2023年7月24日月曜日

“文春砲”炸裂の木原官房副長官は内閣改造でどうなる?

 木原誠二官房副長官の妻の前夫・安田種雄氏の不審死に関して、安田氏の遺族が20日、記者会見し17日付で所轄の大塚警察署長に再捜査を希望する上申書を提出したことを報告ました。この件に関しては週刊文春が独占状態で毎号特集を出しているところです(以前は週刊新潮が取り上げたこともありました)。

 遺族は記者会見したことでこの問題を取り上げるメディアが増えてくれることを期待したと思われますが現状はそうなっておらずに、SNSや公開動画が盛んに取り上げているのとは好対照です。
 この背景には木原氏の顧問弁護士が5日、司法記者クラブに宛てて「マスコミ史上稀にみる深刻な人権侵害」として、抗議の意を表明する「御通知」を送付し、文藝春秋社や記事の関係者を刑事告訴する意向を表明したことがあります。
 不審死を簡単に自殺と処理したことがことの発端(木原氏の妻の父は警察官)ですが、それから12年経過した後に、警察は30人体制の「再捜査」に踏み切りながら木原誠二氏が安倍政権下で自民党の情報調査局長に就くと、急激に縮小させて捜査陣を事実上解散しました。メディアと同様にて警察も政権には弱いことを示すもので、いずれにしてもこの事件は疑惑に満ちています。
   ⇒7月17日)木原誠二官房副長官の末路(植草一秀氏)
 日刊ゲンダイが掲題の記事を出しました。
 ところでメディアとしては週刊文春止まりとはいえ、SNS上ではここまで事件が広く認識された以上、次回の内閣改造で木原氏の交代は避けられそうにありませんが、「現在の官邸は木原さんがいないと回らないと言われ重要政策ほぼすべてを差配しているため、『陰の総理』とまで呼ばれる実力者になってい」るということで、実際にどうなるのかは不明ということです。
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“文春砲”炸裂の木原官房副長官は内閣改造でどうなる? 留任も交代も岸田政権の大きな火種
                          日刊ゲンダイ 2023/07/23
 内閣改造を機に中枢から外されるのか──。岸田首相の最側近として政権を支える木原誠二官房副長官の去就に注目が集まっている
 木原副長官の妻が前夫・安田種雄さん(享年28)の不審死事件に関し、重要参考人として警視庁から聴取されていたことを「週刊文春」が3週にわたって報じたためだ。政権与党の有力議員の妻ということでハードルが上がり、捜査は事実上、打ち切られたとされる。
 木原氏サイドは文春の報道内容を「事実無根」と断じ、司法記者クラブの「新聞社各位 テレビ局各位」に対して「記事掲載にかかる関与者について刑事告訴を行う」と通知。そのせいか、主要メディアは静観している。
 そうした中で、種雄さんの遺族が記者会見を開き、17日付で所轄の大塚警察署長に再捜査を希望する上申書を提出したことを報告。遺族が会見したことで、この件に関する報道も少しずつ見られるようになってきた。
 自民党内からは「新聞テレビが報じなければ大丈夫という時代ではない。ネットで広がれば内閣支持率にも響いてくる」(中堅議員)などと案じる声が上がり始めている。
 文春(7月20日号)によれば、党幹部の森山選対委員長も、政治部記者との懇談会で「印象が悪い。木原は早く代えた方がいい」「警察権の行使について『政治家に配慮した』なんて言われたら、大変なことになるよ」などと怒気を含んだ口調で話していたという。

 常識的に考えれば、8月か9月に予定されている内閣改造で木原氏の交代は避けられそうにないが、「総理は木原さんを簡単には切れないでしょうね」と岸田派関係者がこう言う。
「現在の官邸は木原さんがいないと回らないと言われている。岸田政権の重要政策ほぼすべてを差配しているため、木原さんは『陰の総理』とまで呼ばれる実力者になっています。今の岸田派には、残念ながら代わりを務められる人材がいない。閣僚経験者の上川(元法相)や根本(元厚労相)が今さら副長官というわけにはいかないし、木原さんより下の世代は経験が足りない。そもそも、岸田総理には腹心と呼べるような存在が他にいません。心を許せるのは家族だけで、長男を政務秘書官に抜擢したくらいですからね。それも裏目に出てしまいましたが……。木原さんの処遇をどうするのか、総理の判断は非常に重要になってきます」

 留任させれば火種を抱え続けることになり、支持率がますます下落する可能性がある。
 一方で、木原氏が抜けたら官邸は一気に瓦解しかねない。どちらにしても岸田政権には大きなリスクだ。
「自民党内の懸念が高まっているのは事実ですが、文春報道を受けて、警察庁長官や警視庁の捜査1課長が定例会見で『事件性は認められない』という見解を示した。それなのに内閣改造で木原副長官を外せば、何か問題があったように見えてしまうので、岸田首相は交代させないつもりではないか。もっとも、マイナンバーカードのように国民の関心が高まれば分かりません。世論の反応を見ながらの判断になるでしょう」(政治評論家・有馬晴海氏)
 長男秘書官の不祥事もかばい続けて身内びいき批判にさらされ、支持率を大きく落としたことが思い返される。岸田首相は過去の経験から学んでいるのかどうか。