2013年12月12日木曜日

今度は愛国心 安倍政権

 政府・与党は11日、中長期的な指針となる国家安全保障戦略、国民の愛国心を養うことを盛り込む方針を明らかにしました。そのことで、尖閣諸島をめぐる日中対立などを踏まえて、政府が近々にも策定しようとしている安全保障政策を支える基盤強化を図りたいということです。
 
 国を愛する気持ちは自然発生的に生まれるものであって、政府が特定のイデオロギー押し付けることなどはあってはならないことです。まして尖閣諸島問題をいい機会にして、安倍政権が目指そうとしている右傾化を支持させる手段にするなどということは許されません。
 
 安倍首相は4月にも、現在の教科書検定基準に「愛国心」が盛り込まれていないとして検定制度を見直す考えを示し自治体教科書の採択についてもチェックしていく考えを示しました。
 いま問題になっている、文科省による沖縄県八重山地区の中学校公民教科書選定への干渉は、その一環です。
 
 国民の愛国心をどのように「養おう」としているのかは分かりませんが、それならTPP交渉で国益をないがしろにしてアメリカに追従している安倍氏や政権のメンバーには、愛国心はあるのでしょうか。真の自立を勝ち取ろうとする気概(=愛国心)はあるのでしょうか。
 
 安倍氏はかつて小泉政権の官房長官として郵政民営化を推進しましたが、民営化の法案は竹中担当大臣が、密かにアメリカの要人と18回にもわたる秘密会合を行って作り上げたものでした。そこには愛国心はあったのでしょうか。
 
 大江健三郎氏は、9日に行われた安倍晋三首相の記者会見について
 「朗々としゃべりたてる姿に驚いた。(秘密保護法を強行成立させた)政治の責任者が今できる態度ではない」
 と批判しました。さすがはノーベル賞作家、鋭い人物批判です。
 
 安倍首相は国民に愛国心を説く前に、先ず自らが愛国者かどうかを真剣に考えてみる必要があります。 
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安保戦略に「愛国心」=安倍色前面と野党警戒
時事通信 2013年12月11日
 政府・与党は11日、外交・安全保障政策の中長期的な指針となる国家安全保障戦略で、国民の愛国心を養う方針を打ち出すことを決めた。沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立などを踏まえ、政府の安全保障政策を支える「社会的基盤の強化」の一環と位置付ける。野党からは「政府がイデオロギー的なことを押し付けるのはどうか」(民主党の閣僚経験者)との反発が出ている。
 
 自民、公明両党の安全保障に関するプロジェクトチームは11日、同戦略の概要に「国と郷土を愛する心を養う」との表現を盛り込むことを了承した。政府の原案は「国を愛する心を育む」としていたが、公明党から表現を和らげるよう注文が付き、安倍晋三首相が第1次政権で成立させた改正教育基本法の「国と郷土を愛する態度を養う」との表現に倣うことにした。
 同戦略は「国民一人ひとりが国家安全保障の重要性を深く認識することが不可欠」と、国民意識の啓発の重要性も指摘する。これに関し、官邸関係者は「国を愛する気持ちがないと国を守ることはできない。当然のことを書いた」と説明。戦略策定に関わる政府の有識者会議の一人も「これくらいの書き方なら『正しい愛国心』と読めるので問題ない」と語った。
 実際、政府が防衛政策の基礎として1957年に閣議決定した「国防の基本方針」は、「愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する」とうたっている。政府には、国防体制の強化には、国民の「愛国」意識の高揚が欠かせないとの判断がある。
 
 国家戦略に愛国心を盛り込むことに対し、野党は保守的色彩が濃い「安倍カラー」を強める動きと捉え、警戒している。民主党の別の閣僚経験者は「右傾化以前の問題だ」と批判。社民党の吉田忠智党首も記者会見で「日本の右傾化の状況を暗示しており、大変危惧している」と語った。