2014年11月8日土曜日

超円安と増税で家計は45万円(平均)の負担増

 日銀の追加金融緩和はアベノミクスの破綻を取り繕うためのものですが、それによって超(=ハイパー)円安が進んでいます。この分では1ドル120円まで進むのは時間の問題です。
 この先物価が際限なく上がる見通しも伝えられて国民の生活は逼迫していますが、これから具体的にどれほどの影響を受けるのでしょうか。
 
 日刊ゲンダイが、円安地獄の中で消費税が増税されれば、家族構成2人以上で年収600万円の平均世帯に掛かる負担増は年間37.5万円になるとはじきました。
 更に安倍政権は専業主婦増税も企てているので、それが実現すれば年間7.2万円の負担増になります。
 併せて円安・消費増税・専業主婦増税による負担増は年間45万円(平均)となります。
 富裕層や機関投資家などが株で大儲けをする蔭で、一般国民は地獄に突き落とされることになります。
 
 日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。 
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追加緩和でハイパー円安地獄へ 家計襲う「45万円」負担増 
日刊ゲンダイ 2014年11月7日
 黒田日銀の追加金融緩和によって、サラリーマン生活は地獄に突き落とされる――。株式市場は、株価を上昇させる“黒田バズーカ2”などと持ち上げたが、その実態は円安誘導だ。実際、緩和発表からわずか5日間で、ドル円相場は5円以上も円安に振れ、6日は約7年ぶりに1ドル=115円代半ばまで円は売られた。
 
 12年1月に米レンジャーズと6年契約したダルビッシュが手にしたのは総額6000万ドル。当時は1ドル=75円で45億円と報じられた契約金が、3年弱で40円近くも円安になり、今なら68億円(1ドル=114円)になる計算だ。何と、23億円もの差である。
 この間、輸入物価は上昇カーブを描き、あらゆる輸入品が値上がりし続けている。
 小麦粉やバター、チーズ、コーヒー、インスタントラーメンなどの食品をはじめ、電気・ガス料金、ガソリン代、さらに漁船の燃料費高騰で魚介類も大幅値上がり。9月の消費者物価指数をみると「かつお」は前年同月比で10・7%上昇、「まぐろ」も8・9%アップしている。
 値上げラッシュは止まらない。味の素は来年2月に冷凍食品(業務用)の8割を5~8%値上げする。ファミレスなど外食の価格アップは必至。ロッテはアイスクリームを来年3月から約10%値上げだ。農業に欠かせない化学肥料も11月から10%程度上がった。野菜高騰は目に見えている。
 庶民の懐は干上がる寸前だというのに、追加緩和で円安はさらに進行。この先、モーレツな輸入インフレに襲われるのだ。
 
■一気に120円へ
 「為替相場は1ドル=120円に向かって着々と進むでしょう。115円を超えるとアッという間かもしれません」(マネーパートナーズの武市佳史チーフアナリスト)
 
 静岡大学名誉教授の土居英二氏(経済統計学)が1ドル=120円で、家計負担がどれぐらい増えるかを試算している。2人以上世帯の平均額(年収約600万円)は安倍政権発足前と比べ、21万6933円の負担増だ。年収300万円で16万7109円、500万円で20万8155円、700万円で23万9320円。まさに円安地獄だ。
 「総務省の家計調査(13年年報)をベースに算出しました。そこに消費増税の負担(5→10%)が加わるのです。増税分は以前の試算(12年家計調査ベース)ですが、平均で約15万円の負担増です。円安と増税を合わせると、年間で37万円を超えます」(土居英二氏)
 
 それだけじゃない。自民党の有志議員が提言している「専業主婦」増税が加わるかもしれないのだ。年金や健康保険に関する見直しで、年間7万2000円の負担増になるという。そうなると、平均で45万円(年)だ。年収800万円だと50万円を超える。
 それでも賃金が上昇していれば少しは救われるが、9月の実質賃金は前年同月比2・9%減。15カ月連続で前年を下回っている。
 「追加金融緩和は、多くのサラリーマンにとってデメリットでしかない。消費低迷は深刻さを増し、政府や日銀が目指すデフレ脱却など無理というものです」(土居英二氏)
 円安誘導しか頭にない“黒田バズーカ2”は間違いなく庶民イジメだ。
 



安倍政権が画策 専業主婦は「年間7万2000円」の負担増 
日刊ゲンダイ 2014年11月5日
 安倍政権が、また“庶民イジメ”を企てている。今度の標的は「専業主婦」だ。自民党の有志議員でつくる「多様な働き方を支援する勉強会」が政府に提言書を提出。その中には、専業主婦を締め上げる“改革プラン”が記されている。
 
 まずは「第3号被保険者制度」の見直しだ。第3号被保険者とは簡単に言うと専業主婦のこと。現行の制度では、年金保険料を払わなくても、夫の加入する年金から基礎年金を受けることができる。しかし、提言書は「この制度は不公平感が強い」とし、「第3号被保険者に月3000円程度の保険料の支払いを求める」と明記されている。さらに、提言書は「健康保険制度」の見直しにまで言及。現行制度では、専業主婦は健康保険料を払わなくても夫の健康保険証を利用できるのだが、こちらも月3000円の支払いを求めているのだ。
 厚生労働省が4日開いた年金部会でも、同制度に関し「保険料を払わないで受給できるのはおかしい」といった意見が続出した。
 もし、自民党有志が提出した「提言書」が採用されれば、専業主婦は年間7万2000円もの負担増になる。安倍首相も、いわゆる“103万円の壁”といわれる「配偶者控除」の見直し検討に言及したばかり。子育て中の嫁さんを働きに出さざるを得なくなるかもしれない。
 
 経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう憤る。
 「子供の面倒や老人の介護は家にいる『お母さんの仕事』なのが現状です。安倍首相は『女性が活躍できる社会』の実現を最重要課題にしていますが、本当に女性の社会進出を後押ししたいのなら、保育所や介護施設をスムーズに新設できる枠組みをつくるべきです。結局は安い労働力をつくりたいということなのでしょう。自民党は『月3000円くらいなら大丈夫だろう』と思っているのでしょうが、家計の負担は重くなるばかり。こんな施策で女性の社会進出が進むとはとても思えません」
 これが安倍首相が目指す「女性が輝く社会」だというのか。