2014年11月27日木曜日

昨年の参院選は「違憲状態」 最高裁判決

 昨年月の参院選は一票の価値が不平等で憲法違反だとして、弁護士の二グループが選挙無効(やり直し)を求めた16件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は26日、違憲状態だったとする判断を示しました。
 選挙無効の請求は退けました。
 15人の裁判官のうち11が「違憲状態」、うち人は、抜本改革をしないまま16年選挙を実施した場合は、次回判決では違憲判断もありうると示唆する補足意見を述べました。
 残りの人は「違憲」との反対意見で、このうち1名は「1人当たりの有権者数が少ない選挙区については即時、無効とすべきだ」としました。
 
 参院は制度の抜本改革を16年選挙までに行うとしているので、今回の判決はこれを評価し、「できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要がある」と付言しました。
 
27日の地方紙の多くが社説でこれを取り上げています。以下に一例を示します。
 
[参院「格差」判決] 抜本改革は待ったなし        南日本新聞
参院1票の格差 重い司法の「最後通告」         高知新聞
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昨年参院選「違憲状態」 一票の不平等 是正急務
東京新聞 2014年11月27日 
 「一票の格差」が最大四・七七倍だった昨年七月の参院選は一票の価値が不平等で憲法違反だとして、弁護士の二グループが選挙無効(やり直し)を求めた十六件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は二十六日、違憲状態だったとする判断を示した。選挙無効の請求は退けたが、一人が個別意見の中で、参院選訴訟として初めて「無効」に踏み込んだ。参院選をめぐる違憲状態判決は三回目。
 一審の高裁・支部で三件の違憲判決が出ており、このうち一件は選挙無効も認めたが、大法廷は、二〇一六年選挙までに抜本改革するとした国会の取り組みを考慮し、違憲判断を回避した。その上で、前回大法廷判決に続き、都道府県単位の選挙区割りの見直しを求め、国会に抜本改革の着実な実施を迫った。
 判決は、十五人の裁判官のうち十一人の多数意見。うち六人は、抜本改革をしないまま一六年選挙を実施した場合は、次回判決では違憲判断もありうると示唆する補足意見を述べた。
 残りの四人は「違憲」との反対意見。このうち山本庸幸(つねゆき)裁判官は「議員一人当たりの有権者数が少ない選挙区については即時、無効とすべきだ」とした。
 昨年七月の参院選は、格差が最大五・〇〇倍だった一〇年選挙をめぐる一二年の前回大法廷判決が違憲状態だったため、定数を四増四減して行われた。格差は多少、改善されたが五倍前後で推移した。
 参院は制度の抜本改革について、一三年選挙では見送ったものの、一六年選挙までに行うとしている。今回の判決はこれを評価し、「単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県単位の選挙区設定となっている現行方式を改めるなど、できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要がある」と付言した。
 <違憲状態> 区割りなどを定めた選挙規定が「一票の不平等」を生じさせ、憲法が求める有権者の投票価値の平等に反する程度に至った状態を指す。判例では、違憲状態が長く続き、国会による是正のために必要な「合理的な期間」を過ぎた場合、違憲となる。ただ、合理的な期間について具体的な決まりがない。