マイナカード問題は、システムの全体を見通した上でミスが起きないように具体的段取りを定める能力のないリーダーが財界の要求に応えようと功を焦った結果であって、一からやり直さないことにはミス(トラブル)の根絶はできないと言われています。
いまとなっては体面上も費用上もそれが出来ないというのであれば、「ミスが皆無」になるまで十分な時間を取って見直すしかなく、無理な期限を決めて保険証を廃止するなどは言語道断です。また無理な期限を設けて自治体や保険関連機関にミスのチェックを要求してもミスの「完全な解消」は土台無理です。
どうしても保険証を廃止したいというのであれば、まずはその期限を延長するしかありません。そうしたごく当たり前の対応が出来ないのは何故でしょうか。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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来秋 保険証廃止 道理なさ浮き彫り 存続がもっとも確実 参院特 マイナ閉会中審査
しんぶん赤旗 2023年7月28日
26日に行われた参院地方創生デジタル特別委員会の閉会中審査では、現行の健康保険証の来年秋の廃止とマイナンバーカードへの一本化に固執する岸田政権の道理のなさが改めて浮き彫りになりました。
開き直る河野氏
来年秋に現行の保険証を廃止する政府の方針には、世論調査でも7割超の国民が延期か撤回を求め、自民党からも延期論が出ています。今回の閉会中審査でも自民党の山田太郎議員が「期限ありきではなく、丁寧に国民からの理解を得るべきではないか」と主張しました。
一方、河野太郎デジタル相は、「わが国の医療DX(=デジタル変革)は待ったなしだ。カードに保険証を統一した後も、安心して保険医療を受けていただけるという広報をきちんとやり、心配や懸念を払拭したい」などと開き直りました。
政府の個人情報保護委員会は、マイナンバーのトラブルを巡るデジタル庁への立ち入り検査は「事務方に対して行う」ものだとして、河野氏への聴取などは行わない意向を示唆。立憲民主党の杉尾秀哉議員は「本気度が問われている」と批判しました。
カードの現状は
質疑ではマイナンバーカードの現状も改めて明らかになりました。
厚生労働省の伊原和人保険局長は、保険資格を確かめるオンライン資格確認のうちマイナンバーカードによるものは、いまだ6%前後にすぎず、直近では、5月の約853万件から6月の約849万件へと減少していることを明らかにしました。
杉尾氏は「ほとんどの人が保険証を使っており、マイナ保険証は使われてない。その理由の一つにはトラブルの問題がある。こんな状況で、あと1年で保険証の廃止ができるのか」と追及しました。
政府が「マイナ保険証」を持たない人に交付するとしている「資格確認書」については、与党からも「資格確認書と保険証は機能的にはほぼ同等だ。結果的に職権で交付するのなら現在の仕組みと全く変わらないのではないかという意見もある」(公明党の上田勇議員)との指摘が。伊原局長は「いずれも同じような効果を有するが、資格確認書は原則本人の申請に基づき交付するものだ」などと答えました。
日本共産党の伊藤岳議員は「保険医療をすべての人が受けられるようにするためには、保険証を残すことがもっとも確実で一番簡素な方法だ」と指摘。「財界優先で、社会保障削減、国民負担増に突き進むマイナンバーカード暴走は止めるべきだ」と求めました。