イスラエルは数年ごとに隣地のガザを空爆し、あるいは戦車等で侵入して徹底的に破壊しています。数年が経って町が復興したころを見計らって、イスラエルはまた同様の破壊を行います。この繰り返しを彼らは「芝刈り」と呼んでいます。何時まで経ってもガザを復興させないという訳です。
2014年7~8月のイスラエルによるガザ攻撃の際に、現地で取材を続けた田中龍作氏によれば空爆機の9割は無人機ドローンによるものだったということです。安倍政権は先年武器輸出を解禁しましたが、その際に海外との武器の共同開発も解禁しました。それによって早速成立したのが日本とイスラエルとの軍用無人機の共同研究でした。
ガザの住民たちはイスラエル建国に当たって住み慣れた土地から追い出されたパレスチナ人民です。その人たちへの際限のない空爆に用いられるドローンの開発改良に日本が関わることになったわけです。
これまでは日本は平和国家として中東の人たちからも信頼されて来ましたが、今後はパレスチナ難民たちから恨まれることになるのは必至です。
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三菱に申し入れ 「イスラエルと軍用ドローンの共同開発をしないで」
田中龍作ジャーナル 2016年11月25日
市民たちがきょう、軍需産業と防衛装備庁を訪問した。署名を添え「イスラエルとの軍用無人機の共同研究に参加しないで下さい」と申し入れた。(主催:武器輸出反対ネットワーク)
訪問した軍需産業は三菱電機、富士重工、日本電気(NEC)の3社。
三菱電機(丸の内)は総務部の担当者が出てきて、市民側の話を聞き、署名を受け取った。署名は37ヵ国に住む日本人の5千筆。富士重工とNECからは応対を断られた。
軍用ドローンを共同開発する相手国は、よりによってイスラエルである。(他の国だったらいいと言う訳ではない)
(英字紙や文献に違うことが書かれていたとしても)ガザ空爆の9割は軍用ドローンからだった。
2014年7~8月のイスラエルによるガザ攻撃の際、田中は現地で取材を続けていたので、自らの目と耳で認識している。空を切り裂くような金属音をたててF16が飛来したのは数えるほどだった。
四六時中、ドローンは唸るような重低音を立ててガザの空を舞った。そしてパレスチナの民と施設を爆撃した。海岸で遊ぶ子どもの命を奪ったこともあった。
誤爆ではない。イスラエル軍は高精度カメラを通してスクリーン上で爆撃対象を確認しているのだから。高度を下げた時は芝刈り機が耳元で鳴っているようだった。
パレスチナの医療機関が調べたところ、子どもたちがPTSD(心的外傷ストレス)にかかる原因のトップは、軍用ドローンの飛行音だった。
安倍政権が「武器輸出三原則」を撤廃したことで、企業は大っぴらに武器を輸出できるようになった。
大学は軍需に結びつく研究をすれば、補助金がつくようになった。産学あげての武器輸出だ。
ガザでパレスチナ人からこんなことを言われた。「日本は偉大だ。ヒロシマに原爆を落とされ廃墟となったが、平和国家として繁栄を遂げた」と。
日本はこれまで平和憲法を掲げ武器輸出を控えてきた。戦乱の絶えない中東でも日本人は好意的に受け容れられてきた。
ところが平和憲法は安倍政権によって事実上破棄され、武器輸出もできるようになった。
日本人を見る目が変わってくるだろう。日本の武器輸出で一番危なくなるのは、日本人ではないだろうか。
~終わり~