2014年11月27日木曜日

安倍政権が在京TVキー局に報道圧力 +

 安倍政権が在京テレビに政権に不利な報道するなと要請していたことが分かりました。
 自民党の萩生田副幹事長と報道局長の連名で在京テレビ・キー各局に対して、政権に不利な報道をしないよう要請した20日付の文書をデイリー・ノーボーダーが入手し、26日のインターネット番組「ニューズ・オプエド」の中で報じました。
 
 安倍首相が解散直後の19日に各局テレビに出演した際、TBSの「ニュース23」の街角インタビューでアベノミクスを批判するような映像が流れたのに対して、番組中に激怒する一幕がありましたが、それを受けての報道への圧力であると見られます。
 
 20日頃に受け取った政府からの要請書を、ノーボーダーが入手して公表するまで在京キー各局は一切報じませんでした。
 
 政府が敢えて公正な報道を望むというのであれば、ビートタケシなどの政府擁護系タレントを登場させる番組が数多くあって、そこで日常茶飯事的に政府を擁護させている現実がなぜ放置されているのでしょうか。
 政権擁護の報道に徹してくれというのが政府の本音であることが透けて見えます
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安倍政権が在京TVキー局に報道圧力 メディアは一切報じず
DAILY NOBORDER  2014年11月26日
衆議院が解散され選挙戦が始まったばかりだが、それに向けて安倍政権がメディアに対して報道圧力をかけていたことがノーボーダーの取材で明らかになった。
 
ノーボーダーは自民党が萩生田光一筆頭副幹事長と報道局長の連名で在京テレビキー局各社に対して政権に不利な報道をしないよう要請する文書を入手し、26日のインターネット番組「ニューズ・オプエド」の中で報じた。
 
 「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題し、在京テレビキー局各社の編成局長と報道局長に宛てた文書によると、2009年の民主党政権誕生時に偏向報道があったとした上で、以下の4点について要望を出している。
 
1.出演者の発言回数や時間を公平にする
2.ゲスト出演者の選定についても中立公平を期すこと
3.テーマについても特定の出演者への意見が集中しないよう公正を期すこと
4.街角インタビューなどの映像で偏った意見にならないよう公正を期すこと
 
1については、これまでもテレビ局側の自主規制により候補の取り扱いが平等になるよう配慮されているが、2については番組の出演者にまで介入し、3は番組内容についても介入している。
特に3についてはアベノミクスなどの政策について議論することも止めろという圧力で、「事実関係について淡々と報じるように」と指示されたという証言もある。
4は、安倍総理が解散直後の19日に各局テレビに出演した際、TBSの「ニュース23」の街角インタビューでアベノミクスを批判するような映像が流れ安倍総理が番組中に激怒する一幕があり、これを受けての圧力であるとみられる。
 
また、この文書は11月20日付けとなっており、在京キー各局はこのような政治的圧力を加えられていながら、少なくとも6日間一切報じておらず、すでにテレビ報道が政権の意向に添う形になっている現状が明らかになった。
 
 「ニューズ・オプエド」にゲスト出演していたジャーナリストのカレル・ヴァン・ウォルフレン氏は「選挙管理委員会から来るならまだしも、一つの政党から来るのは一党支配の政治が存在することの証明だ」と話し、30年前とのメディアの違いを問われると、「ジャーナリストの人たちがジャーナリズムの本分を忘れている。真実を語らなければ、ジャーナリズムを失うだけでなく、国まで失ってしまう」と述べ、変わらない日本のメディアの状況を嘆いた。                (ノーボーダー編集部
 
衆院選:自民 テレビ局の選挙報道で細かく公平性要請
毎日新聞 2014年11月27日
 自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を渡していたことが27日分かった。街頭インタビューの集め方など、番組の構成について細かに注意を求める内容は異例。編集権への介入に当たると懸念の声もあがっている。
 
 要望書は、解散前日の20日付。萩生田光一・自民党筆頭副幹事長、福井照・報道局長の両衆院議員の連名。それによると、出演者の発言回数や時間▽ゲスト出演者の選定▽テーマ選び▽街頭インタビューや資料映像の使い方−−の4項目について「公平中立、公正」を要望する内容になっている。街頭インタビューをめぐっては今月18日、TBSの報道番組に出演した安倍晋三首相が、アベノミクスへの市民の厳しい意見が相次いだ映像が流れた後、「これ全然、声が反映されてません。おかしいじゃありませんか」と不快感を示していた。
 
 また要望書では、「過去にはあるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、大きな社会問題になった事例も現実にあった」とも記し、1993年の総選挙報道が国会の証人喚問に発展したテレビ朝日の「椿問題」とみられる事例をあげ、各局の報道姿勢をけん制している。
 
 この日の定例記者会見で、テレビ東京の高橋雄一社長は「これをもらったから改めて何かに気をつけろというものとは受け止めていない」と述べた。NHK以外の各民放は文書が届いたことを認め、公平中立な報道を心がけるとしている。
 
 こうした要望は、選挙のたびに各政党が行っているが、公示前は珍しい。ある民放幹部は「ここまで細かい指示を受けた記憶はない」と話し、また別の民放幹部は「朝日新聞バッシングなどメディア批判が高まる中、萎縮効果はある」と語った。
 
 毎日新聞の取材に対し自民党は「報道の自由を尊重するという点は何ら変わりない。当然ながら公正な報道を行っていただけるものと理解している」と文書でコメントした。【望月麻紀、須藤唯哉、青島顕】
 
◇服部孝章・立教大教授(メディア法)の話
 放送法の文言をひいて「公平中立」を求めているが、実態はテレビ局への恫愒(どうかつ)だ。しかも、以前のテレビ局の報道を「偏向報道」と批判している。アベノミクスに批判的な識者を出演させないよう予防線を張っているともとれ、焦りも感じる。政権担当者は批判されるのが当たり前なのに、自分たちの都合のよい報道を求めるのは危険な行為だ。