2023年7月5日水曜日

総辞職に向け始動する岸田内閣/習近平理解に必読の遠藤誉氏新著(植草一秀氏)

 植草一秀氏が「総辞職に向け始動する岸田内閣」とする記事を出しました。

 岸田内閣は21年10月4日に発足してから1年10ヵ月が経過しました。岸田氏は中学生から首相を目指した理由を問われ、「日本の社会の中で一番権限の大きい人なので」として、「やりたいことを実現やめてほしいとをやめてもらうには、力を付けないといけない(から)」と答えたことを紹介し、重要なのは「何をやりたい」のかであるがそれが見えない述べました。
 そして広島サミットでも典型的に示されたように、「すべて岸田首相は米国戦争屋の命令に隷従しただけであるとしました
 当初は、何を要請されても「検討します」としか答えなかったため、岸田首相は「検討使」と揶揄されましたが、22年7月、安倍氏銃殺が起きると独断専横で国葬実施し、22年末には、軍事費倍増、原発全面推進、国民負担増大方針を明示するなどして、「何もし内閣」が「とんでも内閣」、「どうしようも内閣」に変じたと指摘しました
 そしていま再び岸田内閣支持率の凋落が始動しているなかで、日本の主権者は次にどのような政権を樹立するのかを考えねばならないと述べています。超反動と化した岸田首相氏には速やかな退場が求められます。

 併せて植草氏のもう一つの記事「習近平理解に必読の遠藤誉氏新著」を紹介します。
 岸田首相は米国に迎合して重要な隣国である中国を事ごとに非難するのを憚らなくなり、中国を意識した経済安保政策を進めようとしています。しかし万一中国と戦争状態になって欧州や中東からの物資を運ぶシーレーンが閉じられれば、たちまち窮するのは実質の食料自給率が数%に過ぎない日本です。まず考えるべきは日本の安全保障でしょう。
 植草氏は、「ウクライナと中国の出来事について筑波大学名誉教授の遠藤誉氏がいつも重要な情報を提供される。遠藤氏が示す見解は多数派の見解ではない。多くの場合が少数見解である。しかし、真実を正確に捉えていることが多いと思われる。その遠藤氏が新著を公刊された」「日本のメディアは中国が覇権主義であり、独裁主義、膨張主義で戦争を引き起こすとしか伝えないが、習近平の行動哲学をまったく洞察していない。中国の実相を知るためには遠藤氏の著作に触れることが必須である」として、遠藤誉氏の新著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」』(ビジネス社)を推薦しています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
総辞職に向け始動する岸田内閣/習近平理解に必読の遠藤誉氏新著(植草一秀氏)
               植草一秀の「知られざる真実」 2023年7月 4日
岸田首相が解散・総選挙のラストチャンスを棄て去り、内閣消滅に向かって進み始めた。
本年前半に内閣支持率が小幅回復した主因はサミット日本開催
韓国トップとの交流再開も歓迎すべきことだが懸案解決には至っていない。
広島サミットは岸田首相が大きな成果を挙げるチャンスだったが岸田首相はチャンスを掴もうとしなかった。

岸田首相は本年3月に福島県相馬市で開かれた「こども政策対話」で中学生から首相を目指した理由を問われ、「総理大臣は日本の社会の中で一番権限の大きい人なので、総理大臣を目指した」と答えた。
同時に、「やりたいと思うことを実現する、やめてほしいと思うことをやめてもらうには、やはり力を付けないといけない。」とも述べた。
好意的に解釈すれば、単に権限のある地位に就きたいということではなく、やりたいと思うことを実現するために権限の大きなポジションに就きたいと考えたということになる。

重要なのは「何をやりたい」と考えるのか。
日本は世界で唯一の原爆被害国。広島は原爆投下の犠牲になった。
広島でサミットを開催する意義は「核兵器の廃絶」、「戦争の廃絶」でしかなかった。
国連は核兵器禁止条約を制定した。しかし、G7は核兵器禁止条約に背を向けている。
広島サミットでG7による核兵器禁止への第一歩を印すべきだった。

広島サミットにウクライナのゼレンスキー大統領を招聘した。
ゼレンスキーを呼んで協議すべきことは「停戦への具体的行程」を確定すること。
ウクライナ戦争終結に向けての第一歩を印す。広島でサミットを開催する意義が発揮されたはずだ。「やりたいと思うことを実現する最大のチャンス」だった。
しかし、岸田首相は何もしなかった。

何もしないどころか、わざわざ「広島ビジョン」を発表し、「核兵器は役に立つ兵器である」ことを宣言した
核独占保有による優位を維持したい戦勝国の命令に岸田首相が服従しただけに終わった。
ウクライナ戦争ではウクライナに無制限、無尽蔵の武器支援を継続する方向性を明示した。
「戦争終結」でなく「戦争拡大」推進を決定した。
米国は戦争を拡大、長期化させたいと考えている。戦争は米国軍事産業にとっての最大ビジネスチャンス。戦争拡大、戦争長期化は軍事産業の熱望する事態である。
岸田首相は米国戦争屋の命令に隷従しただけである。

岸田内閣が発足したのは2021年10月。まもなく2年の月日が流れる。
この間、岸田内閣に高く評価できる実績はない。
政権発足から9ヵ月は何もしなかった。「何もし内閣」だった。
前任者、前々任者が傲岸不遜な振る舞いを示していたから、普通に対応するだけで好感度は上昇した。しかし、何を要請されても「検討します」としか答えず「検討使」と揶揄された
突然、独断専横に転じたのが昨年7月。安倍晋三氏銃殺を受けて国葬実施を独断専横で決めた。法的根拠がなく、財政支出根拠もなく、正当な根拠もない国葬の実施を強行した。
「何もし内閣」が「とんでも内閣」、「どうしようも内閣」に変じた。

年末には、軍事費倍増、原発全面推進、国民負担増大方針を明示。
岸田悪政が大暴走を始動した。サミット開催期待で支持率が小幅回復したがサミットは主権者の期待を完全に裏切った。再び岸田内閣支持率の凋落が始動している。
日本の主権者は次にどのような政権を樹立するのかを考えねばならない。

千載一遇の金融大波乱 2023年 金利・為替・株価を透視する
(ビジネス社、1760円(消費税込み))https://amzn.to/3YDarfx 
日本経済の黒い霧 ウクライナ戦乱と資源価格インフレ 修羅場を迎える国際金融市場
(ビジネス社、1870円(消費税込み))https://amzn.to/3tI34WK 
をぜひご高覧ください。Amazonでの評価もぜひお願いいたします。
             (以下は有料ブログのため非公開


習近平理解に必読の遠藤誉氏新著
                植草一秀の「知られざる真実」 2023年7月 3日
誰が真実を語っているのか。非常に重要な問題だ。
原発は絶対に安全だと言われていた。しかし、そのなかで、原発はいずれ取り返しのつかぬ重大事故を引き起こすと説いていた人がいた。
中国は崩壊すると述べ続ける人がいる。他方で、中国は粘り強く発展を続けると説く人がいる。
ウクライナが正義でロシアが悪。メディアはこの図式でしかものごとを伝えないが、本当の悪は米国とウクライナだと説く人がいる。

ワクチンこそ新型コロナの救世主だと主張してワクチン接種熱烈推進の国家運動が展開されたが、新型コロナワクチンは危険だと唱える人がいた。
ワクチン接種拡大に連動して日本の死者数が激増した。ワクチン接種後に急死する者が驚くべき数に達した。
ワクチンの危険性を唱える主張は存在した。その言説を知らずに接種を受けたのか、言説を知りながら社会の大勢に従って接種を受けたのか。
しかし、接種後急死に直面してしまっては手遅れだ。
後悔は先に立たず。重要なことは誰の主張に耳を傾けるのかだ。

6月14日の「そうだ、選挙に行こう大集会」で元福井地方裁判所裁判長の樋口英明氏が岸田首相は誰かの話に耳を傾けると述べた。 https://x.gd/LBQjl 
その上で大事なことは誰の話に耳を傾けるのかということになるが、岸田氏は不誠実で愚かな人の話に耳を傾けていると指摘した
人の話に耳を傾けることは大事だが、より重要なことは誰の話に耳を傾けるのかということ。
ここを間違えると悲劇が起こる。

ウクライナと中国の出来事について筑波大学名誉教授の遠藤誉氏がいつも重要な情報を提供される。
遠藤氏が示す見解は多数派の見解ではない。多くの場合が少数見解である。しかし、真実を正確に捉えていることが多いと思われる。
その遠藤氏が新著を公刊された。


『習近平が狙う「米一極から多極化へ」』(ビジネス社)
  https://x.gd/LKBF8 


日本の大半のメディアは中国に対する悪意を隠さない。中国の習近平総書記について批判的な論評しかしない
遠藤氏は異なる。習近平氏の本質に肉薄する。習近平氏を正確に理解するには歴史的経緯を辿ることが必要不可欠だ。

習近平氏は中華人民共和国最高幹部の一人であった習仲勲氏の子息。
高級官僚の子息を「太子党」と表現することがあるが習近平氏も分類上は太子党人脈に組み入れられる。しかし、習仲勲氏の生涯は平坦なものではなかった。
1934年から36年にかけて毛沢東の紅軍は蒋介石の紅軍討伐により行き場を失った。
最後に行き着いたのが習仲勲氏の創設した西北革命根拠地。
このとき、「習仲勲が創設した西北根拠地が残されていなければ中華人民共和国は誕生していない」と遠藤氏は指摘する。

毛沢東氏は習仲勲氏を自分の後継者の一人にしようと重用した。
これを嫌悪したのが鄧小平氏で、鄧小平は習仲勲とともに毛沢東が重用した高崗(こうこう)を自殺に追い込み、習仲勲を冤罪で失脚させた。
習仲勲氏はそのために16年間も牢獄や軟禁生活を強いられた。
親の仇を討つ決意で国家のトップに立ったのが習近平氏である。
このことは遠藤氏の先著『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社) https://x.gd/2S4G5 に詳しい。

日本のメディアは中国が覇権主義であり、独裁主義、膨張主義で戦争を引き起こすとしか伝えないが、習近平の行動哲学をまったく洞察していない。
中国の実相を知るためには遠藤氏の著作に触れることが必須である。
習近平の行動哲学を読み解くキーワードは「兵不血刃」である。
(後 略)