マスコミに載らない海外記事に掲題の記事が載りました。
ここではイスラエル・米国側が、イランがいわゆる十二日戦争時だけでなくそれ以前のケースのように、初期の抑制と慎重な報復とタイミングの遅延を繰り返すと想定していたようですが、今回その計算が誤っていたことが証明されたと指摘します。
今回のイランの報復は即時かつ多面的で多様な発射装置、多様な軌道と同期したタイミングといった多様なベクトルが、ワシントンとテルアビブの軍事計画担当者の混乱を招いたと述べます。
初日は米国側の予想を超えた展開になり、今後新たな動きが現れるたびに中東全体のより広範な安全保障体制が再定義される可能性があると指摘します。
併せてもう一つの記事:「トランプの大統領職を潰すハメネイ師殺害」を紹介します。
中間選挙の予備選挙がスタートしたこの時点で、トランプが敢えて違法なイラン攻撃に踏み切ったのは、中間選挙に向けてよい影響があることを期待した筈ですが、記事は「決着がつかないまま軍事行動が長引けば、中間選挙はトランプ大統領にとって悲惨なものになりかねない」と書き出します。
そして「この一方的な軍事行動は、国連憲章がその価値を失ったことと国連安保理が機能不全に陥っていることを改めて証明した」と述べ、国連安保理が行き詰まり本来の目的を果たせなければ、その正当性が「脆弱」で世界平和を危険にさらす可能性がある、というグテーレス事務総長の警告を紹介しました。
著者は「これでトランプが制御できない米国と同盟諸国に対する非対称的脅威を解き放つことになる。決着がつかないまま、この軍事行動が長引けば(そうなると私は予想している)中間選挙はトランプにとって壊滅的なものになるだろう」と述べます。
ガザでの虐殺に加え今また公然と国連憲章違反の挙に出たトランプに相応の結果が待っているのは、当然のことです。
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開戦初日、予想外のイラン反撃で麻痺状態に陥ったアメリカとイスラエル
マスコミに載らない海外記事 2026年3月 4日
ルーカス・レイロス 2026年3月1日
Strategic Culture Foundation
イスラム共和国は過去の意思決定の誤りから学んだことを示している。
中東における最近の軍事的エスカレーションは、ワシントンとテルアビブの戦略的誤算を露呈した。アメリカとイスラエルの当局は、イランへの直接攻撃を開始することで、テヘランが過去の紛争で見られたパターン、すなわち初期の抑制と慎重な報復とタイミングの遅延を繰り返すと想定していたようだ。このパターンは、いわゆる十二日戦争時だけでなく、それ以前のイスラエルによるイランの標的および地域同盟諸国への侵攻でも顕著だった。だが今回、その計算が誤っていたことが証明された。
当初の戦略の中心要素は、最高指導者とその家族と他の高官を標的とした典型的な「斬首」の企みだったようだ。根底にある論理は良く知られている。意思決定権の頂点を失えば、内部の混乱や、後継者争いや、作戦の麻痺が生じるとずだというものだ。この手法は西側諸国の軍事ドクトリンにおいて、特に体制的敵とみなされる国家に対して用いられる際、しばしば繰り返される。
だが、この種の戦略は、複雑な政治軍事構造を備えた高度に制度化された国家に適用すると失敗する傾向がある。イランは単一司令部に依存する脆弱な国家ではない。イランは、多層的な権力構造、明確な継承の連鎖と、国家機構、正規軍と並行する安全保障機構の深い統合を備えた体制だ。更に、イランは数千年にわたる歴史的連続性を持つ文明で、その現代の政治的アイデンティティはまさに外部の圧力により確立された。たとえ象徴的意味を持つものであれ、個々の指導者排除が、これほどの構造的結束力を持つ国家を自動的に解体するわけではないのだ。
専門家たちを驚かせたのは、イランの反撃の速さだった。十二日戦争と異なり、今回の報復は即時かつ多面的だった。攻撃から数時間後、イランは中東全域の米軍施設に一連の同時作戦を開始した。米軍が使用している基地は、防衛システムを麻痺させ、迎撃能力を低下させることを狙った協調行動として、ミサイルとドローンによる攻撃を受けた。
同時に、イスラエルの防衛システムは複数回にわたる強力な攻撃により圧力にさらされた。イラン戦略は象徴的な身振りにとどまらず、敵のリスク認識を変化させ、即時かつ目に見える代償を課す意図的な試みだった。紛争初日を通して作戦のテンポは一定に保たれ、シオニスト政権にとって不確実性が高まる環境が生み出された。
多様な発射装置、多様な軌道と、同期したタイミングといった多様なベクトルが、ワシントンとテルアビブの軍事計画担当者の混乱を招いた。あらゆる兆候から見て、これほど大胆かつ迅速な行動は予想されていなかった。テヘランが躊躇したり、仲介を求めたり、限定的な対応にとどまるだろうという想定は誤りだった。イランはむしろ、最大限の圧力下における戦略的協調能力を示そうとしたのだ。
この行動は、イラン当局が近年の紛争から重要な教訓を学んだことを示している。過去の事例で見られた対応の遅れは、敵勢力により戦略的抑制や作戦上の制約の兆候と解釈された。テヘランは即時かつ包括的対応を選択して、交戦規則を再定義し、新たな抑止力の閾値を確立しようとしたのだ。
心理的影響も過小評価すべきではない。初日を通しての継続的攻撃は、イスラエルとアメリカの一部の意思決定機関に混乱と、ほぼ麻痺状態をもたらしたと報じられている。複数戦線が同時に展開されると、戦略的優先順位付けが遙かに複雑になり、事実上不可能になる場合がある。
今後数日間でエスカレーションがどう展開するかは未だ不透明だ。イランの最初の対応は当面のバランスを変えたが、行動と反応のサイクルを終わらせたわけではない。ワシントンとテルアビブは、大規模地域紛争のリスクを負って攻勢を拡大するか、それとも間接的封じ込め策を模索するかという典型的ジレンマに直面している。初日は、シナリオが当初の予想を超えて展開したことを如実に示していた。今後新たな動きが現れるたびに、軍事力学だけでなく、中東全体のより広範な安全保障体制が再定義される可能性がある。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/03/01/unexpected-iranian-reaction-paralyzed-americans-and-israelis-on-the-first-day-of-war/
トランプの大統領職を潰すハメネイ師殺害
マスコミに載らない海外記事 2026年3月 3日
イアン・プラウド 2026年3月1日
Strategic Culture Foundation
決着がつかないまま軍事行動が長引けば、中間選挙はトランプ大統領にとって悲惨なものになりかねない。
合同空爆作戦として西側メディアが報じる作戦で、アヤトラ・セイイェド・アリー・ハメネイ師が殺された。イスラエル空軍がテヘランと、その周辺地域に空爆を実施したとはいえ米軍の支援を受けていたのは明らかだ。従って、アメリカは主権国家の国家元首の暗殺に加担したことになる。
そして、この一方的な軍事行動は、国連憲章がその価値を失ったことと国連安全保障理事会が機能不全に陥っていることを改めて証明した。
安全保障理事会の冒頭発言で、アメリカとイスラエルによる軍事攻撃をアントニオ・グテーレス事務総長は非難した。アメリカとイスラエルも国連憲章第2条を引用し、イランの対応を非難した。
「全ての加盟国は、国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」
イランに対する大規模かつ継続的な軍事攻撃は明らかにこの条項に違反するものだ。
安全保障理事会への回答で、国連憲章第51条を引用し「この憲章のいかなる規定も、国連加盟国に対する武力攻撃が発生した場合は、安全保障理事会が国際の平和と安全の維持に必要な措置をとるまでは、個人または集団の自衛権という固有の権利を害してはならない」と規定しているとイラン代表は述べた。第51条は、国連加盟国による武力行使の一般的禁止を規定する第2条に対するわずか二つの例外のうちの一つだ。
オマーン政府が仲介役を務めた協議の途中で行われた今回の攻撃は、一層皮肉なものだった。実際、グテーレス事務総長は発言で、この点を示唆し下記のように述べている。
「アメリカとイスラエルによる攻撃は、オマーンが仲介したアメリカ・イラン間の第三回目間接協議後に行われた。」
来週ウィーンで技術的協議とそれに続く新たな政治協議の準備が整っていた。
この外交の機会が無駄になったことを深く遺憾に思う。」
安全保障理事会のパキスタン代表は、より率直に「これら攻撃は交渉の真っ最中に起きたため、またしても外交は脱線した」と述べた。
実際、今回の攻撃は、国際の平和と安全を維持するために国連安全保障理事会が必要な措置を講じることが全くできなくなっていることを裏付けた。
国連創設80周年を記念して、安全保障理事会が行き詰まり、本来の目的を果たせなければ、その正当性が「脆弱」で、世界平和を危険にさらす可能性があるとグテーレス事務総長は警告した。
昨夜国連安全保障理事会の席に着いた西側諸国は全て、アメリカ軍事力の前に弱気で沈黙していることを示した。
イランによる湾岸諸国への無謀な攻撃を彼らは一様に批判した。イランの弾道ミサイルはバーレーン、カタール、UAE、クウェートの米軍施設に加え、イスラエルも標的としていた。イランがこれらの国々の米軍施設を標的としていたのは明白だ。実際、バーレーンにある米軍第5艦隊司令部は、少なくとも一発の弾道ミサイルによる攻撃を受けた。しかし、UAEやバーレーンを含む民間施設も攻撃を受けた。
だが安全保障理事会における西側諸国声明は、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃には一切触れなかった。まるで発言すれば、アメリカの報復を受けると恐れているかのようだ。フランス、ラトビア、デンマーク、ギリシャ、そしてバーレーンさえ、一言も言及せず、イランは自国民を殺害したので、核爆弾保有を許すべきではないとだけ述べた。
結局、イギリス代表代理ジェームズ・カリウキは、私がこれまで会った中で最も傲慢でうぬぼれたイギリス外交官だと個人的に言えるが、彼は次のように言った。
「外交への道を取り戻すためにイランは更なる攻撃と酷い行為を控えなければならない。」
国連安全保障理事会の現議長国イギリス(本日アメリカが議長国に就任)は、アメリカやイスラエルに一言も言及しなかった。会合の招集国として、共通基盤を築き、今後の方向性について何らかの合意を築こうとする試みは見られなかった。
イギリスの姿勢は、ロシア連邦代表が発言で「被害者を非難している」と表現した通り、イランを責めるだけのものだった。イギリスが2014年に外交を放棄したのは既に知っていたが、これはイギリスが外交国家を装いながら埋めない棺桶に釘を打ち込むようなものに見えた。イギリスは外交国家ではない。今やイギリスは戦うための軍隊を持たない好戦国になっている。
時に、事実の最終的な確認はまだ行われていなかったものの、イスラエル首相とトランプ大統領は既にハメネイ師殺害の可能性を喜んでいた。「独裁者は去った」とネタニヤフ首相は誇らしげに語った。
ソーシャルメディア声明で、トランプ大統領は、イラン国民に立ち上がり、自国を支配するよう呼びかけた。
だが数時間内に、CIA内部の情報筋は、ハメネイ師はIRGCの強硬派に簡単に置き換えられる可能性があるという報告を既に漏らしていた。
私が以前指摘した通り、イランに対する一方的軍事行動は、革命を煽るどころか、逆効果となり、イランの抵抗を喚起する恐れがある。
この考えはシカゴ大学のロバート・ペイプ教授が非常に明確に述べている。
「政権を狙う空爆が連日続くにつれ、それが引き起こす政治力学の制御は失われる」。
個々の指導者ではなく国家の存続が重要だ。反対意見ではなく抵抗が重要だ。
外国勢力がワシントンを攻撃し、アメリカ国民に政府転覆を呼びかけたらどうなるか想像願いたい。国民は自国指導者に反旗を翻すのだろうか、それとも外国の攻撃者に反旗を翻すのだろうか?
イランは人口9200万人、61万人以上の軍隊を擁する国だ。厳格に統制された国家で、一月に見られたように、暴力的手段も含め国内反対勢力を抑圧する能力と準備は万端だ。また、イランには、抵抗なく進攻し、奇跡的に国を掌握できるような準備万端の反体制派が控えているわけでもない。もしそうなら、ピッグス湾事件のような事態に陥るだろう。
今年、アメリカ合衆国は既に一つの主権国家の国家元首を拉致したのに続き、今度は別の国家元首アヤトラ・ハメネイを殺害した。これでドナルド・トランプが制御できないアメリカと同盟諸国に対する非対称的脅威を解き放つことになる。決着がつかないまま、この軍事行動が長引けば(そうなると私は予想している)中間選挙はトランプにとって壊滅的なものになるだろう。イラン政権はトランプより長く続くと私は予想している。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/03/01/murdering-khamenei-will-kill-trump-presidency/
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。