2014年11月19日水曜日

安倍首相 21日に解散 消費税延期後は無条件引上げ

 安倍総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し、消費税率の10%への引き上げを1年半延期する考えを示したうえで、今週21日に衆議院を解散する意向を表明しました。
 そして安倍政権が進めてきた経済政策・アベノミクス、成長戦略をさらに前に進めるべきかどうかについて、「国民の判断を仰ぎたい」と述べました。
 
 いわゆる勝敗ラインについて、「自民党、公明党の連立与党によ過半数とし、過半数を得られなければ退陣する」と述べ、与党で238議席以上の獲得を目指す考えを示しました。
 
 また消費税は、今後は「景気条項」を外し、平成29年4月の消費税率の10%への引き上げは無条件に実施することを明言しました。これはその時点までに経済状態を回復させる自信がなく、更に悪化していても断行するということで、経済的弱者を見捨てた考え方です。
 
 野党の多くは解散に大義がないと批判しています。
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安倍首相 今週21日に衆院解散の意向表明
NHK NEWS WEB 2014年11月18日
安倍総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し、消費税率の10%への引き上げを1年半延期する考えを示したうえで、今週21日に衆議院を解散する意向を表明しました。そのうえで、安倍総理大臣は、自民・公明両党の与党で、衆議院の過半数を維持できなければ退陣するとして、過半数の議席の獲得を目指す考えを示しました。
 
この中で、安倍総理大臣は、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて、「何よりも個人消費の動向を注視してきたが、現時点では4月の8%への消費税率引き上げが個人消費を押し下げる『大きな重石(おもし)』となっている」と述べました。
そのうえで、「来年10月から10%へ引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断した」と述べ、引き上げを平成29年4月まで1年半延期する考えを示しました。
そして、「国民生活、国民経済にとって重い決断を行う以上、速やかに国民に信を問うべきであると決心した」と述べ、今週21日に衆議院を解散する意向を表明しました。
 
安倍総理大臣は、消費税率を1年半延期し、平成29年4月に10%に引き上げることと、安倍政権が進めてきた経済政策・アベノミクス、成長戦略をさらに前に進めるべきかどうかについて、「国民の判断を仰ぎたい」と述べました。
 
そのうえで、安倍総理大臣は衆議院選挙のいわゆる勝敗ラインについて、「自民党、公明党の連立与党によって過半数を維持できなければ、三本の矢の経済政策、アベノミクスも進めていくことはできない。過半数を得られなければアベノミクスが否定されたことになるから、私は退陣する」と述べ、自民・公明両党で過半数である238議席以上の獲得を目指す考えを示しました。
また、「デフレから脱却し、経済を成長させ、国民生活を豊かにするためには、たとえ困難な道であろうとも、この道しかない」と強調しました。
 
さらに安倍総理大臣は、「個人消費のテコ入れと地方経済を底上げする力強い経済対策を実施する」と述べ、財源の裏付けとなる補正予算案を来年の通常国会に提出する考えを示したほか、「財政再建の旗を降ろすことは決してない」と述べ、平成29年4月の消費税率の10%への引き上げは「確実に実施する」と明言しました。
 
 
首相の解散意向表明 野党が批判
NHK NEWS WEB 2014年11月18日
安倍総理大臣が、消費税率の10%への引き上げを1年半延期する考えを示したうえで、今週21日に衆議院を解散する意向を表明したことについて、与党側は、経済再生やデフレからの脱却のための適切な判断だとしているのに対し、野党側は「解散の大義がない」などと批判しました。
 
自民「党としても全力」
自民党の谷垣幹事長は記者団に対し、「安倍総理大臣は、アベノミクスは今、正念場であり、経済の好循環やデフレ脱却に全力を注ぎたいというメッセージを明白に語っていた。安倍総理大臣の判断を受け、国民に信を問い、国民の望む政策にまい進できるよう、党としても全力を傾ける」と述べました。
 
公明「覚悟や気迫を感じた」
公明党の北側副代表はNHKの取材に対し、「消費税率の10%への引き上げを延期する判断をしたことについて、国民に対し十分説明していたと思う。デフレからの脱却や経済再生への覚悟も感じられ、財政健全化も強い意志を持って逃げずにやり遂げるという気迫を感じることができた」と述べました。
 
民主「大義ないことを確認」
一方、民主党の海江田代表は記者会見で、「解散に大義名分がないことを改めて確認した。アベノミクスが成功していないから、消費税率の引き上げを延期するということだ。安倍総理大臣は、町で買い物をしたり、会社で働いたり、年金で暮らしている国民に寄り添う発想が全くない」と述べました。
 
維新「解散の意味理解されず」
維新の党の江田共同代表は記者団に対し、「景気が確実に後退局面にあるなかで、解散する意味がどこにあるのか、国民には理解されない。ことし4月の消費税の増税は完全な失敗だった。しがらみのない維新の党だからこそできる本当の改革を訴え、与党の過半数割れを目指して戦いたい」と述べました。
 
次世代「大義は極めて希薄」
次世代の党の山田幹事長は記者団に対し、「消費税率を引き上げないことで国民に信を問うのは変な話で、衆議院を解散する大義は極めて希薄だ。単独で法案を提出するための21議席以上の獲得を目標に、行政改革や社会保障改革を思い切って進めることなどを主張していく」と述べました。
 
みんな「解散には大義がない」
みんなの党の浅尾代表は記者団に対し、「消費税率の引き上げの凍結には賛成だが、凍結に対応してやるべきことがたくさんあり、解散には大義がない。わが党は近々、両院議員総会を開いて、新たな政界再編に向けた一歩を踏み出したい」と述べました。
 
共産「税率引き上げ中止訴える」
共産党の志位委員長は記者会見で、「今、解散する本当の動機は、時期を延ばせば延ばすほど追い詰められるからだ。消費税率の引き上げの延期は経済失政をみずから認めるものであり、延期ではなく、きっぱり中止を訴えて戦いたい」と述べました。
 
生活「失敗隠しの解散」
生活の党の鈴木幹事長は記者会見で、「アベノミクスの失敗隠しの解散だ。安倍総理大臣が、アベノミクスの成果ばかりを強調する姿勢には大きな矛盾を感じる。『国民の生活が第一』という結党の精神を訴え、国民の審判を仰ぎたい」と述べました。
 
社民「野党で協力し選挙」
社民党の吉田党首は記者団に対し、「解散の大義があるのか疑問だ。アベノミクスの失敗や集団的自衛権の行使容認の閣議決定、原発再稼働など、国民に背を向けた政策をしっかり問うことが大事で、野党間で協力して選挙に臨みたい」と述べました。
 
改革「姿勢を高く評価」
新党改革の荒井代表は「消費増税を延期する是非を国民に問うという姿勢を高く評価し、支持する。新党改革は『家庭を起点にした戦略的成長戦略』を具体的に提示することが使命だと考えている」とする談話を発表しました。