国連総会第3委員会に提案された「ナチズム、ネオナチズム、人種差別、・・・に対する賛美と闘う」という決議案にアメリカ、カナダ、ウクライナの3カ国が反対しました。
ナチズムには特別に厳しい批判をしてきた筈のいわゆる西側諸国はアメリカに気兼ねして棄権しました。日本もその内の一つでした。棄権は55カ国に及びました。
ナチズムは第二次大戦後全世界が「絶対に許すべきでない」として糾弾した筈ではなかったのでしょうか。
そう思っていた人にとっては理解しがたい採決結果ですが、これが目下の世界の現実です。
決議案はロシアが提案したもので、賛成115カ国で採択されました。
アメリカといえばイスラエル贔屓の国として知られていますが、その一方ではこういう有様で、まさにダブルスタンダードです。
22日の櫻井ジャーナルが取り上げています。
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ナチズムや人種差別への賛美と闘うことを謳った国連決議に米国とウクライナはカナダとともに反対
櫻井ジャーナル 2014年11月22日
ロシアが提出した決議が国連総会第3委員会で採択された。「ナチズム、ネオナチズム、人種差別、人種的区別、外国人嫌悪、関連した不寛容さの現代的形態を助長するその他の行為に対する賛美と闘う」という内容で、賛成115カ国、反対3カ国、棄権55カ国。反対したのはアメリカ、カナダ、そしてウクライナだけだ。
日本にも当てはなりそうな部分があるものの、この決議がウクライナを念頭においていることは明らかで、アメリカとウクライナが反対したことでロシアの目的は達成されたと言えるだろう。西側の政府やメディアが言うところの「民主化」の実態が「ナチス化」だということをロシアはこの決議で再確認しようとしている。日頃、アメリカの顔色をうかがっている西側の国々も内容が内容だけに反対はできず、大半は棄権した。日本も棄権だ。そうした中、アメリカに同調したカナダは無様だ。
戦前も戦後もアメリカの巨大資本は親ナチス。それを妨害していたのがフランクリン・ルーズベルト大統領だったが、ドイツ降伏の直前、執務中に急死してしまう。それ以降、アメリカ政府はナチスの幹部たちを救い出して保護、雇い入れている。その延長線上にアメリカのファシズム化がある。
ルーズベルトが大統領選ではじめて勝利したのは1932年。それにショックを受けたJPモルガンなどウォール街の住人がクーデターを計画したことはスメドリー・バトラー少将らの議会証言に残っているが、そのJPモルガンは関東大震災以降の日本に大きな影響力を持っていた。JPモルガンの代理人で駐日大使を務め、戦後はジャパンロビーの中心的存在として日本を「右旋回」させたジョセフ・グルーは日本の皇室にも太いパイプを持つ存在。戦後、ホワイトハウスは天皇と直に交渉しているが、その下地はここにある。
アメリカの支配層が撒き散らす嘘、幻影、例えば「アラブの春」やウクライナの「民主化」を信じたふりをしている人物は何を自称していようと、結果としてナチズム、ファシズムを支持していることになる。