2026年3月2日月曜日

ハメネイ師殺害でイスラム世界で強まる反米感情(櫻井ジャーナル)

 櫻井ジャーナルが掲題の記事を出しました。
 米国とイスラエルは28日、イランの主要都市を奇襲攻撃し、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師を殺害しました。他にも参謀総長、国防相、イラン革命防衛隊司令官、最高安全保障委員会トップらが殺害されたようです。
 この不意打ち攻撃の僅か90分後に、イラン軍はイスラエルのテルアビブやハイファ、そしてサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、カタールなどにあるアメリカ軍の基地を攻撃しました。
 既にホルムズ海峡はイランによって封鎖されました。タンカーがここを通れなくなれば世界経済に大きな影響を与えることになります。
 イランと米・イスラエル連合軍との戦闘が3週間、4週間と続いた場合、イランが優位になると見られています。
「イラン敵視政策」は従来からの米国の一貫した戦略ですが、イランを支配できればイスラエルが中東を管理でき、そこにあるエネルギー資源を欧米の巨大資本が支配でき、中東とベネズエラを支配できればエネルギー分野でロシアに対抗できます。
 経済的に追い詰められている米国としては、強引な手段をとらざるをえないのだろうと櫻井ジャーナルは見ています。
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ハメネイ師殺害でイスラム世界で強まる反米感情
                         櫻井ジャーナル 2026.03.02
 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランの主要都市を奇襲攻撃し、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師を殺害した。アメリカのドナルド・トランプ大統領はイスラエルやシオニストから早く攻撃を開始するよう強い圧力を受けていた
 イラン国営テレビによると、ハメネイ師は執務室で仕事をしていた。同じ日にアブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニも殺害されたようだ
 イランによる核爆弾の製造と使用は罪であるとするファトワ(イスラム法)を発布したハメネイ師をアメリカとイスラエルは殺したわけで、両国はイランに核兵器を開発させたいのだろうか、という人もいる。

 昨年6月にイランを攻撃した際にもアメリカ軍とイスラエル軍は最初にイランの要人を殺害している。殺されたひとりがモハメド・バゲリ参謀総長だった。要人の殺害には、テヘラン周辺に作られた秘密の基地から飛びたったドローンが使われたとされている。今回、どのような手段が使われたかは明確でないが、要人の行動をイスラエルやアメリカが把握していたことは間違いない。
 現在、イラン大統領を務めている人物はマスード・ペゼシュキアン。大統領に就任したのは2024年7月のことだ。前任者のエブラヒム・ライシが同年5月、アゼルバイジャンからベル212ヘリコプターで帰国する途中、そのヘリコプターが墜落し、同乗していたホセイン・アミール-アブドラヒヤン外相らと共に死亡したことを受けてのことだ。濃い霧で視界が悪かったことが原因だとされているが、同行していた2機のロシア製ヘリコプターは問題なく帰還している。

 2月28日のアメリカ軍とイスラエル軍による攻撃から90分後にイラン軍はイスラエルのテルアビブやハイファ、そしてサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、カタールなどにあるアメリカ軍の基地を攻撃したIRGCによると、攻撃したアメリカ軍の基地は27カ所で、イスラエル軍の司令部やテル・アビブの防衛施設も標的だったという。昨年6月より反応は速い。

 ドナルド・トランプとネオコンはハメネイ師殺害を喜んでいるというが、イラン国内では多くの人が街に出てハメネイ師の死を悼んでいる。イラク、パキスタン、インドなどでハメネイ師殺害に対する抗議活動があり、アメリカの大使館や領事館が襲われている。 
























 昨年6月の場合もそうだったが、イランはまず安価なドローンや旧式のミサイルで攻撃して敵の防空ミサイルを枯渇させ、その上で新型ミサイルで攻撃すると見られている。昨年のケースでは12日でミサイルの撃ち合いは終了したが、これはアメリカやイスラエルが保有するミサイルがなくなりそうになったからだ。今回、アメリカやイスラエルもそれなりの準備をしているだろうが、戦闘が3週間、4週間と続いた場合、イランが優位になる。その間、ホルムズ海峡が封鎖された場合、世界経済に大きな影響を与えることは確かだ。

 ドナルド・トランプ大統領は「国際法」を無視していると批判する人もいるが、ネオコンは1992年2月の段階で、「唯一の超大国」になったアメリカが他国を配慮する必要はないとしていた。アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」の中でそのように主張されていた。国際法を無視するという姿勢を1992年以降のアメリカ政府はとってきた

 ウォルフォウィッツ・ドクトリンとは世界征服計画であり、核開発は本質的な問題ではない。2月18日にマイク・ハッカビー駐イスラエル米国大使はタッカー・カールソンに対し、イスラエルが聖書に登場するすべての土地を占領しても問題ないと主張しているいわゆる「大イスラエル構想」を肯定しているのだ。アメリカやオーストラリアの場合と同じように、先住民を殲滅して欧米の富豪が望む人びとを移住させるということだろう。

 中東全域を「親イスラエル体制」にするというプロジェクトは2003年3月のイラクへの軍事侵攻から始まっている。イランを支配できればイスラエルが中東を管理でき、そこにあるエネルギー資源を欧米の巨大資本が支配できる中東とベネズエラを支配できればエネルギー分野でロシアに対抗できる経済的に追い詰められているアメリカとしては、強引な手段をとらざるをえないのだろう。