2023年7月26日水曜日

26- 米政府が半導体戦争でも計算間違い/ゼレンスキーはM I-6指揮の下(櫻井ジャーナル)

 バイデン政権は、今後A I(人工知能)の開発に必要な高度なチップを中国が入手出来なくするために中国に対し半導体取引を規制する攻撃を始めました(ニューヨーク・タイムズ紙はこの政策を「戦争行為」と呼んでいます)。かつてのCHINCOM(対中国輸出統制委員会)現で、日本中国に対する「制裁」に加わる筈なので、直ちに日本の自動車産業が打撃を受けることになります。

 しかし櫻井ジャーナルは、高度なチップを製造するために必要なガリウムとゲルマニウムは中国が世界市場約95%生産しているので、この戦法には大きな問題があると述べています。それだけでなく米国には労働者のレベルなどの点でも問題があると指摘したいます。
 米国は、これまで日本や欧州が困窮しても構わないという立場を貫いてきましたが、そうした独善的なやり方は改めるべきでしょう。
 櫻井ジャーナルの記事:「ウクライナで致命的な計算間違いを犯した米政府が半導体でも計算間違い」を紹介します。
 併せて同氏による記事:「スコット・リッターがゼレンスキーは英国情報機関の命令で動いていると指摘」を紹介します。
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ウクライナで致命的な計算間違いを犯した米政府が半導体でも計算間違い
                         櫻井ジャーナル 2023.07.26
 ジョー・バイデン政権は半導体取引を規制するという形で中国に対する攻撃を始めた。その先にはAI(人工知能)の問題がある。アメリカはAIが覇権の鍵を握ると考え、AIの開発に必要な高度なチップを中国が手に入れられなくしようとしているのだ。この政策をニューヨーク・タイムズ紙は「戦争行為」と呼んでいる。かつてアメリカを中心とする資本主義国は共産主義国への輸出を統制するためにCOCOM(対共産圏輸出統制委員会)を発足させたが、その戦法を再び使おうというわけだ。
 しかし、この戦法には大きな問題がある。高度なチップを製造するために必要が原料の調達を含め、他の取引はこれまで通り機能することが前提になっているのだ。中国やロシアからの反撃を想定しているとは思えないのだが、すでに中国は8月からガリウムとゲルマニウムを輸出する際に特別なライセンスが必要になると発表している。このふたつの金属はコンピューター・チップの製造に必要だ。世界市場で流通している約95%は中国が生産している
 日本はアメリカの命令に従い、中国に対する「制裁」に加わるようだが、アメリカが仕掛けた半導体戦争によって日本の自動車産業が打撃を受ける可能性が高い。現在の自動車はチップへの依存度が高いからだ。

 EUの製造業はロシアから低コストの天然ガスを購入することで成立していた。必然的にEUとロシアの関係が強まったのだが、これはアメリカの支配層にとって脅威。1992年に始めた政界制覇プロジェクトも破綻してしまう。そこで2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行した。EUからエネルギーを含む資源の供給源を奪い、ロシアから巨大なマーケットを奪おうということだ。
 しかし、ロシアはこうした展開に備えて準備していたので大きな打撃は受けなかったのだが、高いコストのエネルギー資源をアメリカから買わなければならなくなったEUは壊滅的なダメージを受けている。
 そこでアメリカはドイツなどの製造業に対し、アメリカへ拠点を移動させるよう誘っている。世界最大の半導体メーカーである台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)の場合、バイデン政権は工場をアリゾナに建設することを認めさせた。2024年に稼働するとされていたが、アリゾナ工場での先端マイクロプロセッサーの生産開始は2025年になるとTSMCは7月20日に発表した。
 TSMCは2004年に中国本土で生産を開始、同社としては中国本土での活動を縮小するつもりはないようで、バイデン政権と対立していると言われている

 2011年2月、バラク・オバマ大統領はシリコン・バレーの幹部たちと食事をともにした際、アップルのスティーブン・ジョブスに対し、同社のiPhoneをアメリカで生産しないかともちかけたのだが、拒否されている
 ジョブスによると、アジアでは生産規模を柔軟に変更でき、供給ラインが充実、労働者の技術水準が高いという理由からだという。アップル側の推計によると、iPhoneを生産するためには約20万人の組立工と約8700人のエンジニアが必要で、それだけの陣容をアメリカで集めるためには9カ月が必要だが、中国なら15日ですむという。
 アメリカには教育の問題もある。最高レベルの教育は維持されているものの、生産現場で必要な中間レベルの技術を持つ人を育成してこなかったのだ。これが致命的になっていると指摘されている。日本でも技術系学生のレベルが落ちているようで、企業は中国やインドの学生に目をつけていた。
 支配者は非支配者を管理するために思考力を奪う。非支配者の中に現れる優秀な人間は教育するが、授業料を高額にすることで債務奴隷化して逆らえなくしている。実際、COVID-19問題で医師や弁護士が声を上げられない一因はそこにある。日本でも1970年代からそうした政策が推進されてきた。アメリカは研究者やエンジニアも工場と一緒に乗っ取ろうとしているようだ。

 別の問題もある。中国やロシアに高度なチップを生産する能力がないわけでもない。軍事分野では独自のチップを製造していると言われ、その気になればいつでも民生用の製品を作ることができる。


スコット・リッターがゼレンスキーは英国情報機関の命令で動いていると指摘
                         櫻井ジャーナル 2023.07.25
 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はイギリスの対外情報機関MI-6の命令で動いているとスコット・リッターは自身が作成した2部構成のドキュメント「エージェント、ゼレンスキー」の中で指摘した。(パート1、​パート2)リッターはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官だ。調査にはフランスの元情報機関員エリック・デネーゼが協力している。
 2020年10月14日にゼレンスキーはイギリスを訪問したが、その際にMI-6のリチャード・ムーアからゼレンスキーの周辺にロシアのスパイがいて情報が漏れていると警告されたと伝えられていた。その後、ゼレンスキーの身辺警護はすべて英国に引き継がれたという。同時にウクライナのすべての反対派報道機関は、イギリスの命令で検閲され、活動できなくなった。ゼレンスキーはMI-6の長官に操られているということだ。

 ウクライナは2013年11月から14年2月にかけてのクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領が排除され、ネオ・ナチが街を跋扈する反ロシア体制になった。そこでヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部では住民がクーデターを拒否、南部のクリミアはロシアと一体化し、東部のドンバスでは内戦が始まる。そのほかの地域でも人びとはネオ・ナチが支配する体制を嫌っていた。
 そうした中、2015年11月に下ネタを得意とするコメディアンだったゼレンスキーを主役とするテレビ番組『人民のしもべ』が始まり、人気になる。このドラマは教師がウクライナの指導者というもので、国民が望む大統領に即したイメージをゼレンスキーにつけた。そのイメージが功を奏し、2019年の3月から4月にかけて実施された大統領選挙で圧勝する。番組は選挙の直前まで続いた
 しかし、当選後、彼はそうしたイメージとは反対の政策、つまりネオコンの手先として活動していたネオ・ナチが望む政策を始める。ゼレンスキーはMI-6やCIAが書いた台本に従って演じるコメディアンだとも言える

 ゼレンスキーの政策は西側の巨大資本の制圧された他の国々と同じように、そうした巨大資本へ国の資産を叩き売る。その報酬は多額で、財産が膨らんでいった。複数のオフショア(⇒海外)市場の口座を持ち、欧米やイスラエルなどに高級住宅を保有することになる
 ソ連時代、ウクライナには造船、エレクトロニクス、ロケット、化学工業、冶金などの産業があり、少なからぬ大学など研究施設もあった。また膨大な農地をアメリカのアグリビジネスに売却、最近では未開発のレアアースが注目されている。
 シティを拠点とするイギリスの支配層、つまり金融資本は19世紀からロシアの征服を計画、そこに新興国家のドイツを潰すと言う目的が加わり、第1次世界大戦につながった。この戦略を実行する上で重要な役割を果たしたのがイギリスと関係の深い有力貴族、ユスポフ家だ。
            (後 略)