2014年11月17日月曜日

日本は自国の求めるものが何か分かっているのか と人民網


 15日付の中国の新聞:人民網が「日本は自国の求めるものが何か、分かっているのだろうか?」と題する記事を載せました。「利益」の2文字こそが永遠の真理なのに、日本は一体何を考えているのかというのです。
 同記事は、日本がこれまでアメリカの意を重んじるあまり中韓を含む東アジアとの連帯を構築することを殆どして来なかったということを、特に難詰するというわけでもなく冷静に書き進めています。
 
 先に日中首脳間でまとめられた4項目の合意を岸田外相が早々に否定する発言をしたことを、心外であると評論は書き起こしています。
 因みにこの合意は下記のとおりです。
(1)双方は、日中間の4つの基本文書の諸原則と精神を遵守し、日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。 
(2)双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。 
(3)双方は、尖閣諸島など東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。 
(4)双方は、様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して、政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。
 
 人民網の別の記事も、同じように自民党の石破元幹事長がTV番組で「拘束されるものではない」と述べたことを取り上げて、合意は尊重されなければならないとたしなめています。
 
 そして2009年に鳩山内閣が打ち出した東アジア共同体の構想は、中韓など東アジア各国との協力を強める一方で、日米関係を再構築するというもので理に適っていたが、残念なことに米国の逆鱗に触れて首相の座を降りる羽目になったと述べ、それ以来日本と中国およびアジアとの距離は次第に離れて行き、いまではひたすらアメリカが強要するTPP構想が東アジア共同体の構想に取って代わり、米国の支配下に戻ってしまっている、としています。
 
 ところがそのTPPは「アジア太平洋におけるアメリカの経済競争力を維持するために不可欠」と考えて米国が強力に進めようとしているものであって、日本はいま食料安保の大本の農業分野で妥協しなければならない関係にあるとして、本当に自国の利益とは何かを理解しているのだろうか? と結んでいます。
 確かにアメリカの利益のためには何でも投げ出してきた日本の姿勢は、外国人から見れば定めし異常なことに違いありません。
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日本は自国の求めるものが何か、分かっているのだろうか?
人民網日本語版 2014年11月15日
 あまりにも簡単な問題だ
 近代国家の誕生以来、利益の最大化こそが、国家が生存していく上で最も必要なものとなった。友人であれ、敵であれ、そんなものはすぐに消えてしまう。「利益」の2文字こそが永遠の真理だ。では、日本は自国の利益とは何かを本当に理解しているのだろうか?
 
 さわやかに澄み渡った北京の「APECの青空」の下、安倍晋三首相はついに習近平主席と握手を交わし、各界から注目が集まった。しかし、握手した手の温度も冷め切らぬうちに、日本は態度をがらりと変えた。岸田文雄外相は記者会見で、中日の4つの共通認識について触れ、「釣魚島(日本名:尖閣諸島)に領土問題は存在しないという日本政府の立場に変化はない」、「(4つの共通認識に)法的拘束力はない、国際約束を伴うものではない」と言い放った
 これまで、国連安全保障理事会の常任理事国になって国際舞台における発言権を確保しようと努力してきた日本だが、気でも狂ったのだろうか?中国という隣国に対し、このような態度を貫き通し、あくまでも「右」を向き続けるつもりなのだろうか?
 
 ここ最近の日本の対中態度が軟化した原因については、様々なアナリストが分析したとおりだ。先細り状態の「アベノミクス」を見ても、中国の急速な発展に伴う経済成長の巨大なエネルギーを見ても、日本にとって輝ける道はどちらか、明白なはずだ。
 「中日首脳会談」の実現で、日本がそれをやっと理解したかのように見えた
 しかし、ここに来て、日本の外相の態度には疑問を禁じえない。アジア太平洋は今、世界でも経済発展が最も活発な地域であり、各国の目が注がれている。中でも中国は最も光り輝く真珠のような存在だ。しかし、同じアジアにいる日本は、なぜ中国を力いっぱい押しのけるような態度とるのだろう?
 
 少し前の日本は違った。2009年9月、民主党政権が誕生し、鳩山内閣が打ち出した東アジア共同体の構想は当時、日本の今後の発展方向となるかと思われた。すなわち、中韓など東アジア各国との協力を強める一方で、日米関係を再構築するというものだ。鳩山氏は、日本とアジアの発展、および東アジア共同体の実現には中国の力が不可欠であり、中日関係を強化すべきと信じていた。しかし残念なことに、中国との急接近および、普天間基地移転問題で米国にたてついたことなどが、米国「親分」の逆鱗に触れてしまった。圧力をかけられた鳩山氏は、首相の座を降りる羽目になった。
 
 それ以来、日本と中国およびアジアとの距離は次第に離れていった。中日韓を含む東アジア共同体の構想はTPPに取って代わり、日本は米国の懐に戻っていった。今や、中韓両国はすでに自由貿易協定(FTA)の締結で大筋合意に達している。韓国側の情報によると、年内の仮署名と来年初頭の本署名を経て、来年中の発効を目指すという。一方、日本はまだTPP交渉の最中にいる。
 米国は自国の求めるものが何かを良く分かっている。TPPは「アジア太平洋における米国の経済競争力を維持するために不可欠」であるため、オバマ大統領は全力で交渉を進めている。最近、オバマ氏は日本などに対し、「TPP交渉の行き詰まりを打開」するよう何度も訴えている。日本の抱えるプレッシャーは大きい。なぜなら、行き詰まりを打開するためには、日本は極めて敏感な問題である農業分野で妥協しなければならないからだ。
 
 日本は本当に自国の利益とは何かを分かっているのだろうか?もちろん、米国にどこまでも付いて行くことが日本の利益だと確信している人もいるのだろう。米国に付いて行けば、日本はいつまでも「右」に偏り続け、強大な日本を取り戻すことができると。
 実際は、様々な見方はあれど、世界第3の経済体である日本は、米国「親分」の傘の下から抜け出せないのだろう。
 自国の求めるものが何か、日本は分かっているのだろうか? この問題に答えるのは、思ったほど簡単ではない。(編集SN)