2016年11月6日日曜日

安倍政権は日本のファシズム化を推進する

 国外のニュースを主体としている櫻井ジャーナルが、その視点から、TPPの批准に狂奔する安倍政権による「日本のファシズム化」を取り上げました。

 TPPのISD条項は企業が他国の国家・政府よりも優位にあることを宣言するものです。
 かつてフランクリン・ルーズベルトファシズムについて
 「もし、私的権力=企業などが自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」
 とした定義に照らせば、TPP(欧州向けTTIPTiSAも含めて)はファシズム体制を作り上げるための協定に他ならず、オバマ大統領も首相も安倍首相も、そして大手マスコミもファシストだと言うことができると述べています
 
 もしもアメリカのいくつかの私企業が集まってTPP協定の必要性を強力に主張したとしても、どの国も相手になどしません。さすがの安倍首相もそれに倣う筈です。
 ところが「私企業たちがアメリカ政府の仮面をかぶる」ことで、今安倍政権が成立に向けて大騒ぎをしているような『倒錯』が現前するわけです。誠に愚かな話です。
 何よりも先ずアメリカにおいて「私的権力が政府を所有」(=ファシズム)したわけで、それに完全に同調しようとしている安倍政権もまた、その「ファシズム化」を推し進めようとするものだという指摘です。
 
 ここで突然首相が登場しますが、彼こそが首相在任中に、さも良いことであるかのようにTPPへの参加を持ち出した人でした。突然に首相の地位に就くとああまで判断力をなくすのかという例です。
 もう一つ、大手マスコミを挙げた意味は不明ですが、ことISD条項に関しては彼らは一貫して沈黙を守っています。これこそは実に不可解なことで、売国の条項を批判しないマスコミとは・・・彼らが売国奴だからと思うしかありません。
 
 本ブログではISD条項についてはこれまでしばしば触れてきました。その一例を示します。
 
2013年8月1日  TPP交渉から即時撤退を (弁護士ネットワーク)
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米支配層の内部で混乱が激しくなっていることに関係なく、
安倍政権は日本のファシズム化を推進    
櫻井ジャーナル 2016.11.05 
 安倍晋三政権はTPP(環太平洋連携協定)が描くビジョンに従って国を作り替えつつある。TPPが批准されることを前提にして準備が進められ、国外では侵略戦争に参加する体制を整え、国内では弱者を切り捨て、治安システムを強化されてきた。ちなみに、この協定に含まれるISDS条項は、巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制を政府や議会が作ることは事実上、禁止することになる企業から賠償を請求されてしまうからだ。
 
 TPPの下では直接的な生産活動やサービスのルール、労働条件、環境汚染、食糧の安全などに関する規制、あるいは健康保険や年金など社会保障の仕組みを決める最終的な権限を巨大資本が持つ。アメリカのバラク・オバマ政権はTPPのほか、EUとの間でTTIP(環大西洋貿易投資協定)、さらにTiSA(新サービス貿易協定)を結び、巨大資本が支配する世界を築こうと目論んできたのだ。
 
 いずれの協定も交渉は秘密裏に進められ、その内容は議会にも庶民にも知らされず、内部告発で漏れてくる情報が頼り。アメリカの場合、議会に協定の承認を求める前に中身を国民へ示すべきだとする文書をふたりの上院議員、シェロード・ブラウンとエリザベス・ウォーレンがオバマ大統領へ突きつけていたが、両議員によると、アメリカ政府が設置しているTPPに関する28の諮問委員会に所属する566名の委員のうち480名、つまり85%が大手企業の重役か業界のロビイストだという。巨大企業のカネ儲けにとって都合の良い内容になるのは必然だった。そうした仕組みを作り上げるイデオロギーをファシズムと呼ぶ人もいる。
 
 かつて、巨大資本が世界を支配する仕組みを公然と主張した人物がいた。イタリアでファシスタ党を結成したベニト・ムッソリーニだ。1933年11月に「資本主義と企業国家」の中でそうしたシステムを企業主義と呼び、資本主義や社会主義を上回ると主張している。そしてファシズムというイデオロギーが誕生した。そのベースになる考え方はイタリアの経済学者ビルフレド・パレートから学んだという。
 
 その当時、アメリカの巨大金融資本はニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトの政権を倒してファシズム体制を樹立するためにクーデターを計画している。本ブログでは何度も書いているように、この計画はスメドリー・バトラー少将の議会証言で明らかにされた。この証言でクーデターは未遂に終わり、巨大資本がホワイトハウスで主導権を握るのは1945年4月にルーズベルトが急死した後だ。その巨大資本の中心にいたJ・P・モルガンは1923年の関東大震災以降、日本の政治や経済に大きな影響力を持っていた。その日本における代理人を1932年から42年にかけて務めていたのがジョセフ・グルー。第2次大戦後、民主化の流れを断ち切り、「戦前レジーム」へ戻す作業をしたジャパン・ロビーの中心的な存在でもある。
 
 ところで、フランクリン・ルーズベルトは1938年4月29日、ファシズムについて次のように定義している。
「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」
 この定義に従えば、TPP、TTIP、TiSAの3点セットはファシズム体制を作り上げるための取り決め。オバマ大統領も菅首相も安倍首相も、そして大手マスコミもファシストだと言うことができる。
 
 菅にしろ安倍にしろ、アメリカ支配層に従属しているだけ。そうした姿勢のために中国やロシアとの関係が悪化、日本企業は厳しい状況に陥っている。アメリカの支配層が混乱したり弱体化したなら、日本の支配層が中国やロシアへすり寄っても不思議ではないが、日米の好戦派が消えたわけではなく、暴走の誘惑は強まるだろう。アメリカでは内戦の可能性も懸念されている。アメリカ政府が「刀狩り」を進めてきた一因はここにある。ロシアや中国との核戦争を回避できても、だ。