2022年4月11日月曜日

公安調査庁 アゾフ大隊をテロ組織から削除(植草一秀氏)

 植草一秀氏が、「公安調査庁 アゾフ大隊 テロ組織から削除」とする記事を出しました。
 8日、公安調査庁がホームページに掲載していたアゾフ大隊に関する以下の記事、
2014年,ウクライナの親ロシア派武装勢力が,東部・ドンバスの占領を開始したことを受け,ウクライナの愛国者を自称するネオナチ組織がアゾフ大隊なる部隊を結成した。同部隊は,欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ,同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされる」などの部分を削除しました。
 すべて米国に追随する日本なのでこれは予想されたことですが、公安調査庁は削除した理由について、
「そもそも国際テロリズム要覧は、内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報を取りまとめたものであって、公安調査庁の独自の評価を加えたものではなく、当該記載についても、公安調査庁が『アゾフ大隊』をネオナチ組織と認めたものではない」
と説明しています。そうであれば、単に(削除せずに)そう注記すれば済むことです
 これと前後してテレビ朝日、NHKなどが「アゾフ大隊」はネオナチ組織でないと解説者を使って 盛んに説明するようになったのはご存知の通りです。
 植草一秀氏は、「米国に追従する日本政府の行動と整合性が取れなくなったから削除しただけのことに過ぎないと理解できる」と述べています
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公安調査庁 アゾフ大隊 テロ組織から削除
                植草一秀の『知られざる真実』 2022年4月10日
公安調査庁は公式サイトに掲載していたアゾフ大隊に関する記述を削除した。
公安調査庁公式サイトに次の文書が掲載されていた。
「極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり」
国際的につながる極右過激主義者 海外の紛争,イベント等への参加
2014年,ウクライナの親ロシア派武装勢力が,東部・ドンバスの占領を開始したことを受け,「ウクライナの愛国者」を自称するネオナチ組織が「アゾフ大隊」なる部隊を結成した
同部隊は,欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ,同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされる。」
この文章には、
「「ウクライナの愛国者」を自称するネオナチ組織が「アゾフ大隊」なる部隊を結成した」
と明記されている。
ここに明記された「アゾフ大隊」がウクライナ正規軍に編入されている。
2014年以降、ウクライナ政府軍は東部2地域に対する軍事行動を実施してきたが、その中核にネオナチ組織が関与していたことを確認できる。
ところが、ウクライナ=正義、ロシア=悪 の図式でウクライナ戦乱を説明する米国の主張と、公安調査庁の記述が矛盾を来したため、公安調査庁がこれまで掲載してきた記述を削除した。
公安調査庁は次のように弁解する。
「「国際テロリズム要覧2021」の記載が根拠とされているようだが、そもそも「国際テロリズム要覧」は、「内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報を取りまとめたものであって、公安調査庁の独自の評価を加えたものではなく、当該記載についても、公安調査庁が『アゾフ大隊』をネオナチ組織と認めたものではない」
と説明。
記述の根拠が「内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報」にあることは相当だが、それらの公開情報から公安調査庁が取捨選択して公式サイトに掲載した記述であり、公安調査庁の公式サイトに掲載する以上、公安調査庁が事実であるとの認識で掲載したものと解釈されるのは当然のこと。
米国に追従する日本政府の行動と整合性が取れなくなったから削除しただけのことに過ぎないと理解できる。
これと平仄を合わせるように、テレビ朝日、NHKなどが懸命に「アゾフ大隊」はネオナチ組織でないとの説明を行っている。
メディアが完全に政治権力広報機関に堕している。
2014年に米国はウクライナ極右組織と結託してウクライナ政権を暴力行為によって転覆させたと見られる。
その経緯と背景を知るにはオリバー・ストーン監督のドキュメンタリー映画『ウクライナ・オン・ファイヤー』の視聴が必須。
併せて2014年以降に発表されたキャノングローバル戦略研究所研究主幹の小手川大助氏による解説記事が極めて参考になる。
小手川氏は大蔵官僚出身者でIMF理事などを歴任し、ウクライナとの折衝も行ってきた専門家である。
「ウクライナ問題について」(2014/3/20) https://bit.ly/3LAkeeX 
「ウクライナ問題について その2」(2014/4/10)https://bit.ly/3qXQIrQ 
「ウクライナ問題について その3」(2014/5/13)https://bit.ly/36KeXms 
「ウクライナ問題について その4」(2014/5/15)https://bit.ly/3J73Twy 
「語られないロシアの歴史とアメリカとの深い関係」https://bit.ly/3J5efgC 

このなかで、2014年の政権転覆の概要を記述しているのが
「ウクライナ問題について」(2014/3/20)https://bit.ly/3LAkeeX 
そのなかで、政権転覆後に樹立された非合法の新政府について、小手川氏は次のように記述している。
ヤヌコヴィッチ政権転覆後の新政権に「スヴォボダ」などの極右勢力から多数の閣僚が起用された。
この非合法新政府が2014年2月23日に「ウクライナ民族社会」の設立を発表。
このなかで、ロシア語を使用する者に対して、ウクライナ民族社会の正当な権利を有するメンバーという地位を剥奪すること、市民権及び政治上の権利において差別することを明記した。
小手川氏は政権に組み入れられた極右勢力のスローガンとして、
「ウクライナは至高の存在」、「ウクライナ人のためのウクライナ」、「ウクライナに栄光あれ、敵には死を」、「モスクワの連中を刺し殺せ、ロシア人を削減せよ、共産主義者を絞首刑に」
などを紹介している。
さらに、
「ウクライナ問題について その3」(2014/5/13)https://bit.ly/36KeXms 
で、ウクライナ新政府とネオナチ組織との関連を詳しく解説している。

ウクライナ新政府は憲法の定める手続きによって樹立された政権でない。この意味で非合法政府だが、この非合法政府を米国が直ちに国家として承認し、新政府が合法国家に仕立て上げられた。
この動きにウクライナ東部地区が反発して独自に共和国を創設。
クリミアは住民投票でロシアへの編入を決めた。
その後、ウクライナは内戦状態に移行し、その延長線上に現在のウクライナ戦乱がある。
西側が主導する情報だけでは真実を把握することはできない。
マスメディア情報を疑い、真実を探求する姿勢が必要不可欠だ。
すべてを疑い、すべてを自分の目で確かめ、自分の頭で考えることから新しい世界が開ける。



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 (以下は有料ブログのため非公開)