ウクライナで起こった2月のヤヌコーヴィチ大統領退陣事件の実態はネオナチの武装勢力によるクーデターでしたが、2004年のオレンジ革命を含めてその背後には「ソロス財団」そして米国務省が関与していたといわれています。
19日にウクライナの首都キエフのヒルトンホテルで開かれたシンポジウムにジャーナリストとして出席した田中龍作氏が、このシンポジウムこそウクライナ危機を仕掛けたのが誰であったのかを明らかにしていると報じました。
黒幕は事態が注目されているときには決して正体を明らかにしませんが、一段落してしまうと安心して正体を現すものです。
このシンポジウムは2月政変の真の動機を明らかにしてくれています。
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米強欲資本が姿を見せた 「ウクライナ危機」
田中龍作ジャーナル 2014年11月20日
これほど舞台裏を見せてくれる催しが、かつてあっただろうか? 米国の強欲資本主義が「ウクライナ危機を仕掛けたのはウチだよ」と名乗り出たようなものである。
19日、首都キエフのヒルトンホテルで「マイダンから一年」と題するシンポジウムが開かれた。
「マイダン」とはキエフ中心部の広場の名前だが、ヤヌコビッチ前大統領を追い出した勢力がここに結集していたことから、この政変の呼称となった。
シンポジウムに大きく絡んでいるのは、「世界経済フォーラム」だ。ゴールドマンサックスをはじめとするグローバル企業やロックフェラー財団などが出資する団体である。世界を貧困と戦禍に突き落とす強欲資本主義の巣窟と言い換えることもできる。
パソナの竹中平蔵会長が絶賛する「ダボス会議」の主催団体と言った方が分かりやすいだろうか。
マイダンから親露勢力との武力衝突に至るまでの映像が流れた。ナレーションと字幕はなぜか英語だった。
世界経済フォーラムは昨年11月、『ウクライナの将来についての戦略的対話』と題するシンポを開いた。
当時、ヤヌコビッチ大統領(当時)はEUとの貿易協定締結を拒否し、ロシアとの関税同盟に加盟するよう迫られていた。
ヤヌコビッチ大統領がEUとの貿易協定締結を拒否すると、マイダンの火が一気に燃え盛った。
世界経済フォーラムは、ウクライナの政財界人を欧米側に引きつけるべくネジを巻いていたのである。
19日に開かれたシンポには、前駐ヨーロッパ米軍総司令官、米国務省高官、駐ウクライナ米国大使らが出席し発言した。
ウクライナ側からは現職の外相、前貿易相、国営石油会社CEOらが出席した。
プログラムは次の4部で構成されている―
1、安全保障の新パラダイム
2.情報戦争
3、新しい市場をつかむ
4、ウクライナ危機後のシナリオ
いずれもウクライナをそそのかす内容となっている。
「ウクライナは世界で最も肥沃な土地に恵まれ、高等教育も行き届いている。経済的に成功する多くの可能性を秘めている」と持ち上げている。
そのうえで「ウクライナの持続可能な経済成長はグローバルエコノミーの文脈の中にある」として西側経済との連携強化を促す。ロシア離れを加速させろ、と言っているようなものだ。
「ロシアからの天然ガスの輸入を減らす・・・」。シンポジウム後半にはウクライナの国会議員から勇ましい発言も飛び出した。
「米製兵器買え」ってことか ウクライナ危機
アメリカ人がオープンなのには驚く。オープンというより「あからさま」と言った方が正確だろう。
19日、キエフのヒルトンホテルで開かれた「ユーロマイダンから1年」と題するシンポジウム。二人は会場に到着するなり近づいて顔を合わせた。
二人とはウクライナのハンナ・ホプコ議員と米国のジェフリー・パイアット大使である。
ジェフリー大使はマイダンのさなか、ヤヌコビッチ大統領追放後※の閣僚人事を米国務省高官と電話で協議していた御仁だ。
※ 電話の時点で、まだヤヌコビッチ大統領は追放されていない。
電話はロシアに盗聴されユーチューブ上に流れた。マイダンへのアメリカの関与が改めて明らかになった“事件”だった。
ハンナ・ホプコ議員(32歳)は、ポロシェンコ与党の一角をしめる政党「自助(Self Reliance) 」の所属だ。
汚職まみれでウクライナ国民の支持を失ったティモシェンコ元首相に代わって、米国が新女王と期待する議員である。国際情勢通であれば「ハンナ」と言う名前でピンとくるだろう。
~米国産シェールガス輸入計画も~
ハンナ議員は「ウクライナ危機後のシナリオ」と題する分科会で「ロシアからの天然ガスの輸入を減らす」と発言した。
ウクライナはエネルギーの70%をロシアから輸入する天然ガスに依存している。(財団法人 高度情報科学・技術研究機構調べ)
出席者から「他に代替エネルギーはあるのか?」と質問が飛んだ。ハンナ議員は「アメリカをはじめとする他の国々が助けてくれる」と答え、ジェフリー大使を喜ばせた。
ハンナ議員が所属する政党「自助」のエネルギー政策担当者によれば、米国産シェ―ルガスの輸入ターミナル建設計画がある、という。
さらに驚いたのは、前駐ヨーロッパ米軍総司令官のマーク・ハートリング氏の発言だ。総司令官は次のように述べた―
「ウクライナの国防予算は断食ダイエットだ。GDPの0.8%しかない。軍隊を改造するのに一番いいタイミングは戦時下だ」。
要は軍備を増強せよ、ということである。
ウクライナが今さらロシアの兵器を買うことはできない。そうなればオレンジ革命(2004年)からの浅からぬ関係で米製兵器ということになるだろう。
総司令官は米製兵器を買えと言外に迫ったのである。総司令官と符帳を合わせるように、ジェフリー大使は「ロシアの戦車に脅えるな」と檄を飛ばした。
米国はエネルギーと軍事でウクライナをロシアから切り離し、さらにはこの2つでウクライナを がんじがらめ にするつもりのようだ。
ウクライナの財政は崩壊に近い所にまで来ており、常識で考えれば米製兵器を買う金などない。
米国はウクライナの豊かな地下資源、森林資源、穀物を担保に資金を貸し付けるものと見られている。
経済が崩壊した後、ウクライナは国の天然資源まで、ハゲタカにしゃぶり尽くされることになる。