ノーベル賞を受賞した益川敏英氏や白川英樹氏などの研究者たちが発した特定秘密保護法案の廃案を求める声明には、これまでに国内外の2,000人以上の研究者から賛同が寄せられたということです。研究者の代表が3日それを公表し、「戦後最大の民主主義の危機だ」として改めて廃案を訴えました。
象牙の塔の住人たちが、ここまで危機感をあらわにして法案の廃案を主張するのは珍しいことです。
映画人269人も3日、「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」を結成し、法案の内容や拙速な国会審議を批判する声明を発表しました。
北海道新聞が11月30日、12月1日の両日に行った全道世論調査では、法案に反対が65%に達し、賛成の26%を大きく上回りました。
今国会で成立させるべきかについては、「今国会にこだわらず、慎重に議論すべきだ」が70%、「廃案にすべきだ」が18%で、「今国会で成立させるべきだ」は12%にとどまりました。
少し前に行った朝日新聞の世論調査よりも、民意は更に強く反対に傾いています。
2日、3日、特定秘密保護法案に反対する行動が各地で行われました。電子版新聞記事の見出しで分かった範囲でも下記の通りです。
国会前の抗議行動には1500人が参加しました。
千葉市では500人、沖縄県那覇市では450人、鳥取市では100人が街頭での抗議行動を行いました。
三重県津市(県都)では、3日・4日の連続で特定秘密保護法案反対行動が行われます。
また盛岡市では2日、反TPPの集会に800人が参加しました。
一方、自民党の石破幹事長は3日、こうして各方面から発されている必死の反対の声や民意には何の関心も示さず、秘密保護法案法案を会期内で成立させる意思には全く変更はない、と述べました。驚くべき感覚です。
彼の「うるさいデモはテロ」の発言は、秘密保護法案が何を秘密・禁忌・処罰の対象にしているのかを、極めて端的に表したものでした。
3日付の社説の題名で、石破氏の発言に触れたものだけでも下記のとおりです。
秘密保護法案―石破発言で本質あらわ 朝日新聞
石破発言はなぜ問題か 民主主義への理解欠く 毎日新聞
「テロ」と石破氏 デモの重み感じぬ鈍さ 東京新聞
【石破氏発言】 撤回しても不安は消えぬ 高知新聞
秘密保護法 石破氏の発言 法案の危険性さらした 信濃毎日新聞
石破氏発言 デモすればテロなのか 北海道新聞
しかしまだ本人には、その感覚が如何に危険なものであるのかの自覚はないようです。
異常な人たちの政権といえます。
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研究者ら2000人超が秘密法案廃案賛同
NHK NEWS WEB 2013年12月3日
特定秘密保護法案を廃案にするよう求めているノーベル賞受賞者などさまざまな研究者で作るグループは、これまでに国内外の2000人以上の研究者から賛同が寄せられたことを明らかにし、「戦後最大の民主主義の危機だ」として改めて廃案を訴えました。
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英氏やノーベル化学賞受賞者の白川英樹氏など、さまざまな分野の研究者で作るグループは、先月、特定秘密保護法案を廃案にするよう求める声明を発表しています。
グループは3日夕方、東京・千代田区で記者会見を行い、これまでに声明に賛同した研究者が国内外の大学教授ら2006人に上っていることを明らかにしました。
会見に出席した呼びかけ人の1人で、学習院大学の佐藤学教授は「われわれはこの法案が戦後最大の民主主義の危機だという認識で一致している。短期間でこれだけ多くの声が集まっていることを政府は重く受け止めてもらいたい」と訴えました。
また、同じく呼びかけ人で、専修大学の廣渡清吾教授は「法案は秘密の範囲が際限なく拡大するおそれがあり、政府の活動を研究できなくなることが、研究者として最も恐ろしいことだ」と話していました。
グループは今後も声明への賛同者を集め、法案が廃案になるよう働きかけを強めたいとしています。
秘密保護法案、映画人ら269人反対 吉永小百合さんも
朝日新聞 2013年12月3日
【織井優佳】高畑勲監督、降旗康男監督、山田洋次監督ら5氏が呼びかけ人となり、「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」が3日発足した。4日間で264人が賛同し、法案の内容や拙速な国会審議を批判する声明を発表した。
賛同したのは大林宣彦監督、宮崎駿監督、是枝裕和監督、井筒和幸監督、俳優の吉永小百合さん、大竹しのぶさん、脚本家の山田太一さん、ジェームス三木さんら。撮影監督や映画館主、評論家らのほか、映画ファン約60人も加わった。
声明は「心ならずも戦争に対する翼賛を押し付けられた映画界の先達の反省に立ち、日本映画界は戦後の歩みを開始しました」とした上で、「『知る権利』を奪い、『表現の自由』を脅かすことになりかねないこの法案は、とても容認することはできません」と反対を表明している。
呼びかけ人や賛同者の一部のメッセージも公表。高畑監督は「安倍政権を生み出してしまったのが他ならぬ私たち国民自身であることに愕然(がくぜん)とせざるをえません」、降旗監督は「戦前、戦中の日本に戻らないように、ねばり強く抵抗していくほかありません」と記した。原田眞人監督は「公聴会を公然とセレモニー化したやり方にも憤りをおぼえます」と書いた。
■日本映画監督協会なども声明
日本映画監督協会など各分野の著作者でつくる5団体は3日、特定秘密保護法案の廃案を求め、共同で緊急声明を出した。
声明を出したのは同協会と日本児童文学者協会、日本シナリオ作家協会、日本美術家連盟、日本脚本家連盟。声明は「私たち著作者は、かつて国家による言論弾圧により、尊い仲間の生命を失った歴史を決して忘れることはできません」などとして、廃案を求めている。
秘密保護法案反対65% 全道世論調査 「慎重審議を」70%
北海道新聞 2013年12月3日
国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案の衆院通過を受け、北海道新聞社が11月30日、12月1日の両日に全道世論調査を実施したところ、法案に反対が65%に達し、賛成の26%を大きく上回った。6日が会期末の今国会で成立させるべきかについては「今国会にこだわらず、慎重に議論すべきだ」が70%、「廃案にすべきだ」が18%で、「今国会で成立させるべきだ」は12%にとどまった。
世論調査では安倍内閣に対する支持・不支持も聞いたが、安倍内閣を支持する層でも同法案に反対が49%で、賛成の40%を上回った。法案の取り扱いについても「今国会で成立させるべきだ」は19%。「今国会にこだわらず、慎重に議論すべきだ」が73%、「廃案にすべきだ」が8%で、安倍内閣支持層でも今国会成立に否定的な意見が80%を超えた。
法案をめぐる国会審議で、森雅子内閣府特命担当相の答弁が二転三転するなど法案の問題点が明らかになり、安倍内閣支持層を含めて法案への懐疑的な見方と、慎重審議を求める声が広がったとみられる。自民党の石破茂幹事長が自身のブログで、法案反対派の市民のデモを「テロ」と同一視した問題も調査結果に影響した可能性もある。