスタブリッシュメント・マスメディアの連合体のことだ。
1%勢力が国家と国民を支配し、その結果として主権者である国民の暮らしが破壊されている。この現実に対する痛切な実感と、1%勢力と結託するマスメディアの情報誘導に対して、米国の主権者がレジスタンスの意思をしめしたものなのである。
 
トランプ氏がベストな大統領であるとは思わない。
しかし、現実政治における主権者の選択は、常に、ベターの選択であってベストな選択ではない。
トランプ候補にさまざまな問題があることを認識した上で、それでも、クリントン政権が誕生する場合の、
1%勢力による支配の継続よりは、これに対抗する姿勢を鮮明に示したトランプ政権が望ましいと米国の主権者が判断したのだと理解できる。
トランプ氏の主張は1%勢力による国家と国民の支配に反対するものであると同時に、1%勢力による世界市場制圧=グローバリズムに反対するものであった。
だからこそ、トランプ氏はTPPに対する断固反対の方針を明示したのである。
 
このトランプ氏が当選を果たした翌日に、日本の国会が、TPP承認案を衆院本会議で強行採決することは正気の沙汰でない。
しかも、この衆院本会議をNHKはテレビ中継せず、「うまいッ 抜群に辛くて香り高いしょうが!」「凄ワザ! 紙飛行機で飛距離対決」などの再放送を行った。
このようなNHK=日本腐敗協会はいらない!とほとんどの主権者が判断するだろう。
(以下は有料ブログのため非公開)
 
 
労働者階級が選挙に勝った
マスコミに載らない海外記事 2016年11月11日
Paul Craig Roberts 2016年11月 9日 
アメリカ国民がオリガーキーを打ち破ることができたアメリカ大統領選挙は歴史的なものだ。ドナルド・トランプに対する悪質なマスコミ・キャンペーンにもかかわらず、オリガーキー少数権力者の代理人、ヒラリー・クリントンは敗北した。これは、マスコミと、既存政党支配体制は、もはやアメリカ国民の信頼を得ていないことを示している。
 
トランプが、アメリカの雇用を回復し、ロシア、中国、シリアやイランと、友好的で礼儀をわきまえた関係を確立するという目標に仕える閣僚を選び、任命できるかどうかはまだわからない。
トランプの勝利に対し、オリガーキーが一体どう対応するのかまだわからない。ウオール街や連邦準備金制度理事会 トランプを守勢に立たせるために、経済危機を引き起こして、トランプに、連中の誰かを財務長官に任命するよう強制するために危機を利用することが可能だ。CIAとペンタゴンのならずもの職員連中は、ロシアとの友好的な関係を粉砕するような偽旗攻撃を引き起こしかねない。トランプが間違いをして、閣僚にネオコンを抱え込む可能性もある。
 
ランプには、少なくとも希望はある。トランプが、閣僚任命で、まずい判断をしたり、邪魔をされたりしない限り、アメリカ政府が仕組んだロシアとの対立の終焉、ポーランドとルーマニアのロシア国境にあるアメリカ・ミサイル撤去、ウクライナ国内紛争の終焉、アメリカ政府によるシリア政府打倒の取り組みの終焉が期待できる。ところが、こうしたものの実現は、アメリカ・オリガーキーの敗北を意味する。トランプはヒラリーを破ったとは言え、オリガーキーはいまだ存在しており、強力だ。
 
トランプは、ソ連崩壊から25年後、NATOにはもはや意味はないと言っている。もし彼がその見解を守り続ければ、アメリカ政府のEU傀儡諸国における大きな政治敵変化を意味する。現在のEUとNATOの幹部によるロシアに対する敵意は、終わらざるを得まい。ドイツのメルケル首相は態度を改めるか、取って代わられるしかない。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は解任されなければなるまい。
 
トランプが彼の閣僚に誰を選ぶのか我々は知らない。トランプは、様々な可能性や、案件に対する彼らの立場を良く知らない可能性が高い。実際、誰がトランプに助言をするのか、彼らがどういう助言をするのか次第だ。閣僚を見れば、現在、可能性がある変化に、期待がもてるかどうかがわかる。
もし、オリガーキーがトランプを支配できず、彼が実際に軍安保複合体の権限と予算抑制に成功し、金融部門に政治的に責任をとらせることができれば、トランプは暗殺されかねない
 
トランプは、ヒラリーを監獄に入れると言った。彼はまず、全てのネオコンとともに、反逆罪と戦争犯罪で裁判にかけるべきなのだ。それによって、ネオコンが覇権を得ようとしている他の二核大国との平和の為の準備ができよう。ネオコンには、依然、見えない陰の政府内に、連絡相手はいるだろうが、人間の屑どもが偽旗作戦や暗殺を組織するのはより困難になるだろう。それでも、軍安保複合体のならずもの分子は、暗殺をやり遂げることはできようが、政権内にネオコンがいなければ、隠蔽はずっと困難になろう。
 
敵が考えている以上に、トランプには理解力と洞察力がある。トランプのような人物が、余りに多くの強力な敵を作る危険を冒したり、彼の富と評判に対する危険を冒したりするはずはなく、彼は、既存支配体制に対する国民の不満のおかげで、大統領に選ばれる可能性があることを知っていたに違いない。
 
一体誰が、各長官や次官補になるのかを見るまでは、先がどうなるかはわからない。もし、それがいつもの連中であれば、トランプが取り込まれたことがわかる。
 
選挙の嬉しい持続的効果は、ヒラリーの楽勝と、アメリカ上院での民主党多数派とともに予言したアメリカ・マスコミが完全に信用を失ったことだ。マスコミにとって、より重要なのは、影響力と信憑性の消滅で、大統領予備選挙と大統領選挙運動の間の、トランプに対する猛烈なマスコミ攻撃にもかかわらず、マスコミは、1パーセントのたまり場である北東と西海岸以外には効果がなかった。それ以外の場所は、マスコミを無視した。
 
オリガーキーがトランプが勝利するのを許すだろうとは私は考えていなかった。ところがオリガーキーは自らのマスコミ・プロパガンダに欺かれたもののようだ。ヒラリーの勝利は間違いないと確信し、連中は不正選挙計画を実行する準備ができていなかったのだ。
ヒラリーは破れたが、オリガーキーが破れたわけではない。もしトランプが、融和的になり、手を貸して、既成支配層を政権に採用するようになれば、アメリカ国民はまたもや失望することになろう。オリガーキーによって、あらゆる組織が徹底的に腐敗している国においては、流血の惨事なしに、本当の変化を達成するのは困難だ。
 
 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
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