2023年7月12日水曜日

マイナ保険証を登録していなくとも、病歴や投薬歴が丸裸にされる(田中龍作氏)

 マイナ保険証を拒否して登録していなくても、マイナカードをかざして暗証番号を打ち込めば、ポータルサイトで、その人の病歴や投薬歴が読めることを11日、立民党の対政府ヒアリングで長妻昭元厚労相が明らかにしました。田中龍作ジャーナルが伝えました。
 田中氏はまた個人情報保護委員会がデジタル庁に査察に入ることについて、他ならぬ河野デジタル担当相が個人情報保護委員会の所管大臣なのでデジタル庁に査察が入りご政道が正される」のは望み薄だと述べました。
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マイナ保険証を登録していなくとも、病歴や投薬歴が丸裸にされる 
                    田中龍作ジャーナル 2023年7月11日


紙の保険証廃止を問うシール投票。「賛成」は誰一人としていなかった。=新宿 撮影:田中龍作=



 私たち一人ひとりの個人情報はここまで無防備だったのか。衝撃の事実が明らかになった―
 マイナ保険証を拒否して登録していなくても、マイナカードをかざして暗証番号を打ち込めば、ポータルサイトで、その人の病歴や投薬歴が読める、というのだ。 
 今日11日、立憲民主党の対政府ヒアリングで長妻昭元厚労相が明らかにした。
 マイナカードと暗証番号が盗まれた場合、他人に知られたくない病歴や投薬歴が丸裸にされる。
 総務省マイナンバー制度支援室の小牧兼太郎室長は「24時間で電話対応している」と答えた。
 役人答弁である。世の中そんなに単純ではない。
 クレジットカードの被害に喩えると分かりやすい。一般社団法人・日本クレジット協会によると「被害者の54.2%がクレジット会社から知らされて初めて気づいた」という。
 カードそのものが盗まれなくてもスキミングされれば、盗まれたも同様である。被害総額は330億円にのぼる(2020年=同協会まとめ)。

 個人情報保護委員会がデジタル庁に査察へ」。大見出しが全国紙の一面に踊った。
 期待を寄せた向きも多いのではないだろうか。11日のヒアリングでは個人情報保護委員会からも事情を聴いた。
 答弁を聞き、何か肩透かしに遭ったような気分になった。それもそのはず。河野デジタル担当相が個人情報保護委員会の所管大臣なのである。
 個人情報保護委員会の片岡参事官は「立ち入り検査を検討中。我々としても速やかにやりたい」と意欲を見せたものの、「論理的には(立ち入り検査を)しない可能性もある。最終的には委員会で決める」と逃げた。
 河野大臣にも立ち入り検査をするか?と野党議員が質問した。個人情報保護委員会の役人は「法の下の平等に基づいて特定のターゲットにすることはない」と半ば否定した。
 混乱のデジタル庁に独立委員会の査察が入り、ご政道が正される、という期待は望み薄のようだ。
             ~終わり~