2013年12月18日水曜日

ブラック企業疑惑 4189事業所で法令違反 厚労省是正勧告

 過酷な労働を強いる「ブラック企業」の疑いがある企業に対して、9月から行われた厚生労働省の立ち入り調査の結果、全体の82%に当たる4189の企業・事業所で違法な時間外労働など労働基準関係法令の違反がありました。
 残業や休日出勤の時間が過労死の認定基準の一つである月100時間を超えたものは730事業所に上り、違法な過重労働の事業所がまん延している実態が裏付けられました。
 
 厚労省は違反があった企業に是正勧告をしており、改善が見られない場合は所管の労働基準監督署が労働基準法違反容疑などで送検、社名を公表する方針ということです
 
 この種の全国調査は初めてで、ブラック企業の酷い実態が明らかにされました。
 今回の調査と是正勧告により、「違法な時間外労働」や「名ばかり管理職」にされて「賃金不払いの残業」をさせられるなどしてきた従業員たちの苦境が改善されることになれば、厚労省の久々のヒットになります。
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「ブラック企業」の疑い…4189事業所で法令違反 是正勧告
産経ビズ2013.12.17 13:08   
 長時間労働などで若者を使い捨てにする「ブラック企業」の疑いがある事業所について、厚生労働省は17日、集中的に立ち入り調査した結果、約8割にあたる4189事業所で違反があり、是正勧告したと発表した。
 
 社員の約7割を管理職にして残業代を支払わなかった例や、ノルマ未達成を理由に基本給を減額するなどの悪質なケースもあった。是正に従わない場合は送検し、企業名を公表する方針。
 集中調査は今年9月に実施。全国の労働基準監督署が同月1日に行った電話相談への情報をもとに、若者の離職率が高い企業など計5111事業所を立ち入り調査した。
 その結果、全体の43・8%にあたる2241事業所で「違法な時間外労働(長時間労働)」があり、23・9%にあたる1221事業所で「残業代の不払い」が見つかるなど、82%の事業所で労働基準関係法令への違反があった。
 長時間労働が指摘された事業所のうち、過労死などの労災認定基準となる80時間以上の時間外労働があったのは1230事業所。うち100時間を超えたのは730事業所あった。
 
 業種別では、長時間労働は「運輸交通業」で最も多く、調査した事業所の56・8%で違反が発覚。さらに「接客娯楽業」(52%)、「教育・研究業」(44・2%)の順で多かった。
 残業代の不払いは「建設業」と「接客娯楽業」がともに37%で最多。規模別では従業員10~29人の企業が33・6%で最も多く、小規模な企業ほど違反が多かった。
 悪質なケースでは、20代を含む社員の約7割に係長などの役職を与えて残業代を支払わない「名ばかり管理職」が横行していた会社や、商品売り上げノルマを達成できなかったことを理由に基本給をカットする制度を設けていた企業もあった。
 
 また、パート社員に月170時間の時間外労働をさせたり、月80時間分の残業代を支払わず手当として3万円を支給するだけの会社もあった。      
 
ブラック企業
 明確な定義はないが、社員を低賃金で働かせ、長時間労働や過剰なノルマ、パワーハラスメント(パワハラ)などを繰り返す企業を指す。2008(平成20)年のリーマン・ショックなどで就職難が深刻化したことが背景にあり、インターネットを中心に広く知られるようになった。労働環境の過酷さから社員の離職率が高く、残業代不払いなど労働法に違反する事例も多いとされる。