2026年3月21日土曜日

国際法違反賛美する異常/高市首相発言は「重大な転換」(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の2つの記事を紹介します。
1番目の記事)
 高市首相の対トランプ会談は最大限のお土産を持参した効果で何とか収まったようです。
 高市氏の冒頭発言は言語として滅茶苦茶なものだったので、トランプから通訳を使えとアドバイスされ、以後は外務省官僚の優れた通訳で大いにカバーされたようです。
 彼はトランプのお気に入りとかで、高市氏の媚びへつらいなどの表現を、公表されても恥ずかしくなくしかもトランプも満足するという表現に瞬間的に置き換えるという、優れた能力の持ち主でした。

 その一方で高市氏が議員になる前に、米国議会のスタッフをしていたという「経歴詐称」の疑いが「疑念から確信に変わった」のは当然のことでした。
 そもそも今回の対トランプ会談は新年早々高市氏側から申し出たもので、トランプ対習近平の会談に先立って何とかトランプに「釘を刺しておきたい」という、途方もない発想に基づくものでした。しかし現下の対中トラブルでは「高市氏側に正当性がない」ことくらいはトランプも知っているのでどうしようもないものでした。
 直近の内閣支持率は発足後23%下落ということです。もう悪あがきをするのはやめて、物価高対応くらいは早急に進めて欲しいものです。
2番目の記事)
 米情報機関を統括する国家情報長官室は18日、世界の脅威に関する年次報告書を公表し、台湾有事は存立危機事態になり得るとした2025年11月の高市早苗首相の国会答弁に関し、日本の体制で大きな重みを持ち現職の首相としての重大な転換を意味すると指摘したということです
 高市氏は11月7日の国会答弁は従来の政府見解を踏襲したものでそれから「逸脱していない」と繰り返し弁明して来ました。そのことは当然「米国家情報室」は承知の上で、敢えて「重大な転換を意味する」と指摘したわけです。
 日本政府は高市発言が問題になったあと、「歴代内閣の立場と一致している」としながら、「政府としての統一見解とするつもりはない」と矛盾する説明を示しています。それが、現役の首相の発言を否定するわけにはいかないが  という苦衷の顕れであることは間違いありません。
 中国は言うまでもなく他の誰も納得しないことを、高市首相は何時までも言い張るべきではなく撤回すべきです。「会談のドアは開いている」などという空虚な言葉には何の価値もありません。
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国際法違反賛美する異常
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年3月20日
最悪の首相訪米だった。ホワイトハウスで開かれた日米首脳会談。冒頭部分がメディアに公開された。高市首相は冒頭のあいさつを英語で述べようとしたが、まったく言葉が出てこない。トランプ大統領が通訳を使えと促して日本語での説明に切り替えた。
米国議会のスタッフをしていたとの「虚偽経歴」に近いと見られる説明への疑念が多くの人々の確信に変わった。

ホワイトハウスでトランプ大統領が出迎えた際、抱きつきに行った高市首相
日本の首相の醜態が全世界に放映された。最大の問題は高市首相の冒頭発言。
「私は世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っており、諸外国に働きかけてしっかりと応援したい。きょうはそれを伝えに来た。」
懸念したとおりの結果になった。

米国が国際法を無視して実行したイラン軍事侵攻。米イラン間で核問題協議が進展しているなかで、米国は突然軍事攻撃を行った。
イラン最高指導者夫妻を殺害。イランの小学校にミサイル攻撃を行って数百人の子どもを虐殺した。

米国の行動を国際法違反だとして突き放しているのが現在の国際社会。トランプ大統領が要求したホルムズ海峡への艦船派遣を欧州諸国が拒絶。トランプ包囲網が敷かれている
日本は「法の支配」を主張するなら、米国に対して「国際法違反の行動」中止を求めるべき。
米国の国際法違反軍事侵略をやめさせることによってイラン戦争を終結させる。
これが国際社会が採るべき方策。

そのなかで高市首相は
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っている。」
「このことを諸外国に働きかける。」
「この行動を通してトランプ大統領をしっかりと応援したい。」
と述べた。完全に間違った外交である

侵略戦争を遂行している米国をしっかり応援したい、ということは、日本も侵略戦争に加担すること。日本の政府当局と政府支配下にあるメディアが「成功だった」説を流布するが、単なる「大本営発表」でしかない。
トランプ大統領のご機嫌を取るためにどれほどの金を投下しているのか。5500億ドルの対米投資は、日本が金を出し、米国が決定する投資。日本からの上納金。

国内では国民がインフレにあえぎ、米を食べられない状況に追い込まれている
そのなかで、高額療養費の負担上限が引き上げられ、治療を断念せざるを得ない国民が大量発生する。米国への上納の前に国民の命を守れ。この怒号がこだまする。

トランプ米大統領と高市首相による日米首脳会談を受けてホワイトハウスがファクトシートを発出した。その中で台湾問題について、
「両首脳は台湾海峡の平和と安定が地域の安全保障と世界の繁栄にとって不可欠な要素であることを確認した」
「対話を通じた両岸問題の平和的解決を支持し、武力や威圧を含むいかなる形での一方的な現状変更の試みにも反対した」とした。
「武力や威圧を含む一方的な現状変更の試み」を実践しているのはどの国なのか。
笑い話にしかならない文書が表出された。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4370号
「史上最低の首脳会談」 でご高読下さい。
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                (後 略)


高市首相発言は「重大な転換」
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年3月19日
共同通信が高市首相発言は「重大な転換」米政府報告書、台湾有事巡りhttps://x.gd/e7xVD のタイトルで次のように伝えた。
「米情報機関を統括する国家情報長官室は18日、世界の脅威に関する年次報告書を公表し、台湾有事は存立危機事態になり得るとした2025年11月の高市早苗首相の国会答弁に関し、日本の体制で「大きな重み」を持ち現職の首相としての「重大な転換」を意味すると指摘した。」

昨年11月7日の衆議院予算委員会で高市首相は次のように答弁した。
「まあ、先ほど有事という言葉がございました。それは色んな形がありましょう。
例えば台湾を統一、あの、完全に、まあ、中国北京政府の支配下に置くような、えー、ことの為にどのような手段を使うか、ま、それは単なる、ま、シーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それは、あの、色んなケースが考えらえれると思いますよ。

だけれども、あの、それがやはり戦艦を使ってですね、そして、武力の行使もともなうものであれば、ま、これは、あのー、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」

この発言が重大な問題を引き起こした。中国は日本に対して極めて厳しい対応を示している。
客観的に見て中国の厳しい対応には合理性がある。
日本政府は「従来の内閣の立場を踏襲するもの」としてきたが、正しくない。

米国は高市発言を検証して「現職の首相としての「重大な転換」を意味する」と判定した。
これについて、木原稔官房長官は3月19日の記者会見で、「指摘は当たらない」
木原氏は存立危機事態に関し「個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して判断する、という政府の立場は一貫している」と述べた。

高市首相の国会答弁について立場の異なる中国と米国が揃って「重大な転換」であるとの認識を示す。
これに対して日本政府は従来の立場を踏襲しているとする。どちらが正しく、どちらが間違いなのか。正解は「日本が間違っている」である

これは11月7日の高市発言の直後から本ブログ、メルマガで指摘してきたこと。
11月7日の高市答弁は前段と後段に分かれる。
前段での答弁は「従来の政府の立場を踏襲する」もの。しかし、後段の発言は違う。

前段で高市首相はこう述べた。
「例えば海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかの他の武力行使が行われる。まあ、こういった事態も想定されることでございますので、まあ、そのときに生じた事態、いかなる事態が生じたかっていうことの情報を総合的に判断しなければならないと思っております。」
「生じた事態について、いかなる事態が生じたかということの情報を総合的に判断しなければならない」と述べている。
この発言を貫いていれば問題は生じていない。その後の政府の説明は前段部分の答弁について当てはまる。

しかし、後段の答弁はまったく違う。
「台湾有事で戦艦を使って、武力の行使もともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースである」と述べた。

「米軍が来援をする」という説明がないことは問題だが、仮に「米軍が来援して」での事態だと理解しても、この発言は問題になる。
キーワードは「どう考えても」である。「どう考えても」とは「まず間違いなく」という意味。現に日本政府は、高市発言が問題になったあと、「歴代内閣の立場と一致している」としながら、「政府としての統一見解とするつもりはない」と矛盾する説明を示した。

これは、前段部分は「歴代内閣の立場と一致している」が、後段部分は「政府としての統一見解にはできない」との意味に解される。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4369号
「高市台湾有事発言撤回不可欠」 でご高読下さい。
                 (後 略)