日刊ゲンダイの古谷経衡氏の「猫と保守と憂国」のコーナーに掲題の記事が載りました。
それは「改憲派の急先鋒であった高市総理が、憲法9条に頼ってトランプ大統領の要求をかわすというのは何という皮肉だろう」と書き出し、「アメリカに追従し、9条の唾棄こそが国益であると気勢を上げていた人々は、年初からたった数カ月のうちに壊滅した」と続けます。
「気勢を上げていた人々」とは高市氏の岩盤支持者たちを指していると思われます。
古谷氏はそうした人々は「異形の親米保守」であり、「2発の原爆と大空襲で同胞を焼き殺されたのに、アメリカに付き従うことを是としている時点で保守でも愛国でもない」と酷評し、彼らは「護憲派を『お花畑』といって嘲笑し、ネット世論の中でサンドバッグにして、対抗勢力を叩き潰す快感に酔いしれ」ていたが、「今では、狂ってしまったトランプによって、アメリカこそが世界の平和にとって最も危険な要素のひとつになっている」ことが明らかになったと述べます。
そして「もはや護憲派はお花畑などではなく、護憲こそが日本のリアリズムである。アメリカとイスラエルが始めた戦争に日本が付き合わない最大の言い訳が、結局9条であったというのは最大の皮肉であり、9条が狂った世界の中で日本国民の生命・財産を守る最後の盾になろうとしている。私は今ほど、憲法9条があってよかったと思ったことはない」と結びます。
実に簡明率直なコラムで、高市氏の岩盤支持者たちには目覚めて欲しいものです。
併せてしんぶん赤旗日曜版の記事を紹介します。
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護憲こそが日本のリアリズム 古谷経衡 猫と保守と憂国
日刊ゲンダイ 2026/03/25
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
あれだけ改憲派の急先鋒であった高市総理が、結果、憲法9条に頼ってトランプ大統領の要求をかわすというのは何という皮肉だろう。異形の「親米保守」たちが、トランプの1期目に「トランプさんは任期中、一度も戦争を起こしていない! 彼の目的はディールだから!」と吹聴していたが、もはや彼らは息をしていない。
アメリカに追従し、9条の唾棄こそが国益であると気勢を上げていた人々は、年初からたった数カ月のうちに壊滅した。それほど異常な国際情勢のただ中にあるという評価もできるだろうが、自分たち「親米保守」の言ってきたことの認知がいかに歪んでおり、間違いだったのかの責任を取るべきである。
彼らは「リアリズム」「現実的には」という表現が大好きである。憲法9条の理想を叫んだところで国際社会におけるリアリズムとは乖離している、現実的には日本がアメリカにノーを言うことはできない、などである。
こういった連中は終始、自らを客観の立場に置き、中立を装っているが、私からすれば単なる敗北主義者である。「リアリズム」「現実的には」という魔法の言葉を用いれば、何もしない理由をそれらしく補強できるからだ。「台湾有事が起こらば日本は……」とか「日本は核武装を検討せよ」といった言質のほうがよほど空想的に聞こえるが、彼らは押しなべてそれを「リアリズム」と自称している。根本的な認知が壊れているのであろう。
異形の「親米保守」は、2発の原爆と大空襲で同胞を焼き殺されたのに、アメリカに付き従うことを是としている時点で、保守でも愛国でもない。戦後しばらくは「付き従うフリ」をして国力を増加させるという面従腹背の姿勢は確かにあったが、もはやそれすら忘却した。沖縄で性犯罪を起こした米兵をかばい、被害者の同胞少女を指弾する時点で愛国心などない。
とりわけ彼らのタチが悪いのは、他者をあざけ笑うことだ。護憲派を「お花畑」といって嘲笑し、ネット世論の中でサンドバッグにして、対抗勢力を叩き潰す快感に酔いしれる。およそまっとうな人権感覚ではない。とはいえ、確かに9条の理念が冷戦崩壊後は説得力を失っていったのも事実である。とりわけ90年代以降、日本は世界の地域紛争などに際して国際貢献を求められた。それに対して9条が足かせとなっていたことは一方で事実である。
しかし、その前提はアメリカがたとえ書類上であっても「まともな」ふうに見える国であり、国連決議を曲がりなりにも忖度することが基礎であった。今では、狂ってしまったトランプによって、アメリカこそが世界の平和にとって最も危険な要素のひとつになっている。
したがって、いったん色あせたかに思える9条の理念が、いま再びリアリティーとともに日本に迫っている。もはや護憲派はお花畑などではなく、護憲こそが日本のリアリズムである。アメリカとイスラエルが始めた戦争に日本が付き合わない最大の言い訳が、結局9条であったというのは最大の皮肉であり、9条が狂った世界の中で日本国民の生命・財産を守る最後の盾になろうとしている。私は今ほど、憲法9条があってよかったと思ったことはない。
古谷経衡 作家
1982年生まれ。立命館大学文学部史学科卒。令和政治社会問題研究所所長。「左翼も右翼もウソばかり」「日本を蝕む『極論』の正体」「毒親と絶縁する」「敗軍の名将」「シニア右翼」など著書多数
日米会談 高市首相がイラン攻撃〝応援″表明 戦争に加担するな
しんぶん赤旗日曜版 2026年3月29日号
米国とイスラエルが強行したイラン攻撃。。
米国のイラン攻撃について国会で国連憲章・国際法違反の暴挙に国際社会は批判を強め、トランプ米大統領は孤立を深めています「法的評価は控える」といっていた高市早苗首相。日米首脳会談(日本時間20日未明)では、イランを非難する一方で「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ。諸外国に働きかけて、しっかり応援したい」とのべ、イラン攻撃を事実上支持しました。
トランプ氏が求めるホルムズ海峡への自衛隊派遣に高市首相は「法律の範囲内で、できることとできないことがあると詳細に説明した」といいますが、その中身は明らかにしていません。ウォルツ米国連大使は「日本の首相から、海軍(海上自衛隊)による(支援の)約束を取り付けたばかりだ」と発言しました(CBSテレビ、22日)。しかし無法な戦争に日本が協力できることなど何一つありません。
すでに横須賀、厚木、岩国、佐世保、沖縄などの各基地に配備されている米軍部隊も出撃しており、日本はイラン戦争に組み込まれています。
日本の世論調査でも、イラン攻撃について「支持しない」が82%(「朝日」17日付)。総がかり行動実行委員会と9条改憲NOI全国市民アクションによる19日の国会前行動には約1万1千人(主催者発表)が集まり、「イラン攻撃絶対反対」などと声をあげました。
日本共産党の田村智子委員長は20日の記者会見で高市首相の姿勢を「本当に情けない対米追随外交」「国民世論も無視したものだ」と批判し、こう続けました。「国連憲章・国際法の形骸化を許さず、平和の国際秩序を求める世界の諸政府、日本国内の人たちと力を合わせて国際的連帯を広げていく」
続くイラン攻撃 「ならずもの米国」応援 常軌を逸した高市首相
世界にとって最大のリスクが米国
上智大学教授 中野晃一さん
なかの・こういち=1970年生まれ。専門は比較政治学、日本政治学、政治思
想。『右傾化する日本政治』(岩波新書)など著書多数
いま、世界の安全保障上の最大のリスクが米国です。イラン攻撃、ベネズエラ侵略、そしてキューバヘの石油供給の遮断で人道的な危機をつくる … 。従来の覇権国としての横暴な振る舞いをさらに超越したような、まさに「ならずもの国家」です。
そのトランプ米大統領に高市早苗首相が「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」「しっかり応援したい」などというのは常軌を逸しています。
トランプ氏の最大の関心事は対イランです。そのため中国との会談は準備ができないからと延期しました。一方、高市首相と会うのは準備が必要ないから予定通りやったのだと思います。世界で孤立しているトランプ氏が「日本は俺の言うことをよく関くんだ」と見せつけるためです。その結果、日本はアメリカ服従の姿を世界にさらけ出しました。
ホルムズ海峡は、米国でさえ艦船を出せない状況です。それなのに高市首相は、艦船派遣をめぐり、何を「できる」と説明したのか。国民に明らかにする必要があります。特別措置法のような形で自衛隊派遣をやってくる可能性もあるので油断できません。
「ならずもの国家」ともいえる米国との軍事同盟が必要なのか、日本にとっていいことがあるのかということをメディアは問わなくてはなりません。しかし、今回の首脳会談で高市首相に対して「日米同盟の危機になりかねないところを救った」というような評価をしています。高市首相が沈む船の船長(トランプ氏)に抱きつき、その船長が抱擁に応えてくれたからといって、日本の石油が確保できるわけではありません。
世論調査ではイラン攻撃を「支持しない」が8割を超え、19日には攻撃中止を求めて1万人超が国会前に集いました。憲法9条と世論が重要な役割を果たしています。
別の言い方をすると、憲法がなければ、そして憲法を守れという市民の声が可視化されている状態が続かなければ、日本はアメリカの駒にされ、捨てられてしまうまでに政治が劣化しているということです。
反戦平和への思いは、日本の一般の方たちの中では非常に強いと思います。ましてやこんな不当な戦争、それに加担するというのでは平和国家とはとても言えない、と政治に関心がない人でも思っている。それを代表して可視化する市民の集まりが大きくなっていくことは極めて重要です。9条を守れという世論が極めて強いということを明らかにしているのがデモです。
共産党はもちろん、他の野党ももっと強く声を上げられるように市民が後押しするという意味でも非常に重要だと思います。
攻撃不支持」が8割を超す 政府は世論背負った外交を
同志社大学大学院教授 三牧 聖子さん
みまき・せいこ=1981年生まれ。専門はアメリカ政治外交。著書に『戦争違法
化運動の時代』『Z世代のアメリカ』、共著に『アメリカの未解
決問題』など
日本は主要7力国(G7)の中で、イラン攻撃への国際法評価を差し控えている唯一の国です。
当初から日本だけが及び腰だったわけではありません。カナダの力ー二ー首相は1月の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で、法の支配を尊重せず力による現状変更をいとわぬ大国の横暴を念頭に中堅国の結束を訴えて喝采をあびました。しかしイラン攻撃が始まるとすぐに米国支持を表明しました。その後、明らかに国際法上問題がある米国の軍事行動への参加を拒絶するカナダ世論の高まりを受け、カーニー氏は米国への批判を強めました。
保守派の政治家でトランプ大統領とも近いイタリアのメローニ首相もイラン攻撃を「国際法の範囲外」だと批判しています。その背後には、米国の軍事作戦に手を貸すべきではないとする7割近い世論があります。
日本でもイラン攻撃への不支持は8割を超えていますが、この世論を背負った外交を高市政権がしているとはいえません。
当の米国でもイラン攻撃への支持は3割程度。開戦当初でこれほど支持がないのは異例です。
トランプ氏は、対外戦争で無駄なお金を使ってきた歴代政権を批判し、「米国第ー」を掲げて米国のためにお金を使うべきだと訴えてきた人です。それなのに、米国に利益どころか犠牲や損害をもたらす無益な戦争を起こしてしまった。
そのためトランプ氏の岩盤支持層には「イスラエルに利用され、戦争させられている」との批判も高まっています。パレスチナ人の虐殺に続きイラン攻撃に踏み出したイスラエル、それにいつも加担する自国への批判も広がっています。
ホルムズ海峡は米海軍すら船舶護衛を足踏みする危険な状況にあります。たとえ日本が若干の艦船を派遣しても状況の改善は見込めず、これはトランプ氏による「同盟の忠誠テスト」の意味合いが強い。付き合う必要はない。トランプ氏が勝手に始めた戦争で自衛官の命を危険にさらすわけにはいきません。
日米首脳会談で高市首相は、ホルムズ海峡への自衛隊派遣が難しいとトランプ氏に説明する際に、憲法9条の制約に触れたと報じられています。
高市首相は9条改憲に意欲を見せていますが、9条があったことで米国の要求に抗することができたことになります。改憲すれば米国による不合理な要請を拒否できなくなり、なし崩し的に米国の戦争に参加させられる事態になりかねません。今回の経験を、憲法をめぐる議論に生かしていくべきです。また日本はイラン攻撃への国際法上の評価を下していませんが、そこを突いてトランプ氏から「法的に問題を見いだしていないなら協力してくれ」と言われ、押し切られかねません。この問題も早晩突きつけられることになるのではないでしょうか。
大軍拡を進める日米首脳会談 高市氏 国際的に孤立する米に追従
しんぶん赤旗日曜版 2026年3月29日号
19日の日米首脳会談。高市早苗首相が「ギブン・ザ・カレント・シチュエーション(現下の情勢を考えれば)…」とたどたどしい英語で言いよどむとトランプ大統領は「良い通訳がいるのだから」と助言。そこで高市氏が日本語で語ったのは驚くべき言葉でした。
「いま中東も含め世界中の安全保障環境が厳しく、世界経済も厳しい影響を受ける中、世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思う。そのために(英訳は『私たちの目標を共に達成するために』)私は諸外国に働きかけ、しっかり応援したい。今日、私は、それを伝えに来た」
米国とイスラエルがイランに対して国際法違反の先制攻撃をし、中東全域が戦火に覆われています。ロシアのウクライナ侵略に続く事態に「第3次世界大戦」突入かとの懸念も出ています。一方的な高関税押しつけに次いで世界を覆う新たな石油危機の恐怖。「世界中に戦争と経済危機をもたらせるのはトランプだけ」という状況を全世界が憂慮しています。
「親トランプ」を売りにしてきた欧州の極右勢力も米国の対イラン攻撃を「国際法の枠外」と批判するなど、距離を置き始めています。ところが高市氏は、国際法違反の米国の守場から事態を逆立ちして描き、その応援役まで買って出ました。
ミサイル共同生産
会談ではミサイルの共同開発・共同生産を含む幅広い軍事協力推進で一致。共同生産されるのは ▽航空自衛隊F35戦闘機に積む空対空ミサイルAMRAAM ▽迎撃ミサイルSM3ブロック2Aの4倍化-などです。(米発表ファクトシート)
同発表は「自国の防衛力を急速に強化し、防衛予算を増額し、日本と地域での米軍との協力を継続するとの日本の誓約を米国は歓迎した」と述べています。高市氏は、「法の支配」を公然と投げ捨てるトランプ氏の言いなりに大軍拡を進めると約束したというのです。
さらに会談では、米国の関税圧力のもとで約束させられた5500億ドル/(87兆円)の対米投融資の第2弾として ▽テネシー・アラバマ両州での小型原発建設 ▽ペンシルベニア・テキサス両州でのガス火力発電施設建設―が発表されました。投資額は730億ドル/(11・6兆円)。2月発表の第1弾(3件)と合わせ1090億ドルに達し、世界で突出しています。経済危機に苦しむ日本の膨大な国富が、11月の米中間選挙の激戦州に投下されることになります。
イラン攻撃の行き詰まりで国際的孤立を深めるトランプ氏は、日本は「NATO(北大西洋条約機構)とは違う」と述べました。
米大統領 攻撃は真珠湾と同じ奇襲
トランプ氏は会談冒頭、「イラン攻撃を事前に同盟国に知らせなかったのはなぜか」との日本人記者の質問に「それは奇襲攻撃だったからだ。奇襲のことは真珠湾攻撃をした日本人の方がよく知っているだろう」と答えました。米国で「真珠湾攻撃」といえば「卑怯(ひきょう)な先制攻撃」の代名詞。今回のイラン攻撃が真珠湾攻撃と同じ卑劣な先制攻撃だと認める形となりました。〝日本の戦争は「自衛戦争」だった″が持論の高市首相は無言でした。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。