現在の健康保険証を来年秋に廃止してマイナンパーカードに一本化する改悪マイナンパー力ード法が6月2日成立した後も、トラブルが相次ぎ保険証廃止の延期・撤回を求める声が広がっています。
開業医の6割が加盟する全国保険医団体連合会(保団連)が6万6462医療機関を対象に実施した調査によると、「マイナ保険証」について、医療機関の65%で「被保険者の情報が正しく反映されない」などのトラブルがありました。他人の医療情報が誤ってひも付けされれば、命にかかわる問題に発展します。
オンラインで資格無効と表示され、患者が医療費の全額を窓口で請求される「10割負担」のケースが、38都道府県で最小でも776件(保団連推計1291件)発生しています。
保団連の住江憲男会長は記者会見で「機微に富む情報をマイナカードでひも付けることの危険性が国民に共有され、(延期・撤回を求める)世論が前進している」とのべ、運用を停止しての全件チェック、現行保険証の存続を求めました。
保険証廃止に反対する声は地方自治体からも上がっています。しかし岸田首相は21日の記者会見で「こうした事態を重く受け止めている」と述べながら、国民の声に耳を傾けず、保険証廃止の方針を変えない姿勢です。しかし走りながらの総点検はあり得ないことで、マイナンバー関連のシステムは最低限いったん運用を中止してから総点検することが必要です。こうした当たり前の対応がどうして出来ないのでしょうか。しんぶん赤旗日曜版が報じました。
政府は21日「マイナンパー情報総点検本部」の初会合を開催しました。しかし内容は既存の情報やシステムの点検だけで、岸田政権が無責任なのは総点検を自治体に〝丸投げ″している(総務省に自治体のお目付け役を60人配置)ことです。国は「秋まで」と期限だけを示し手法や基準は示さないので、各自治体は日常業務をこなす中で、どうやってこの膨大な点検作業を進めるのか頭を抱えています。
各自治体で再チェックすれば入力ミス等はある程度修正されるでしょうが、大急ぎの仕事なので完璧は期せません。ところでこの総点検には、他人の情報登録など重大なトラブルが起きた制度の根本的な総括や見直しは含まれていません。顔認証に30秒も掛かったり、顔認証がアウトでも暗証番号を入力すればOKというような「論理矛盾」を持つ欠陥システムが、このまま温存されたのでは問題は解決しません。
日刊ゲンダイが この「マイナカード」に関する諸々の問題点を追及する『集中企画・マイナ狂騒』のシリーズを立ち上げています。
6月30日時点で7回分が掲載されましたので別途紹介します。
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マイナ保険証またトラブル オンラインで資格無効 医療費10割負担1291件
しんぶん赤旗日曜版 2023年7月2日号
いったん運用停止を
現在の健康保険証を来年秋に廃止してマイナンパーカードに一本化する改悪マイナンパー力ード法。同法が成立(6月2日)した後も、トラブルが相次ぎ、保険証廃止の延期・撤回を求める声が広がっています。
「日経」の世論調査(26日付)では、マイナンバーカードのトラブルヘの政府の対応は 「不十分だ」が76%にのぼり、内閣支持率は、39%へ8ポイント急落しました。
開業医の6割が加盟する全国保険医団体連合会(保団連)の調査(21日公表)によると、マイナンパーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」について、医療機関の65%で「被保険者の情報が正しく反映されない」などのトラブルがありました。他人の医療情報が誤ってひも付けされれば、命にかかわる問題に発展します。
調査は保団連会員の6万6462医療機関を対象に実施。41都道府県の1万0026施設が回答しました。
欠陥次々あらわ
オンライン資格確認を運用する8437施設のうち、5493施設(65・1%)で「トラブルがあった」と回答。その内容では「無効・該当なしと表示され、被保険者の資格情報が正しく反映されない」が3640件(66・3%、複数回答)で最多でした。
オンラインで資格無効と表示され、患者が医療費の全額を窓口で請求される「10割負担」のケースが、38都道府県で最小でも776件(保団連推計1291件)発生しています。
「他人の情報がひも付けられていた」が31都道府県で114件、医療機関で本人確認を行う際、マイナ保険証所有者と別の人の顔で認証されたケースが3件報告されました。
保団連の住江憲男会長は記者会見で「機微に富む情報をマイナカードでひも付けることの危険性が国民に共有され、(延期・撤回を求める)世論が前進している」とのべ、運用を停止した全件チェック、現行保険証の存続を求めました。
反対する声続々
地方自治体からも、保険証廃止に反対する声が上がっています。 神奈川県座間市、埼玉県の三芳町、鳩山町などの各議会で現行の健康保険証存続を求める意見書が可決されています。
東京都世田谷区の保坂展人区長は記者会見(22日)でマイナンバーカードと一体化する政府方針に対して「医療機関でも不具合が発見され、混乱が起きている。この事態を放置するべきではない。今の保険証の廃止は凍結し、従来の保険証も存続すべきだという意見だ」と述べました。
それでも声聞かない岸田首相
不安にこたえず
相次ぐトラブルを受け、岸田文雄首相は国民の不安払しょくへ躍起です。しかし、21日の記者会見でも「こうした事態を重く受け止めている」とのべながら、国民の声に耳を傾けず、廃止の方針を変えない姿勢です。
政府は同日、「マイナンパー情報総点検本部」への初会合を開催。しかし、内容は既存の情報やシステムの点検だけです。他人の情報登録など重大なトラブルの起きた制度の総括や見直しは含まれていません。国民の不安にこたえるものではありません。
日本共産党の志位和央委員長は21日の党国会議員団総会でよびかけました。「トラプル続出のもとで実施は絶対あってはなりません。いったん運用を停止して、全面的な総点検を行うとともに、紙の保険証の廃止の中止・撤回求めてたたかおう」