7、8両日に千葉県佐倉市で開かれた平和首長会議に出席予定の首長52人に、国連が10月27日に採択した「核兵器禁止条約の制定に向けた交渉を2017年に開始するよう求める決議」について、毎日新聞が賛否とその理由を書面で尋ねたところ、回答した46人のうち7割の32人が賛成、2人が反対、12人が賛否を表明しませんでした。賛成した32人のほぼ半数がその理由に「唯一の被爆国の役割」を挙げました。
平和首長会議は1982年の国連軍縮特別総会で荒木武・広島市長(当時)が提唱し、11月1日時点で世界162カ国・地域の7164都市、国内では全自治体の94%にあたる1643自治体が加盟していおり、国内の総会にその一部が参加します。
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<平和首長会議> 核兵器禁止交渉開始決議 賛成の首長が7割
毎日新聞 2016年11月8日
◇日本政府が反対の決議
国連が10月に採択した「核兵器禁止条約の制定に向けた交渉を2017年に開始するよう求める決議」について、核兵器廃絶を目指す国際NGO「平和首長会議」の国内加盟都市の総会に参加する自治体首長に賛否を聞いたところ、回答した46人のうち7割の32人が賛成を表明した。日本政府はこの決議に反対し、平和団体などから批判を浴びた経緯がある。【北川仁士】
国連の決議はオーストリアやメキシコなどが共同提案し、総会第1委員会(軍縮)で先月27日、賛成123カ国、反対38カ国で採択された。日本政府は「核兵器国と非核兵器国の亀裂を深め、核兵器のない世界の実現が遠のく」(菅義偉官房長官)として米国とともに反対。「被爆国の役割から降りて一同盟国となることだ」(NGO核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲・国際運営委員)などの批判が上がった。
一方、平和首長会議は7、8両日、千葉県佐倉市で第6回総会が開かれ、出席を事前に表明していた首長52人に毎日新聞が国連決議への賛否と理由を書面で尋ねた。
賛成した32人のほぼ半数が「唯一の被爆国の役割」を挙げた。平和首長会議の会長を務める広島市の松井一実市長は「核兵器廃絶に向けた動きを着実に進めるためには、核拡散防止条約(NPT)の完全履行と、全ての国による核兵器禁止条約の締結が不可欠」とした。福島県桑折町の高橋宣博町長は「福島県は原発事故による放射能汚染で今なお苦しめられている。人間が制御できない核の利用は即刻中止すべきだ」と主張した。
一方、決議に反対した日本政府を支持するとして2人が反対を表明。12人が賛否を示さなかった。
「反対」した静岡県磐田市(渡部修市長)の総務課は「北朝鮮の状況などを考えると核兵器の即時禁止はかえって混乱を招き、段階的に廃絶していくとする政府の判断はやむを得ない。非常に難しい問題だ」と説明した。
総会が開かれた佐倉市の蕨(わらび)和雄市長は賛否を保留。「政府は国際情勢や国の安全保障の観点などから判断したと捉えている」とした上で「決議に反対した理由や今後の核兵器廃絶に向けた取り組みについて、国民に説明を尽くしてほしい」と注文した。
◇平和首長会議
1982年の国連軍縮特別総会で荒木武・広島市長(当時)が、世界の都市が国境を超えて連帯し、核兵器廃絶への道を切り開くことを提唱したのが始まり。賛同する都市(自治体)で構成され、11月1日時点で世界162カ国・地域の7164都市、国内では全自治体の94%にあたる1643自治体が加盟。国内の総会にその一部が参加する。