2013年12月19日木曜日

戦力の行使を目指し解釈改憲を加速+

 秘密保護法の成立を果たした安倍首相は17日、首相官邸で「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」(座長=柳井俊二・元駐米大使)を開き、その場で国連決議に基づく多国籍軍への協力活動により積極的に参加できるよう憲法解釈や法律を見直すことと、個別的自衛権だけでを守れないので集団的自衛権の行使に向けて憲法解釈見直すことの必要性を強調したということです。
 
 多国籍軍への協力活動集団的自衛権の行使は、いずれもこれまでの内閣は憲法上の制約があるということで、認めてこなかったものです。
 それをたまたま首相の座についた人間が、彼の一内閣で覆そうとするのは大変に問題です。しかも、それをカムフラージュするために「有識者会議」に答申させようというのは、狡猾というしかありません。
 
 そもそも安保法制懇は首相の私的懇談会で、首相と基本的に意見が一致している人たちがメンバーになっているので、首相が要求すれば基本的にその線に沿った内容の答申が行われます。事実、安保法制懇の北岡座長代理は一貫してその布石を行っています。(そしてなぜかNHKは、かなり早い段階で北岡氏へのインタビューを終了しています。)
 
 安倍氏はいま何か有頂天になっているように見えます。
 確かに小選挙区制のために自民党は議席の過半数を占めましたが、支持者の対有権者比は低いものであること、そしてその支持は解釈改憲のフリーハンドまで含めて与えたものではないことを、良く考えるべきです。
 
 以下に読売新聞と産経新聞の記事を紹介します。(NHKニュースを追記)
 
 (関連記事)
    2013年10月22日首相が結論ありきの私的諮問機関を多用
 
    2013年11月15日私的懇談会が集団的自衛権の行使容認を報告書に
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安保法制懇、戦略実現へ憲法解釈の見直し加速
読売新聞 2013年12月18
 政府は17日、今後10年程度の外交・安全保障戦略の指針となる初の国家安全保障戦略と同戦略に基づく「防衛計画の大綱(防衛大綱)」、来年度から5年間の「中期防衛力整備計画」(中期防)を閣議決定した。
 政府は、続いて有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」(座長=柳井俊二・元駐米大使)を首相官邸で開き、戦略実現に向け、憲法解釈の見直しを加速した。
 
 安保法制懇は、国連平和維持活動(PKO)での武器使用などを巡る憲法解釈を見直すべきだとの意見で一致した。来春、安倍首相に報告書を提出する予定で、政府は報告書を受けて新たな憲法解釈を本格的に検討し、通常国会終了後の夏の閣議決定を目指す。
 
 首相は安保法制懇で、国連の集団安全保障措置について「今まで以上に積極的に国際秩序を支えるべきではないか」などと問題提起し、国連決議に基づく多国籍軍への協力活動に、より積極的に参加できるよう憲法解釈や法律を見直すことに強い意欲を示した。また、「日本が個別的自衛権だけで国民の生存を守り、国家の存立を全うできるのか」とも述べ、集団的自衛権の行使を巡る憲法解釈見直しが必要との認識を強調した。
 
 
自民党憲法改正推進本部、国民投票法改正の与党案を了承
産経新聞 2013年12月18日
 自民党憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)は18日の総会で、国民投票法改正の与党案を了承した。与党案は国民投票年齢を当面20歳以上に据え置き、法施行から4年後に自動的に18歳以上に引き下げる内容。
 船田元・本部長代行は総会後、野党側の同意が得られない場合でも「来年の通常国会に提出、成立させたい」と述べた。
 

首相 憲法改正で維新などとも連携
NHK NEWS WEB 2013年12月18日
安倍総理大臣は、日本維新の会の石原共同代表と総理大臣官邸で会談し、憲法改正について、維新の会など改正を掲げる各党と連携して実現を目指す考えを示しました。
会談は安倍総理大臣の呼びかけで行われ、日本維新の会の平沼国会議員団代表も同席し、1時間余りにわたって行われました。
この中で維新の会の石原、平沼両氏は、「維新の会は、是々非々の姿勢で、安倍政権に協力できるところは協力する。お互い憲法改正を掲げる政党なので、憲法改正の問題については協力してやっていきたい」と述べました。
平沼氏によりますと、これに対して安倍総理大臣は、「憲法改正は、しっかり時間をかけてやっていかなければならない」と述べ、維新の会など憲法の改正を掲げる各党と連携して実現を目指す考えを示しました。
また、会談で石原氏は、中国が東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことなどを踏まえ、安倍総理大臣に「日本の安全と平和を守るよう取り組んでほしい」という考えを伝えました。