2013年12月18日水曜日

「秘密保護法が成立しても大丈夫です」とは


 秘密保護法を強行成立させた政府への批判から内閣支持率が急落したことを苦にして、菅官房長官は16日の記者会見で、秘密保護法に関連して「全くありえないことが報道されている」として、「国の安全、国民の生命、財産を守る上で極めて重要な法であり、施行までにしっかり説明していきたい」と強調しました。
 
 また安倍首相は17日の自民党役員会で、議員が国民に説明するための参考資料を作成するよう小池百合子広報本部長に指示し「地元で丁寧に説明してほしい。『霞が関文学』ではなく、党として手を加えて分かりやすい資料を作ってもらいたい」と述べました。
 
 安倍首相は法案が成立したあと9日の記者会見でも、「秘密保護法によって国民の権利が奪われるようなことは決してない」ことを絶叫調で語り、それを一部実況中継したNHKは、わざわざその部分をアナウンサーが繰り返していました。
 総理大臣がそういう風に絶叫すれば国民は安心するとでも思ったのでしょうか。
 
 総理大臣が国民にどんなに甘言を弄したところで、法律が成立してしまえば後の祭りです。警察・検察はそんな発言などは歯牙にもかけずに、粛々と「法文に沿って」自由裁量を発揮するだけです。
 もともと警察・検察には自由裁量権があり、他からの指図や拘束を受けず自由に選択し考量することが認められています。その司法裁量権には唯一「法律の枠内で行使される」という拘束条件がついているのですが、特定秘密保護法には全部で36箇所の「その他」が盛り込まれていて、肝心の秘密事項の内容=処罰対象にはことごとく「その他」が付されています。
 
 要するに特定秘密保護法においてはもはや司法裁量を拘束するものは何もなく、警察・検察は自由自在に逮捕・処罰してよいのです。戦前に猛威を振るった治安維持法の再来といわれる所以です。官僚はそのことを明確に意図して法案を作り、政府与党はそっくりそのままの形で成立させました。
 
 『霞が関文学』そのものの法律を作っておきながら、それを修正するなり廃案にすることもしないで党の文書に手を加えて「この法律の下でも何も怖がることはないという資料を作って国民に配布せよ」というのは、まさに国民をだます犯罪行為です。
 
 註.いま猪瀬都知事が5000万円の「借用」問題で厳しい追及を受けていますが、徳州会からの賄賂を受けた政治家は数十人を下ることはなく、さらに高額の金額を賄賂を受領している大物も沢山いるといわれています。それにもかかわらず検察のリークによって猪瀬知事だけが標的にされることになったのがいわゆる『司法裁量』によるもので、立件しなくても辞職に追い込めば目的は達成されます。オリンピック招致に伴う利権構造から猪瀬知事を排除したいというどこかからの要請で、検察が政治的に動いた結果といわれています。
    小沢氏の政治資金規正法違反問題も全く同じ構造でした。小沢政権の樹立を阻止したい勢力が検察を動かし、検察のリークによってあらゆる報道機関(政党機関紙も含めて)が騒ぎ立てたので、小沢政権は阻止されました。しかし勿論小沢氏の場合は完全に無実だったので、さすがに処罰することはできずに無罪が確定しました。
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内閣支持率急落で菅長官 「秘密保護法が影響」「しっかり説明する」
産経新聞 2013年12月16日
 菅義偉官房長官は16日の記者会見で、報道各社の世論調査で内閣支持率が急落したことに関し、特定秘密保護法への国民の懸念が影響を与えたとの認識を示した。その上で「国の安全、国民の生命、財産を守る上で極めて重要な法であり、施行までにしっかり説明していきたい」と強調した。
 
 同時に、秘密保護法により、映画などの製作活動が制約されたり、米軍新型輸送機オスプレイを撮影してメールを送信したら逮捕されたりするとの報道があると指摘。「全くあり得ないことがテレビで放映されている。そうした報道が大きな影響を与えているのも事実だ」と述べた。
 
 
秘密保護法 「地元で丁寧に説明を」 首相が資料作成を指示
産経新聞 2013年12月17日
 安倍晋三首相は17日の自民党役員会で、機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法に関し、党所属議員が国民に説明するための参考資料を作成するよう小池百合子広報本部長に指示した。
 
 「地元で丁寧に説明してほしい。『霞が関文学』ではなく、党として手を加えて分かりやすい資料を作ってもらいたい」と述べた。
 
 年末年始は国会議員が地元会合で支持者らに国政について報告する機会が多く、内閣支持率急落の原因になっている秘密保護法への理解を求めるのが狙い。資料には安倍内閣の成長戦略など政策全般の見解も盛り込む方向だ。