2022年4月16日土曜日

16- オバマ政権が始めたウクライナの生物兵器研究開発施設(櫻井ジャーナル)

 2000年以降、米国はウクライナに介入し、親ロシア派の大統領が生れる度にそれを排除して来ました。2004年に新露派のビクトル・ユシチェンコ大統領が誕生するとオレンジ革命を起こして排除し、2013年に新露派のビクトル・ヤヌコビッチ大統領が誕生すると2014年にいわゆるネオナチを使った暴力革命を起こして排除しました(主導したのは当時副大統領を務めていたバイデン)。
 クーデター後、それまで第二公用語として認められていたロシア語を廃止し(ロシア語系の住民を路頭に迷わせ)、アゾフ大隊などのネオナチ勢力を正式に国家機関に取り込んで(親衛隊などに)ドンバス(東部2州)在住のロシア系住民に対する攻撃を開始しました。
 その際に国軍や治安機関から反クーデター軍へ合流した人たちも多かったため、ドンパスの民兵団の方が優勢だったと言われています。

 ロシア軍はウクライナ侵攻後、ウクライナ/アメリカの機密文書を回収しました。その中にはドンバスを攻撃する作戦に関するものがあり、それによるとゼレンスキー指示(1月18日)に基づいてニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書に署名し、2月中に攻撃の準備を終えて3月から攻撃を始めることになっていたということです。ウクライナ侵攻は結果的にそれを阻止することになりました。
 またウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていたという文書もあり、ロシアはその一部公表しましが、西側のメディアは全く取り上げませんでした。
 櫻井ジャーナルの記事を紹介します。
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オバマ政権が始めたウクライナ制圧戦争の過程で作られた生物兵器の研究開発施設 
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 アメリカの支配層が世界制覇戦争を本格化させたのは1991年12月にソ連が消滅した直後からだが、ウクライナでの戦争に限定すると2013年11月の下旬。その直前、ウクライナの国会議員だったオレグ・ツァロフは11月20日、議会でクーデター計画が存在すると警鐘を鳴らしていた。実際、バラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターを実施、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領は2014年2月22日に排除された
 クーデター直後に治安機関のSBU(ウクライナ保安庁)をアメリカのCIAは素早く指揮下に置くが、軍や治安機関から反クーデター軍へ合流した人は少なくなかったと言われている。
 オバマ政権はクーデターでネオ・ナチを使ったが、その主力は右派セクター。2013年11月にドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーが創設した団体だ。
 ウクライナのテルノポリでは2007年5月に欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議が開かれたが、その議長を務めたヤロシュはすでにNATOの秘密部隊ネットワークに参加していた。その当時、アメリカのNATO大使を務めていたのがビクトリア・ヌランドだ。

 このクーデターは違憲であり無効だと主張しているのがヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の人びとで、クリミアでは3月16日にはロシアへの加盟を問う住民投票が実施された。80%を超える住民が投票に参加、95%以上が加盟に賛成している。
 ドンバス(ドネツクやルガンスク)では対応が遅れたが、それでも同じような意志を住民は示す。この意思をロシア政府が受け入れたなら状況は変わっただろうが、そうした展開にはならなかった。そしてクーデター政権が送り込んだ戦車部隊と戦闘が始まる。
 この戦闘はドンバス軍が優勢で、オバマ政権はテコ入れのためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだ​ほか、傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させた​とも伝えられた。​CIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練している​という。
 また、ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国した後、米英の特殊部隊、つまりアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えている。CIAは2007年からウクライナにおける軍事作戦の準備を始め、2013年に作戦を始動させ、今はロシア軍と戦っていると言えるだろう。
 ウクライナのクーデター政権は正規軍を信頼していない。ロシア軍と戦っている主体は内務省の親衛隊だが、その中心はアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)であり、その母体は右派セクター。つまりロシア軍と戦っている主力はNATOの秘密部隊だ。
 軍をコントロールするため、昨年11月2日、ボロディミル・ゼレンスキー大統領はヤロシュをウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。ロシア軍との戦争をこの段階でゼレンスキー政権、つまりジョー・バイデン政権は想定していると言えるだろう。
 バイデン政権は昨年11月25日より少し前、ロシアに対する経済戦争も計画している。アメリカの影響下にあるロシアの金や外貨を凍結、エネルギー資源をはじめとする貿易を制限し、SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除も決めた。内容を決めたメンバーにはジャネット・イエレン財務長官や情報機関や軍の人間が含まれ、財務省のウォーリー・アデイェモ副長官、エリザベス・ローゼンバーグ次官補、そして国家安全保障副補佐官のダリープ・シンが関係したという。
 2014年のクーデターを警告したオレグ・ツァロフは今年2月19日に出した緊急アピール「大虐殺が準備されている」を発表している。ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民(ロシア語系住民)を「浄化」するというもので、西側からの承認を得ているともしていた。SBUはネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。

 バイデン政権はドンバスやクリミアに対する軍事作戦でロシア語系住民を殺戮、配下の有力メディアを利用して責任をロシア軍に押し付けるつもりだったのだろうが、その前、2月24日にロシア軍がウクライナに対する攻撃を開始した。
 巡航ミサイル「カリブル」などで航空基地が破壊されたと言われているが、その際にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われた​とされていた。その直後にロシア軍はウクライナ/アメリカ側の機密文書を回収することに成功している。
 ロシア国防省によると、そうした文書の中にドンバスを攻撃する作戦に関するものがあった。ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、攻撃する準備が始まり、2月中に準備を終えたとされている。攻撃は3月に始めることになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて立てられたという。
 また、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日に記者会見を開き、ウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書について語っている。
 ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていたとしている。文書の一部も公表した。
 3月8日には上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について質問され、ロシア軍に押収されるかもしれないと懸念している。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった
 こうした施設へ資金を供給していたのはロズモント・セネカ・パートナーズやジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ。ソロスはロシアや中国の体制転覆を目的とした活動をしてきたことで知られているが、ロズモント・セネカ・パートナーズはバイデン大統領の息子、ハンターが関係している。
 ハンターがクリストファー・ハインツやデボン・アーチャーと2009年に創設した投資ファンド。ハインツはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子で、アーチャーはエール大学でハインツのクラスメート。バイデンとアーチャーは2014年にブリスマの重役に就任するが、その時、このふたりとビジネス上の関係をハインツは絶ったとされている。

 アメリカの生物兵器研究開発施設には、アメリカ国防総省や同省の国防総省のDTRA(国防脅威削減局)が協力、そのほか国務省、USAID(米国国際開発庁)、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負っている。さらにメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルも仕事をしている。
 メタバイオタは生物学的な脅威の評価したり管理する仕事をしている会社で、ウイルス学者のネイサン・ウルフによって創設された。2014年からエコヘルス同盟のパートナー​になっているが、その背後にはUSAIDの「PREDICTプロジェクト」がある。
 エコヘルス同盟はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から武漢病毒研究所へ資金を提供する仲介役を演じてきたことでも知られている組織。このため、ウクライナの研究所はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)にも関係しているという疑いが生じた。
 つまり、ロシア軍がウクライナの軍事施設や生物兵器の研究開発施設を攻撃した直後、バイデン政権を崩壊させるだけでは済まない大スキャンダルが発覚しているのだ。西側の有力メディアはそうした事実には目を向けず、ロシア軍が住民を虐殺しているという偽情報を流し続けている。ウクライナで停戦が実現した場合、このスキャンダルが噴出する可能性がある。つまり、バイデン政権は戦闘をやめさせるわけにはいかないだろう。