2014年11月10日月曜日

戦争と女性

 第二次安倍内閣では女性閣僚を沢山作りましたが、およそ平和志向の女性とはいえない人たちばかりでした。一体どういう基準で選んだのでしょうか。
 
 新しく法務大臣になった女性は、「不起訴」と「起訴猶予」の違いを問われて醜態を晒したということですが、実はその程度のことなら答えられる女性議員は佐藤さおり氏、小池百合子氏、片山さつき氏など自民党内にはまだ何人かいるのですが、どうも思想が右側であれば良いということではなく、安倍氏との『相性』が良くないとダメのようです。お友達内閣と呼ばれている所以です。
 
 7日に行われた立憲デモクラシーの会主催の講演会(会場:早稲田大学)で、「戦争と女性」をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。
 
 パネラーは浜矩子(同志社大学・経済学)岡野八代(同志社大学・政治学)青井未帆(学習院大学・憲法学)の3氏で、司会は三浦まり(上智大学・政治学)氏でした。
 
 9日付の天声人語(朝日新聞)が取り上げましたので紹介します。
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天声人語
朝日新聞 2014年11月9日
 ものの見方や考え方をめぐって、そもそも女性ならではの視点とか男性らしい発想といったものが存在するのか。そんな疑問にも留意しつつ、「戦争と女性」をテーマに女性の識者だけで語りあうパネルディスカッションがあった
 
 法学、政治学などの専門家がつくる「立憲デモクラシーの会」が一昨夜、都内で催した。やや物騒にも思える論題だが、集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更以降の政治状況に対する危機感が背景にある。主催者らの抱く懸念に共感を覚える
 
 経済学の浜矩子(のりこ)さんは明快だった。「女性は戦争に対する最大の防波堤になりうる」。なぜか。女性は強い。どこにでも移動し、環境に適応し、耐久力もある。強く、ゆとりがある者は他者に対し攻撃的になる必要がない。戦争とは「弱虫の凶暴性」が引き起こすものだ、と
 
 一方、憲法学の青井未帆(みほ)さんは、日本の構造的な男女格差に注意を促した。女性の間には社会的に認められないことへの憤りが渦巻いている、と。政治思想史の岡野八代(やよ)さんも、女性の深刻な貧困化に鈍感な政治の現状を厳しく指弾した
 
 浜さんも女性差別に目を向ける。ただ浜さんによれば、人が人を差別するのはその対象を恐れるからである。強い女性が社会を方向づけるようになれば、戦争は遠ざかる。それは、安倍政権が考えているのとは全く違う意味での女性の「活躍」だ、と
 
 女性という存在への全幅の信頼が感動的ですらある。すがすがしい気持ちに包まれて帰途についた。