2013年12月29日日曜日

NHKは政権に擦り寄り、メディア幹部は首相と会食

 NHKは今度の安倍首相の靖国参拝に関しても、ひたすら安倍氏の擁護に走り、彼の言い分だけを伝えるという態度を徹底しました。
 直接言葉で肯定したり持ち上げるということこそしないものの、細心の配慮のもとに、報じることと報じないことを峻別してさりげなく報じるので、何気なく視聴する人たちを「洗脳」する効果はその分大きいといえます。
 
 そして安倍首相12月、内閣支持率の低下と歩調を合わせるようにマスメディア幹部との会食やしています。秘密保護法の強行や靖国神社参拝などで国民や多くのメディアから強い批判が起きるなか、メディア対策に躍起になっているわけです。
 靖国神社参拝をした26日夜にも、ANAインターコンチネンタルホテル東京内の日本料理店で報道各社の政治部長らと会食しました。
 16日にも山王パークタワー内の中国料理店でNHK解説委員、「読売」論説委員長、日本テレビ報道局長、時事通信解説委員、「毎日」専門編集委員、「朝日」政治部長らと会食したばかりです。
 
 その他にも、当然メディア・トップ会食するなど、マスメディアのトップスや幹部との癒着ぶりは相変わらずです。
 
 しんぶん赤旗の二つの記事を紹介します。
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おかしいぞ NHK報道 靖国の性格・歴史伝えず
しんぶん赤旗 2013年12月29日
 安倍晋三首相の靖国参拝をめぐるNHK報道に批判が殺到しています。過去の侵略戦争を美化・正当化する靖国神社の問題点にはほとんど触れずに、安倍首相のインタビューをそのまま伝え続けたからです。安倍首相が参拝した26日と、翌27日の「ニュース7」「ニュースウオッチ9」の報道内容を見ると―。
 
タイミングばかり
 「二度と再び戦争の惨禍によって人々の苦しむことのない時代をつくるとの決意を込めて『不戦の誓い』をした」「戦犯を崇拝する行為だと誤解に基づく批判がある」「中国、韓国の人々の気持ちを傷つける考えは毛頭ない」(26日、首相)
 「ニュース7」「ニュースウオッチ9」は、26日のそれぞれトップニュースで安倍首相の靖国参拝を報道しましたが、中身は安倍首相のこうした言葉をそのまま流すのが中心でした。
 政治記者の解説は「どうして、このタイミングか」という参拝時期に焦点を当てたものばかり。
 首相の靖国参拝を視聴者が考える上で不可欠のはずの、「靖国神社に参拝することが、なぜ問題なのか」「神社の歴史や性格はどういうものなのか」「アジア・太平洋戦争を推進したA級戦犯(東条英機元首相ら14人)を合祀(ごうし)している問題をどう考えるのか」―などの事実には、まったくというほど触れませんでした。
 両ニュース番組は、靖国報道の多くの時間を割いて中国、韓国、アメリカなど諸外国の反応を報道しましたが、日本自身の深刻な“歴史認識の問題”として向き合うのではなく、あたかも外国が批判するから政治問題化するのだと言わんばかり。
 
権力監視できない
 26日「ニュース7」は、日本共産党の志位和夫委員長の「歴史逆行の本性があらわになった。第2次世界大戦後の国際秩序に対する挑戦であり、アメリカも含めて支持されない。世界全体を敵に回すことになる」とのコメントを伝えたものの、同日の「ニュースウオッチ9」はこのコメントをカット。靖国神社の性格についても「幕末から太平洋戦争までに戦死した軍人や民間人など246万人余がまつられる」などと説明し、A級戦犯合祀の事実にさえ触れませんでした。
 翌27日の「ニュース7」「ニュースウオッチ9」は、諸外国からの批判の高まりに対し安倍首相が「戦場で散っていった方々のために冥福を祈り、手を合わす。世界共通のリーダーの姿勢だろう」(27日)と居直ったコメントを無批判に、そのまま報道しました。
 首相や政府の見解を無批判に報道するだけでは、国民の知る権利に応え、政治権力を監視するジャーナリズムの役割を発揮することはできません。
 安倍政権は今、侵略戦争に無反省なまま、軍事大国化への道をひた走ろうとしています。しかし、NHKの靖国報道を見る限り、こうした事実を積み重ねることで危険な動きに迫る報道姿勢はうかがえません。(佐藤高志)
 
 
安倍首相、メディア対策躍起 “批判封じ”へあの手この手
しんぶん赤旗 2013年12月29日
 安倍晋三首相と新聞・テレビなどマスメディア幹部との会食が12月、内閣支持率の低下と歩調を合わせるように増えています。秘密保護法の強行や靖国神社参拝、沖縄への米軍新基地押しつけなどで国民や多くのメディアから強い批判が起きるなか、安倍首相がメディア対策に躍起になっている姿が浮かびあがります。
 
来年度予算65億円 新聞・テレビ局幹部と次々会食
 首相は靖国神社参拝後の26日夜、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京内の日本料理店「雲海」で報道各社の政治部長らと会食しました。
 わずか10日前(16日)、東京・永田町の山王パークタワー内の中国料理店「溜池山王聘珍樓(へいちんろう)」でNHK解説委員、「読売」論説委員長、日本テレビ報道局長、時事通信解説委員、「毎日」専門編集委員、「朝日」政治部長らと会食したばかりです。
 
 「読売」グループの渡辺恒雄会長・主筆とも12月中に2度も会食。20日には、東京・新宿区のフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で「産経」の清原武彦会長、熊坂隆光社長らと会食するなどメディア・トップとの癒着も相変わらずです。
 安倍首相は会食以外でも、「読売」東京本社ビルの新社屋竣工(しゅんこう)式典(11月28日)や5日に東京・虎ノ門のホテルオークラの宴会場で「日経」、テレビ東京など主催の「年末エコノミスト懇親会」に足を運ぶなど、マスメディア幹部との接触も強めています。
 
 NHK経営委員人事では、安倍首相と思想的に近いとされる人物など4人を送り込み、「安倍カラー」を色濃く打ち出しました。これと前後して、秘密保護法や靖国参拝、沖縄新基地問題などでのNHKの報道には「安倍政権の報道官のようだ」との批判が相次いでいます。
 また、「官邸主導による広報の強化」と称してメディア対策を強める政府は2014年度予算案で前年度比21億円増の65億円を計上。「主要な広報テーマ」としてアベノミクス、消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)、エネルギー問題、安全保障などを予定しています。税金を注ぎ込み、原発推進や秘密保護法の世論誘導も狙っています。