2016年11月5日土曜日

南スーダンPKO 駆け付け警護の新任務付与へ

 政府は南スーダンのPKOに参加している陸上自衛隊部隊に、「駆け付け警護」の新任務を付与することを15日に閣議決定する方針を固めました。「宿営地の共同防護」は当面加えないということです。

 国民がどんなに反対しようとまた現地がどんなに危険であろうと、安保関連法で付与が可能となった以上は政府は断固実行するといわんばかりの態度です。
 
 さすがに先般稲田防衛相が7時間ほど現地を視察しただけでは説得力に欠けると思ったらしく、急遽柴山総理大臣補佐官を、10月30日出発~11月2日帰国の正味2日間ほどの南スーダンの視察に出しました。もうその時には新任務の付与は事実上決まっていたでしょうからそんな視察には何の意味もありません。
 事実 帰国した芝山氏は記者団に「ジュバ市内では・・・落ち着いた状況ではないか。予断は許さないが、市内では治安を脅かすような事態は全くなかった」と述べました(NHK)。要するに「現地に行っていた間は平穏だったが、今後のことは分からない」ということです。それが正直なところだと思います。
 菅官房長官は4日の記者会見で、「ケニア軍が主として展開している地域は、自衛隊が展開する地域とは異なっていて、ただちに影響が出るとは思っていないと述べましたが、かつての枝野官房長官の言いぶりが思い出されます。
 
 そもそも駆け付け警護は、国連職員やNGOのスタッフらが武装集団などに襲われた際に、自衛隊が武器を持って救援にあたる任務です(読売新聞)。
 この7月(稲田氏が現地を訪れた頃)にはジュバ市内の国連の職員やNGOがベースにしていたホテルが100人ほどの政府軍に襲われ、男性職員が殺害され、女性職員たちが多数の兵士たちに凌辱されるという事件が起きました。
 そのときNGOは国連やPKOに救助のメールを打ち続けましたが、PKOは要請に応じませんでした。駆け付け警護を担っていたのは中国PKOとケニアPKOでしたが、政府軍が優勢過ぎて出動出来なかったのでしょうか駆け付けなかったことを非難され司令官が国連によって解任させられたケニアPKO部隊は、それを不服として現地から撤退すると発表しました。
 
 そもそも政府軍他国のPKOが対峙するなどということは本来あり得ない話であって、それはPKO(国連平和維持活動)などではありません。政府は、そんな南スーダンの、しかも中国やケニアの部隊が駆け付けを躊躇するほどの修羅場に、日本の自衛隊PKO部隊を警護のために向かわせようとしているのです。
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南スーダンPKO、駆けつけ警護の新任務付与へ
読売新聞 2016年11月04日   
 政府は3日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊部隊に、安全保障関連法で可能となった「駆けつけ警護」の新任務を付与することを15日に閣議決定する方針を固めた。
 
 20日から派遣する陸自第9師団(青森市)を中心とした第11次隊が緊急の要請があれば新任務にあたる。
 
 駆けつけ警護は、国連職員や民間活動団体(NGO)のスタッフらが武装集団などに襲われた際に、自衛隊が武器を持って救援にあたる任務。南スーダンPKOの実施計画に新任務を追加する。安保関連法で同じく可能になった「宿営地の共同防護」は、実施計画には加えないが、稲田防衛相の指示によって任務を可能とする。
 陸自部隊は9月から新任務の訓練にあたっている。
 
 
首相 補佐官の南スーダン視察成果踏まえ新任務判断
NHK NEWS WEB 2016年11月4日
安倍総理大臣は、自衛隊が国連のPKO=平和維持活動に当たっている南スーダンを視察した柴山総理大臣補佐官と面会し、視察で得られた現地の治安情勢などを踏まえ、「駆け付け警護」などの新たな任務の付与を判断する考えを示しました。
 
安全保障政策を担当する柴山総理大臣補佐官は、先月30日から今月2日までの日程で、自衛隊が国連のPKO=平和維持活動に当たっている南スーダンを訪れ、首都ジュバにある自衛隊の宿営地や市街地を視察しました。
 
柴山補佐官は視察の報告を行うため、4日、総理大臣官邸で安倍総理大臣と面会し、南スーダンの治安情勢について、地域によっては楽観できない状況ではあるものの、ジュバ市内は比較的落ち着いている様子だったなどと報告しました。
これに対し、安倍総理大臣は「視察の成果を受けて、しっかりと検討したい」と述べ、今回の視察で得られた現地の治安情勢などを踏まえ、駆け付け警護などの新たな任務の付与を判断する考えを示しました。
 
面会のあと、柴山補佐官は記者団に対し、「ジュバ市内では女性や子どもたちが普通に生活しており、銃声もせず、落ち着いた状況ではないか。予断は許さないが、ジュバ市内では治安を脅かすような事態は全くなかった」と述べました。
 
 
菅義偉長官「ただちに影響出るとは思っていない」
新任務付与 ケニア軍撤退で
 産経新聞 2016年11月4日
 菅義偉官房長官は4日午前の記者会見で、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)をめぐりケニア政府が、ケニア出身の軍司令官更迭に反発し、派遣部隊の撤退声明を発表したことについて「現時点でケニア政府が実際に撤収を開始したという情報には接していない。ケニア政府、南スーダン政府の動向や国連側の対応を注視していきたい」と述べた。
 
 また菅氏は、南スーダンPKOに派遣する陸上自衛隊部隊への「駆け付け警護」など、新任務付与の判断に影響するか否かに関しては「ケニア軍が主として展開している地域は、自衛隊が展開する地域とは異なっていて、ただちに影響が出るとは思っていない」とした。